第2話『Dream Match!』
PART 6
姫芽 | さあ、いよいよ本番です~。 もうすぐ開場になりますよ~。 皆さん、準備はいいですか~? |
姫芽 | では、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ、 ミッション・スタートです~! |
花帆&さやか&瑠璃乃&吟子&小鈴&泉&セラス | お~! |
姫芽 | アタシとるりちゃんせんぱいの出番は午後からです~。 今はゆっくりしてて大丈夫なんで~。 |
瑠璃乃 | や~、何だかじっとしてるのもかえって緊張しちゃいそうだな~。 ひめっちはそれまで何してるの? |
姫芽 | アタシはみんなの様子をぐるっと見て回ろうかと~。 何かフォローが必要なことも起きるかもしれないですし~。 |
瑠璃乃 | じゃあ、ルリも一緒に行っていい? 何かあったら、ひとりよりふたりの方がいいっしょ? |
姫芽 | おっ、助かります~。 じゃあ一緒に行きましょう~! |
泉 | よし、今度は吟子さんの番だ。 |
吟子 | くっ……。 |
泉 | 昨日も練習したじゃないか。 さあイメージするんだ。 あなたは今、大勢の人に囲まれている。 |
泉 | さあ今だ! 吟子さんの華麗なポージングで、 みんなの目をくぎ付けにしてみせるんだ! |
吟子 | ~~~~~っ! |
泉 | いいね。 よし、 今度は私たちふたりのコンビネーションを披露しようじゃないか。 |
吟子 | なんでそんなにノリノリなん……! |
泉 | せっかく苦労して作った衣装なんだ。 最大限に輝かせてあげないと、もったいないじゃないか。 |
吟子 | それは、そうだけど……! |
姫芽 | コンパニオン組の準備は……お? |
吟子&泉 | …………。 |
瑠璃乃&姫芽 | …………。 |
吟子 | はい練習終わり! 今、着替えるから出てって! |
姫芽 | 世界一輝いているよ~、吟子ちゃん~! |
吟子 | うっさい! |
瑠璃乃 | 吟子ちゃんも、この一年で成長したなぁ~。 |
姫芽 | みんな、頑張ってくれてますね~。 |
姫芽 | これは、アタシたちも負けてられませんな~! |
瑠璃乃 | うん……。 |
瑠璃乃 | がんばろうね! |
姫芽 | さあ、いよいよこの試合も終盤です~! ここからはわずかなミスも許されない! |
姫芽 | 果たして瑠璃乃選手、最後まで生き残れるのか~! |
姫芽 | 現在、瑠璃乃選手の状況は、やや不利か……? |
姫芽 | 去年の世界大会の第三試合で、まったく同じ状況になった選手がいましたが、 武器の射程差で大きな苦戦を強いられていました。 |
姫芽 | しかし。 このエキシビションマッチで大事なのは、 集中力と、何が起きても動じないメンタルです~。 |
姫芽 | ここまで来たら、もう、あとは気持ちの勝負。 |
姫芽 | 皆、きょうのために積み上げてきたものがあります~。 練習の成果をいちばんに発揮することができるのは、誰なのか~! |
姫芽 | さあ、最終局面です~! |
姫芽 | 瑠璃乃選手の動きがいい! これはいけるか? どうだ~? |
姫芽 | あーっと! まさか、ここで? ここで~!? |
姫芽 | 決めたぁーーーっ!! 最後の最後にとんでもないスーパープレイが炸裂だ~~!! |
瑠璃乃 | っしゃーーー!! |
姫芽 | では~、イベント大成功を祝して~。 かんぱ~い! |
花帆&さやか&瑠璃乃&吟子&小鈴&泉&セラス | かんぱ~い! |
花帆 | 本当に大成功だったね! |
姫芽 | いや~、それもこれも、皆さんが頑張ってくれたおかげです~。 |
