あんなさやか先輩頼みの、適当な分担に、負けんわいね……！

手順通りやれば、誰でもおいしく作れるもん。

この日のために用意した上等なあんこ、白玉……。
あとは寒天を切って、と……。

事前準備の時間さえあれば、私だって！

いらっしゃいませー、いらっしゃいませー！
おいしいあんみつですよー！

あ、いらっしゃいませー！
このあとライブもやりますので、ぜひぜひ来てくださーい！

あ、吟子ちゃん盛り付けは手伝うね～。
っとっと、列整理もしなきゃ～……。

あれ～、けっこう忙しいぞ～？

あの。

はい！ お客様ですね！ あんみつおひとつですか！？
メニューの種類とかもいっぱいありますよ！

えと……じゃあ、ふつうの。

ありがとうございます！
それじゃあ少々お待ちいただければと～！

はい。

……………………。
あれ？ けっこう時間かかってる……かも？

ね、ね、吟子ちゃん～。

ちょ、ちょ～っとお店が詰まってきちゃったから、
手順飛ばしたり、急いでもらったりしても～？

えっ……手順通りじゃ、なく……？
ど、どうすりゃ……。

えっ、あっ、吟子ちゃんが固まっちゃった……！？
あっ、お、おっけー！ 吟子ちゃんは、今のやり方でそのままやってて！

わ、わかった！

ちょ、ちょ～っと小鈴ちゃん～！
中を手伝ってもらっていいかな～！

……。

わかりました！
徒町やりますね！ やります！

う、うん、よろしく～……。
しばらくアタシが接客に回るから……。

って、小鈴ちゃん？ なんかぐちゃぐちゃになってない！？

あう……！ し、失敗した分は、ちゃんと取り戻しますので……！
ちぇすと～！

えっ、えっ！？
小鈴ちゃん～！？

うわ～、だめだこれ～……。
アタシじゃ、とめらんない～……。

…………なんか、ドタバタ？

おいしいクレープひとつ、くださいな。

はーい、任せてせっちゃん！
さやかちゃんが日本でいちばんおいしいクレープを作ってくれるからね！

ハードル上げすぎです！

こっちは、平和そうだね。

うん？ 一年生の方、なにかあったの？

なにかってわけじゃないけど……。
お店がうまくいってなくて、大変そうだった。

ええっ！？
なんで～！？

えーっと、勝負はいちおー、ルリたちの勝ち、だけど。

……。

……なんで。

今回こそはって思ったのに……あんまりうまく、いかなかったね……。

って、徒町のせいだよね……ごめん……！

いや、それを言うなら、私も途中から、
頭真っ白になっちゃって……。

で、でも！
この次、竜胆祭ステージもあるから！

そ、そーだね！
そもそも模擬店のお手伝いと、ライブはぜんぜん違うし！

終わりよければすべてヨシ！

……はい。
がんばります。

……。

では、いきましょう。
竜胆祭ステージのトップバッター、しっかりと務めましょうね。

おー／はーい。

はい！

……あれ……？

……。

隣、いいかしら。

あ……梢先輩。

せっかくの文化祭なのに、なーにそんな悲しそうな顔してるの。

慈先輩……。

失敗した、って思っている？

それは……はい。

少しずつ上達を実感して、今度こそうまくいくと、思ってたんです……。
なのに、肝心の本番で、息が合わなくって。

本番は、この後に控えたラブライブ！予選でしょう？

そうそう。 そもそも、みんな喜んでくれてたんだよ？
ステージだって、盛り上がってたでしょ？

……自分たちの出来は、自分たちがいちばんよくわかっている、かしら。
そうよね。 あんなに練習していたんだものね。

ほらほら、梢までそーんな暗い顔しないんだよ。

し、していません。

っふふ。 大丈夫、まだまだぜんぜん間に合うからさ。

私たちがついてる。
別に踊れなくなったわけじゃないんだから。

明日からまたがんばろ？ ね？

……。