第1話『未来への歌』

PART 5

58 セリフ3 人物
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  1. コメント

    それから数日後の部室。練習前を想定。

  2. コメント

    そろそろトレーニングも慣れてきた吟子に、梢が尋ねる。

  3. 吟子

    ライブの予定……ですか?

  4. 花帆

    そう、ライブの予定!

  5. コメント

    吟子と花帆の向かいに、梢が立つ。

  6. ええ。

  7. そろそろ、吟子さんも練習に慣れてきたでしょう。
    だったら次の目標があったほうが励みになるんじゃないかしら。 ね、花帆。

  8. コメント

    ブンブンと首を縦に振る花帆。すでに梢は花帆に前もって話をしていた、という体。

  9. コメント

    吟子だけがまだ不安そう。

  10. 花帆

    はい、梢センパイ!

  11. コメント

    梢が苦笑い。花帆はさらに力いっぱいうなずく。

  12. あなたが良ければ、このままスリーズブーケで一緒に……というのを、
    花帆は望んでいるみたいだけれど。

  13. 花帆

    一緒にやろうよ、吟子ちゃん!

  14. 吟子

    それは……まだちょっと、考えさせてもらっても、いいですか?

  15. コメント

    後ろから花帆の口を塞ぐ梢。そのままの笑顔で。

  16. 花帆

    なんでえ!? むぐっ。

  17. ええ、もちろん。 あなたの3年間がかかっているんだもの。
    慎重になりすぎても悪いということは、まったくないわ。

  18. 一応、ライブの日までにユニットを決めてもらえれば助かるけれど。
    でも、後から変更することも大丈夫よ。 その辺りは、ちゃんと配慮するわ。

  19. 吟子

    乙宗先輩……。

  20. あら、私のことも『梢』でいいのよ。

  21. コメント

    頭を下げる吟子。

  22. 吟子

    う……じゃあ、こ、梢先輩。
    すみません、お手数をおかけして。

  23. コメント

    小声でつぶやく吟子。花帆の目がきらんと光る。

  24. 吟子

    ……花帆先輩にも、こんなによくしてもらってるのに……。

  25. 花帆

    いいんだよ、吟子ちゃん! 後輩の面倒を見るのが、二年生の!
    先輩の! あたしの! 務めだからね!

  26. 吟子

    うわあ暑苦しい……。

  27. ふふっ。 それじゃあ、ライブの予定を組んでしまって構わないかしら?

  28. 吟子

    あっ、はい。 ありがとうございます。
    ライブ自体は、その、緊張するけど……楽しみ、です。 それは、ほんとに。

  29. 花帆

    吟子ちゃんの初ライブ、だもんね!
    あたし、最前列でペンラ振るね!

  30. 吟子

    場合によってはあなたも出るんですが!

  31. 花帆

    え、ってことは、吟子ちゃん、やっぱりスリーズブーケに……!!

  32. 吟子

    ああ言えばこう言う! この人!

  33. コメント

    ふたりのじゃれ合いを見て、梢が笑う。

  34. ふふふっ。 花帆はね、ライブが大好きなのよ。
    自分のライブだけじゃなくて、人のライブもね。

  35. 吟子

    ……スクールアイドルになるために生まれてきたような人……。

  36. コメント

    嬉しそうに笑う梢。

  37. コメント

    花帆も嬉しそうにステージを思い浮かべる。

  38. ええ、本当にね。

  39. 花帆

    ついに吟子ちゃんのデビューライブかあ。
    そうと決まったら、スペシャルな演出を考えたいなあ。

  40. あら、いいわね。

  41. 花帆

    はい! そうだ、ステージをピカピカに飾って、
    金沢城を作っちゃうのはどうですか!? ドーンと!

  42. コメント

    笑顔のままで否定する梢。

  43. そうね、ちょっと難しいかしらね。

  44. 花帆

    演出考えて~、あとは衣装も新しくしたいなぁ~。

  45. コメント

    るんるんの花帆。吟子がさすがに眉を寄せる。

  46. コメント

    小さく手を挙げる吟子。

  47. 吟子

    衣装……。
    あ、でしたら、あの……。

  48. 花帆

    お、吟子ちゃん、希望とかある!?

  49. 吟子

    いえ、なにもかも任せるのは、申し訳ありませんし……。
    衣装づくりなら、もしかしたら……私も、お手伝いできるかも、と。

  50. あら。

  51. 花帆

    そういえば吟子ちゃん、デザインもしてたもんね!

  52. 吟子

    はい。

  53. 吟子

    実は、百生家の家業はーー。

  54. コメント

    吟子と花帆が横に並んで座っている。

  55. コメント

    ふたりで街へお出かけ。花帆は楽しそうで、吟子は無表情。吟子は和装をしている。

  56. 花帆

    吟子ちゃんの家って、加賀繍をやってるおうちなんだねえ。
    あたし、帰ってから調べちゃった。

  57. 花帆

    加賀の金箔、加賀の友禅と並ぶ、加賀の特産品! って。
    すごく綺麗な刺繍だよね!

  58. コメント

    吟子の隣の席で、きょうも喋り倒す花帆。

  59. 花帆

    あっ、ていうかだから吟子ちゃんって普段着もそんなにかっこいいんだ!?
    すごいね、着物すっごく似合ってる!

  60. 花帆

    背がすっと伸びてて、きれいだよ吟子ちゃん!

  61. コメント

    吟子は釈然としない顔。

  62. 吟子

    あの。

  63. 花帆

    なになに?

  64. 吟子

    私、花帆先輩に、
    『外出届の書き方を教えてほしい』ってだけ、言いましたよね。

  65. 花帆

    うん。

  66. 吟子

    ……なんで一緒に来たんですか?

  67. 花帆

    街の方に向かうんでしょ?
    あははっ、だったらもちろん行くよー。

  68. 吟子

    だからなんで!?

  69. コメント

    花帆はぽかんとして、吟子を見返す。

  70. 花帆

    なんで……?
    おやすみの日に、友達とお出かけするのが、なんで……?

  71. 吟子

    ぐっ……と、友達……。
    私とは違う理屈で動いてる人……!

  72. コメント

    急にしおらしくなる花帆に、すっかり振り回される吟子。

  73. 花帆

    それとも、迷惑だった……?

  74. 吟子

    ああもう! そんなことないよって言えば満足ですか!?

  75. 花帆

    えへへ、よかったぁ。

  76. コメント

    相好を崩す花帆に、呆れる吟子。

  77. 吟子

    ……あなたって、誰にでもそんな風なんですか。

  78. 花帆

    そんな風って?

  79. 吟子

    あ、ほら、つきましたよ! 早く降りる降りる!

  80. 花帆

    っそんな風ってなーにー!?