第5話『眠れる海のお姫様!』
PART 2
蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ一同で、海にやってきた。 | |
ここではまだ各々、夏服姿。 | |
小鈴セラス花帆瑠璃乃姫芽吟子さやか泉 | |
セラス | というわけでーー。 |
花帆&瑠璃乃&姫芽&セラス | 海だ~~~~! |
メンバーが声をそろえてはしゃぐ。吟子、さやか、泉は微笑ましくその様子を眺めている側。小鈴は海を見慣れているが、みんなが喜んでいるので嬉しそう。 | |
花帆 | 今年も来れたね! |
瑠璃乃 | これで3年連続だね~! |
花帆 | 皆勤賞だ~! |
花帆&瑠璃乃 | 私たちの夏だ~! |
夏めきペインを歌い、キャッキャとはしゃぐテンションの高い花帆と瑠璃乃。 | |
小鈴 | みんなと来る初めての海はどう? セラスちゃん。 |
セラス | 楽しすぎて……きょうがわたしの人生のピークかもしれません。 |
小鈴 | そんなことないと思うよ!? |
吟子 | でも、合同合宿かあ……。 |
さやか | 吟子さん、緊張していますか? |
吟子 | ちょっと……。 北陸の有名スクールアイドル部の方々が集まってるみたいですし、 |
吟子 | 前年度優勝校ということで、 向こうのハードルもあがってるのかな、と……。 |
さやか | それは、そうかもしれませんね。 少なくとも、三年連続北陸大会を制覇しているわけですし。 |
さやか | さすがに、すごいですよね。 |
泉 | その上、蓮ノ空は今年、ラブライブ!には出ない。 |
泉 | いわば、勝ち逃げしたグループだ。 敵意を向けられる可能性は、じゅうぶんある。 |
吟子 | うっ。 |
セラス | まさか……呼び出されたのも、闇討ち目的で……!? |
さやか | それはないと思いますが……。 |
姫芽 | こら~。 いずみん、またイジワル言う~。 |
泉 | ただの可能性の話だよ。 |
姫芽 | いいんだよ~。 もしライバル心をむき出しにされたら、返り討ちにしちゃえば~。 |
しゅっしゅっとシャドーボクシングのモーションをする姫芽。 | |
泉 | あなたのほうがよっぽど血の気が多いじゃないか。 |
小鈴 | きっと大丈夫だよ! |
小鈴 | 徒町たちの思ってる以上に、 みんな、蓮ノ空のことを好きに思ってくれてるから! |
吟子 | ……まあ、そうかもね。 |
姫芽 | ね~。 |
花帆 | それじゃ、合宿所に、いこっ! |
セラス | はいっ。 |
画像:畳の敷いてある公民館のようなイメージです。 | |
歌詞を作る際は、ここにテーブルを並べて、簡易的な会議室っぽいのを作るイメージです。 | |
たくさんのスクールアイドルたちが勢ぞろい。 | |
そこにやってきた蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ一同を代表して、花帆が挨拶をする。 | |
花帆 | ええっと……。 きょうから、よろしくお願いします! |
ガヤで、大人数。とにかく大勢いるぞという迫力。 | |
スクールアイドル部員 | よろしくお願いします! |
スクールアイドル部員A | あの! |
スクールアイドル部員A | 今回私、蓮ノ空の方々とご一緒できるなんて、すっごく楽しみで! |
スクールアイドル部員B | 私もです! ずっと応援してました! |
小鈴 | はわわ~! |
さやか | ああっ!? 小鈴さんが人波に飲み込まれて! |
瑠璃乃 | あ~れ~。 |
姫芽 | るりちゃんせんぱいも見えなくなっちゃった~!? |
泉 | これは……さすが、名門蓮ノ空だね。 県の内外問わず、大人気だ。 |
セラスが泉の肩をポンと叩いて、ドヤ顔。 | |
セラス | だから、言ったでしょ? |
泉 | 言ってなかったけれどね。 |
セラス | これこそが“スクールアイドル”。 |
スクールアイドル部員C | あ、あの! |
セラス | は、はい。 |
スクールアイドル部員C | 去年の決勝大会、見てました! 私、感動して! |
セラス | あ、ありがとうございます……。 |
