第13話『いずれ会う約束の桜』

PART 7

……どうだった、かしら。
花帆
……。
花帆
……素敵な、歌でした……!
ありがとう。
さやか
……時を超えた、繋がりの歌。
瑠璃乃
……感じられたよ。 今のルリたちだけじゃない。
これまでの先輩も、これからの後輩も、繋がってるんだって。
綴理
初めて、
Dream Believersを作った人たちだって、繋がってる。
私たちなりに、精一杯想いを込めて作ったよ。
なんたって、蓮ノ空でいちばん有名な曲に手を加えたわけだからね。
寂しくなったら、思い出してほしいな。
これからは私たちが、あなたたちを見守っているわ。
どんなときでもね。
花帆
はい……とても、とても……伝わりました。
花帆。 私も、寂しいわ。
こんなにも本気で一緒に夢を追いかけた仲間と別れて、卒業するなんて。
2度と戻らない、この高校生活を、私は何度でも思い出すでしょうね……。
だとしても、私が次の夢に進んでいけるのは。
みんなと出会い、笑い合い……共に過ごしてきた時間のおかげだから。
私は何度でもあなたたちに『ありがとう』を、贈りたい。
……ん。 時はいつだって、前に進んでいく。
残酷なことだけど、私は、悲しいとは思わないよ。
楽しかったことも、つらかったことも、ぜんぶが私を作る思い出だから。
どんなに寂しくても……今この一瞬も、愛してあげたいんだ。
綴理
そうして、思い出が重なってきたからこその、八重咲だよ。
綴理
だからボクたちで、
このDream Believersを作ったんだ。
これが私たちから、あなたたちへの、最後の贈り物。
花帆
うぅ……センパイ……!
綴理
かほ。
綴理
これは、ひとつ前の三年生が言ってたことだけどさ。
今が一番、寂しいから。
花帆
……。
綴理
来年はきっとまた。
花帆
そう、ですよね。
花帆
ありがとう、ございました。
花帆
センパイたちの気持ち……ちゃんと受け取りました。
だから花帆は前を向きます。
花帆
来年を楽しみに、できるくらいに。
さやか
それじゃあ花帆さん、おやすみなさい。
さやか
花帆さん、大丈夫でしょうか。
瑠璃乃
どうだろうね。 見守ってくれてるって温かさと、
離れたくないって気持ちは別物だから……。
さやか
わたしたちに、何かできることはないでしょうか。
瑠璃乃
……元気になって、ほしいよね。
いつも明るい花帆ちゃんに、ルリたちも元気もらってきたからさ。
さやか
はい。 オンオフの激しい蛍光灯みたいな人ですけど……
やっぱり、明かりが点いている時は、何よりも輝いている気がするんです。
さやか
だから私は……。
瑠璃乃
さやかちゃんは?
さやか
いえ、すみません。 これはまた、本人のいる時に。
でもそうですね。
さやか
花帆さんが、どんなことがあっても諦めずに突き進むあの光が、
わたしたちにいつも力をくれていた。
瑠璃乃
そうだね。 今回のことは、卒業だし……しょうがないことだけど。
でも、気持ちを取り戻して、明るくなってほしいのは、本当。
吟子
花帆先輩がどうかしたんですか?
瑠璃乃
あれ、吟子ちゃん。
吟子
すみません、その花帆先輩を探していて。
瑠璃乃
花帆ちゃんは……。
さやか
先ほど、お部屋にふたりで送ったところです。
吟子
あの、さやか先輩、瑠璃乃先輩。
花帆先輩どうでした?
さやか
どう、というと……。
吟子
ちょっと普段と違うっていうか。
吟子
連絡送ってもなかなか返ってこないし、練習中も上の空だし、
何聞いてもなんでもないの一点張りだし。
瑠璃乃
トリプルパンチ……。
うん、でも吟子ちゃんの言う通りだよ。
吟子
え、じゃあやっぱり。
さやか
先輩方の卒業が、かなり堪えてしまっているみたいです。
吟子
そう、ですよね……。
花帆先輩、みなさんのこと、大好きですもんね。
瑠璃乃
だからちょうど、
ルリたちにも何かできることがあるといいよねって話してたんだ。
吟子
……だったら、少し。
先輩方に、相談したいことがあるんですけどーー。