花帆 | でも、あんまり苦労したって感じじゃないんだよ? 今日はず~っと楽しかったから! |
小鈴 | 楽しかったですよね! お客さんがみんな喜んでくれて、徒町も楽しいやらうれしいやらで! |
花帆 | ね! お客さんが楽しそうにしてると、こっちまでうれしくなってくるよね! |
泉 | それは、ふたりの人柄あってのことだと思うけどね。 |
花帆 | そう言う泉ちゃんも大活躍だったよね! |
花帆 | やっぱりコンパニオンのふたりがいっぱいお客さんの目を引いてくれたから、 あれだけたくさんの人が来てくれたんだと思うよ! |
花帆 | 吟子ちゃんも頑張ったね! |
吟子 | いや、私は別に……。 |
泉 | そう、吟子さんも大活躍だったんだよ。 私と一緒に、大胆なポーズでお客さんの目をくぎ付けにしてみせたんだ。 |
吟子 | あれは、泉さんが巻き込むからでしょ……。 |
泉 | 今日のまぶしい成功体験から、 今後の吟子さんはコスプレが趣味になる可能性も……。 |
吟子 | ないっ! |
セラス | さやか先輩、今日はGGでした。 |
さやか | それはグッドゲームの略……よい試合だったとか、 お疲れさまという感じで使われる言葉でしたね。 |
さやか | セラスさんもGGでした。 |
さやか | わたし、今まで本格的にPCゲームに触れたことはなかったんですけど、 準備の間に何度もプレイして、今はすごく興味が湧いてきているんです。 |
花帆 | あたしもあたしも! 姫芽ちゃんの作ってくれたチェックシートのおかげで、 動かし方もわかってきたし、そしたらすごく面白くなって! |
姫芽 | それは何よりです~。 |
花帆 | ただ、やっぱり難しいんだよね~。 |
花帆 | あたしも瑠璃乃ちゃんみたいなプレイができたらな~って。 |
瑠璃乃 | あはは……。 |
花帆 | 瑠璃乃ちゃん大丈夫? 充電切れそう? |
瑠璃乃 | いや~、何かほっとしたら力抜けちゃってさ……。 |
さやか | 大役でしたもんね。 |
小鈴 | でもでも! おかげでお客さん、すっごく盛り上がってました! |
瑠璃乃 | まあ、うまくいってよかったよ。 |
瑠璃乃 | でも、あの盛り上がりはルリのプレイだけじゃなくて……。 |
さやか | 姫芽さんの実況解説ですよね? |
花帆 | そうそう! |
花帆 | 姫芽ちゃんの実況、めちゃくちゃ熱かったよね! |
花帆 | 姫芽ちゃん? |
姫芽 | あ~、すいません~。 ちょっとやり切った感すごくて、ぼ~っとしちゃってました~。 |
さやか | 花帆さん、瑠璃乃さん、そろそろ……。 |
花帆 | あっ、もうこんな時間! |
姫芽 | すいません~。 修学旅行の前日に、こんなバタバタさせちゃって~。 |
瑠璃乃 | いや~、それはぜんぜんいいんだけどさ。 そろそろ戻って準備しないとなのだよ。 |
姫芽 | そんな忙しいときに、今日は本当にありがとうございました~! 明日は東京観光を存分にお楽しみください~! |
花帆 | ありがと~! じゃあね~! |
姫芽 | 全力、出し切れたな~……。 |
姫芽 | やれることは全部やった。 やり尽くせた……。 果ての果てまでいけた……。 |
姫芽 | ……でも。 |
姫芽 | ここが果てなら……。 後はもう、コレの繰り返しになっちゃうのかな……。 |
姫芽 | はぁ……。 |
姫芽 | 夢が叶うときって、こんなもんなのかな~。 もっと、めちゃくちゃ熱い気持ちになれるもんだって思ってた……。 |
姫芽 | そう……。 |
姫芽 | あのときみたいにーー。 |
姫芽 | なのに……。 |
姫芽 | なんでアタシ、こんな……ぽっかり、穴が開いたみたいな……。 |