スクールアイドル部員C | 桂城さんとも、今回一緒に合同合宿できて、嬉しいです! |
泉 | それは、どういたしまして。 |
セラス | なんか……嬉しいね。 |
泉 | そうだね。 |
泉 | それと、もうひとつ。 あなたからみんなに言うことが、あるんだろう? |
セラス | ふぇ? |
泉 | みんな、セラスから話したいことがあるらしいんだ。 聞いてくれるかな? |
セラス | うっ……! |
セラス | あ、あの……今回の合宿では……。 その! みなさんで、一緒に、作詞をしましょう! |
セラス | 合宿が終わるまで、ひとり1曲! 目標を決めて、全員でレベルアップできれば、と思って。 |
セラス | やったことないって人も、大丈夫です。 むしろ歓迎です。 夜に、わたしたちが作詞講座を開きますので……! |
セラスの言葉に、蓮ノ空の面々がそれぞれうなずく。 | |
瑠璃乃 | 任せて! |
さやか | みなさんで、がんばりましょう。 |
花帆 | それに、せっちゃんはすごいんだよ。 だってあんなにすごい曲を、いっぱい作ってるんだから! |
花帆 | きっとみんな、いい曲ができるよ! ね? |
セラス | はい。 だから、その、もしよかったら……。 一緒に! |
スクールアイドル部員A&B&C | はい! よろしくお願いします! |
好意的なその返事を聞いて、目を丸くするセラス。驚いた後で、にっこりと笑う。 | |
セラス | がんばりましょうー! |
隣にいる泉も、微笑んだのだった。 | |
水着に着替えたセラスが、砂浜に立っている。夏で水着ということで、いつもよりややテンション高め。 | |
腰に手を当てて、まんざらでもない顔。 | |
辺りにはスクールアイドルも大勢いて、海は賑やか。 | |
セラス | というわけで! |
セラス | ここからは水着のお時間だよ! |
さやか | はい。 夜に作詞の勉強会を開くということになりましたし、 お昼はトレーニングですね。 |
セラス | それもありますが、水着の品評会もやりたいです。 |
さやか | 品評会……? |
怪訝そうな顔をするさやかに、セラスがふむふむと見定め。 | |
セラス | さやか先輩は、スポーティーな競泳水着で、すばらしいですね。 |
セラス | アスリート系スクールアイドルとしてオンリーワンの魅力が出ています。 100点! |
さやか | なんですか、なんなんですか!? |
恥ずかしそうな顔でツッコミを入れるさやか。 | |
花帆 | せっちゃん! あたしは? あたしは? |
花帆フェードイン。嬉しそうにセラスの腕に抱き着いてくる。 | |
セラス | 花ちゃんは、すごくかわいい。 とにかくかわいい。 えっ、すごい。 かわいい……。 100点! |
花帆 | わーい! |
さやか | もうすでに品評していない……。 |
花帆 | せっちゃんもかわいいよ~! |
セラス | 何点ぐらい? |
花帆 | ん~! 100万点! |
セラス | えへへ~。 らぶ~。 |
イチャつくふたり。そんなふたりを微笑ましい顔で眺めるさやか。先ほどよりは穏やかで、優しい口調でツッコミを入れる。 | |
さやか | なんなんですかほんとに、もう。 |
瑠璃乃、ニコニコしながらフェードイン。 | |
瑠璃乃 | ま、品評会はあとでじっくりやってもらうとして。 |
瑠璃乃 | お昼の合同練習、始まり始まり、だよ。 ほらほら、グループに別れた別れた。 |
海にはすでに、たくさんのスクールアイドルが集まっている。 | |
この後、花帆とさやか、瑠璃乃がそれぞれをグループ分けして、連れてゆく。 | |
(※吟子、小鈴、姫芽の104期組は、合宿所で同じようにスクールアイドルの指導に当たっている、という設定です) | |
花帆 | おー! |
さやか | そうですね、3年生のわたしたちが中心になって指導しないといけませんね。 |
花帆 | じゃあ、あたしのグループはビーチボールトレーニングだよ! 集まれー! |
走ってゆく花帆。 | |
さやか | それはただ遊ぶだけになりませんか!? |
さやか | もう……。 では、わたしたちは、泳いでしっかりと全身運動をしましょう。 みなさんー。 こちらですよー。 |
さやかフェードアウト。 | |
瑠璃乃 | セラスちゃんは? |
セラス | わたしは……少し、やりたいことがありますので! |
瑠璃乃 | ん、そっか。 泉ちゃんのこと? |
セラス | え? は、はい。 そうです! なぜおわかりに……。 |
瑠璃乃 | 見てるからね~。 いつでも~。 |
笑いながら両手でセラスを指す瑠璃乃。頬を染めるセラス。 | |
セラス | ぽ。 |
瑠璃乃 | ふふふ、懐かしいな。 ルリも初めての夏合宿でめぐちゃんに鍛えてもらってね、 いっぱいレベルアップしたんだよね。 |
瑠璃乃 | セラスちゃんたちも、がんばってね。 |
セラス | はい! |
瑠璃乃 | じゃあルリのグループは、協調性を鍛えるために、 砂浜にでっけーノイシュヴァンシュタイン城を作ろうぜー! この指とまれ~! |
瑠璃乃もフェードアウト。 | |
辺りに大勢いたスクールアイドルたちはいなくなり、ひとりになったセラスは、ぎゅっと拳を握る。 | |
セラス | やはり夏は、レベルアップの季節……! |
セラス | よし……。 泉! |
泉フェードイン。 | |
泉 | はいはい。 お呼びかな。 |
セラス | うっ……。 |
ようやく待ちに待った水着の泉登場。 | |
あまりにも似合っていて、うっ、とセラスがリアクション。 | |
セラスをからかうようにスタイルを見せつけてくる泉。 | |
泉 | おや。 水着の私に、見惚れてしまったかい? |
セラス | ……そ、そんなことないやい! でもまあ、100点! なんとなく! |
泉 | もっとちゃんと褒めてほしいなあ。 |
セラス | そんな暇ありませーん。 |
セラス | 泉にはこれから、 とてつもなく厳しい鬼の地獄のウルトラ激辛トレーニングが待ってるんだから。 |
泉 | セリフで脅してやろうという意図がものすごいね。 |
セラス | そうだよ、こわいんだよ。 |
セラス | なんたって、泉はまず作詞する前に、 わたしがギャフンとかギブアップって言わせてあげなきゃいけないんだから。 |
セラス | フィジカル&メンタル。 すべての限界を迎えて、余裕なんてもてなくなった泉。 |
セラス | そこに、ようやく泉も知らなかった泉の本性が現れるんだよ。 |
泉 | それはずいぶんと過酷そうだ。 でも合宿の前にもそう言っていたけれど、本当にできるのかな? |
セラス | わたしを見くびってるね、泉。 わたしはEdel Noteのセラスだよ。 |
セラス | 泉の化けの皮、ぜんぶ剥ぎとってやるからね! |
ここから泉の特訓パート。 | |
課題を、毎日ひとつずつやっていくイメージです。 | |
最初は、フィジカルの鬼、さやかから。 | |
セラス | というわけで。 |
セラス | 挑戦者はこの人。 スクールアイドルが世界に誇るアスリート。 『心堅石穿』 村野 さやか先輩だーっ。 |
拳を突き上げて、リングアナウンサーのように実況するセラス。 | |
わー、と周囲のスクールアイドルが盛り上がっているイメージです。 | |
泉 | あなたがやるんじゃないのか!? |
出オチのようにツッコミを入れる泉。 | |
セラス | そうだよ。 わたしが先輩の力を借りてやるんだよ。 |
悪役のように笑うセラス。 | |
泉はさすがに予想外だったのか、セラスに毒づく。 | |
泉 | 詭弁だ……。 やけに自信があるなと思ったら、そういうことか……。 |
さやか | どうやらそのようですね……。 |
泉 | すまない、セラスのワガママに付き合わせてしまって。 |
さやか | いえいえ。 かわいい後輩の頼みですから……。 |
セラス | なんでそこ通じ合ってる感だしてるの? なんで? |
セラス | ともあれ……。 泉を本当のスクールアイドルにするために、 |
セラス | どうかこいつにギブアップと言わせてください、 蓮ノ空のフィジカルチャンピオン先輩。 |
さやか | また新しいあだ名が……!? |
泉 | そういうことなんだ。 よろしくお願いするよ。 |
さやか | 事情はよくわかりませんが…… それがおふたりのためになるなら、わかりました。 |
さやか | わたしはなにをすればいいんですか? |
セラス | 第1回~! 灼熱の砂浜ぐるぐる往復水着マラソン対決~! |
ワーッと盛り上がる観客。やっぱりみんな楽しんでない!? | |
セラスの一人芝居が始まる。 | |
セラス | これはどういうことですか? 解説のセラスさん。 |
セラス | はい。 ストレートにマラソン耐久レースです。 水着で波打ち際を走るのは、 絵面の華やかさとは裏腹に、かなりしんどいことでしょう。 |
セラス | なるほど、それは大変そうですね。 体力の限界を超えた勝負になりそうです。 |
セラス | しかも相手は、人生で一度も息を切らしたことがないという 村野さやか先輩です。 さすがの泉も、分が悪い。 |
さやか | しれっとウソが混ざっています! |
思わず後方のセラスを振り向いて突っ込むさやか。 | |
これは手ごわいな……という表情の泉。 | |
泉 | さやか先輩か……。 確かに、分の悪い相手だ。 |
さやか | それは、こちらの台詞ですよ。 |
さやか | とはいえ、こんなにも大勢の方々の見ている前で、無様な勝負はできません。 がんばりましょうね。 |
泉 | ああ。 |
がっしりと握手を交わすふたり。 | |
そこに水を差すセラス。 | |
セラス | あ、ひとつルールを言い忘れてました。 |
さやか&泉 | はい?/うん? |
セラス | この勝負は、さやか先輩vs泉ではなく……。 さやか先輩のみリレー形式。 |
さやか | ええっ? |
カメラが切り替わると、そこには花帆と瑠璃乃が強そうに立っている。 | |
花帆&瑠璃乃 | ふっふっふ。 |
嫌な予感がする泉。 | |
泉 | まさか。 |
セラス | おおっとここで助っ人登場だー。 |
花帆 | よろしくね、泉ちゃん! |
セラス | 咲かせた花は百万本。 天真爛漫、勇気凛々。 もはや病弱は過去のこと、日野下 花帆ーっ。 |
瑠璃乃 | そしてルリだよ! |
セラス | 日夜のヒーロー業で、1年生の人気急上昇中。 きゃー、かわいー。 水着も似合ってます。 大沢 るりちゃん乃ーっ。 |
セラスにほんのりジト目でツッコミを入れる瑠璃乃。 | |
瑠璃乃 | なんかルリだけノリ違くね?? |
ドヤ顔のセラス。 | |
セラス | スクールアイドルクラブが誇る、蓮ノ三連華が来てくれました。 |
泉 | 1対3……。 |
セラス | そして。 |
泉 | まだあるのか……!? |
くい、と親指で己を指すセラス。 | |
セラス | ラブライブ!準優勝校のひとり。 元天才ヴァイオリニスト。 一騎当千、天下布武。 セラス 柳田 リリエンフェルト。 |
セラス | 当然、わたしもやるよ。 |
泉 | なんだバランス調整か。 あからさまなウィークポイントが見つかってよかったよ。 |
セラス | 見くびらないでよね! |
クワッと目を見開くセラス。 | |
セラス、悪役令嬢のようにふんぞり返って。 | |
セラス | というわけで! いい勝負なんて、蓮ノ空に帰ってからやってください! 泉の余裕をぶっ壊してやるのが、目的なんだから! |
生徒たちからブーイングが飛ぶ。 | |
しかし今は己のやることが正しいことだと信じているので、セラスには効かない。 | |
セラス | 4対1のこの超逆境! スクールアイドルの輝きをわたしに見せて! 泉! |
さやか | そ、そういうことですので、泉さん……。 |
泉 | ふふふ……あははは! |
さやか | い、泉さん? |
胸に手を当てて、堂々と宣言する。 | |
泉 | いいだろう、面白い。 やってやろうじゃないか、セラス。 |
泉 | 壊してみなよ、この私を。 |
セラス | それでは勝負ーー開始! |
こうしてマラソン対決開始。 | |
点描でさやかと泉が走っている様子。さやかがやや先を行き、セラスが応援。 | |
往復して戻ってきた花帆と泉。先着した花帆が、セラスとバトンタッチ。 | |
意気揚々と走り出すセラス。 | |
走る泉。かなり遅れてセラス。慌ててさやかがセラスに駆け寄る。 | |
(セラスが足を引っ張った分)瑠璃乃と泉がほぼ同着で、泉が先にゴールに到達する。セラスは砂浜に倒れこんでいる。 |