第11話『みんなで、花咲きたい!』
PART 1
- 花帆
ねえ、お母さん……。
- 花帆母
なぁに?
- 花帆
あたし、どうして“花帆”って名前なの?
- 花帆母
それはもちろん、たくさんの人に愛されるお花のように育ってほしいから。
だから、花帆ちゃんは、花帆ちゃんなのよ。 - 花帆
……。 そっか……。
- 花帆
それではみなさん、おつかれさまでした!
- 吟子
では、失礼しますね。
- 花帆
またね~!
- 吟子
ふぅ……。
- 花帆
お疲れ様、吟子ちゃん。
今回の会議も、しっちゃかめっちゃかだったね。 - 吟子
なんとかかんとか、って感じですね……。
- 花帆
しょうがないよ、みんな手探りだもん!
- 吟子
それは本当に、その通りなんですが……。
- 吟子
12月のStarring Bloomの結論を経て、全国様々な場所で
Bloom Garden Partyが連続開催されることになりました。 - 吟子
ですが、スクールアイドルクラブのメンバーだけで、
全国を駆け回りながらイベントを開き続けるのは、不可能……ということで。 - 吟子
そこで発足したのが、Bloom Garden Party運営連合。
別名『ブルパ連合』。 - 花帆
あたしたちのStarring Bloomを見て、
自分たちも『やってみたい!』って声をあげてくれた方々! - 吟子
ええ。 たくさんの人が集まってくれました。
- 吟子
もう何度かこのブルパ連合で会議を開いてますけど……
みなさんの熱量を、ひしひしと感じます。 - 花帆
ほんとに、あたしたちが押されちゃうぐらい元気いっぱいで。
- 花帆
みんなそれぞれやりたいことがあって
集まってくれたメンバーなんだし。 - 花帆
ちっちゃいのも、おっきいのも、
ぜんぶのBloom Garden Partyが花丸大成功してほしいなあ。 - 吟子
まあ、そのために、これまで蓮ノ空が開いてきたイベントのノウハウを、
事細かに共有してるわけですからね。 - 吟子
どちらにせよ……
花帆先輩がひとりでも多くの人に花咲いてほしいという願いから、 - 吟子
Bloom Garden Partyを『みんなで連続開催するイベント』とした以上、
私たちががんばらないといけませんね。 - 花帆
違うよ、吟子ちゃん。
あたしたちだけじゃなくて、ブルパ連合のみんなでがんばるんだよ! - 吟子
それは……はい、その通りですね。
- 吟子
……っていうか。
- 吟子
やっぱり花帆先輩の声に集まっただけあって、
クセが強い人たちの集まりっていうか……。 - 花帆
ええっ!?
それあたしのクセが強いってこと!? - 吟子
あんなに『花咲く』『花咲きたい』『花咲こう』って
みんなで連呼するような会議、他にないでしょ……。 - 吟子
知らない人が聞いたら、頭にハテナだよ。
- 花帆
だってそれがBloom Garden Partyの理念だもん!
- 花帆
よーっし。
それじゃあたしたちも、練習いこ! - 花帆
なんたって! 栄えあるBloom Garden Party、
第1回目の舞台は、蓮ノ空女学院! - 花帆
主催のあたしたちスクールアイドルクラブが、
蓮華祭と合同で開催するんだからね! - 花帆
練習もしっかりして、最高のステージを作らなきゃ!
- 吟子
はいはい。
- コメント
さっさと部室を飛び出していく花帆。
- コメント
そこで、吟子、ふとパソコンに目を凝らす。
- コメント
(※本文には描かれませんが、そこには『続けることに不安を覚えてきました』みたいな、ブルパ連合同士の会話が描かれている)
- 吟子
うん……?
- 吟子
これって……。
- コメント
眉を顰める吟子。
- コメント
外から声がかかってくる。
- 花帆
吟子ちゃん、いくよー!
- 吟子
あ、はーい!
- コメント
まだお風呂に入っていない花帆が、Bloom Garden Party用の資料を作っているところで、お風呂上がりのさやかと瑠璃乃がそれを手伝ってくれているところ。
- 花帆
うーん……うーん……。
- さやか
あら、花帆さん。
- 瑠璃乃
さっきからウンウンうなって、どしたん?
- 花帆
いやあ、実はブルパ連合向けの、資料を作っててさ。
- さやか
おお……花帆さんが、資料作りを……。
- 花帆
えへへ、偉いでしょ!
- さやか
偉いですよ、花帆さん。
苦手なことに率先してチャレンジするだなんて。 - 瑠璃乃
さやかちゃんのセリフ、ぜったいに同級生目線じゃないんだよなあ……。
- 瑠璃乃
資料って、どーゆーやつ?
- 花帆
えっとね、
Starring Bloomであたしたちがもっとたくさんの人に花咲いてもらうために、 - 花帆
どんなことをしたのかって、そういう……Q&A、的な?
- 花帆
例えば瑠璃乃ちゃんは、気持ちを伝えきれない子のために、
ビッグボイス選手権を開いてあげたでしょ? - 花帆
さやかちゃんは『もっと上手になりたい』って子たちの声に、
ビッグ特訓選手権を開いてあげたし。 - さやか
そういう実例がいくつもあれば、ある程度の要望には対応できるから、と。
いろんな事例集を作っているんですね。 - 花帆
そゆこと!
- さやか
すばらしいです。
そのアイディアに花丸をお贈りします。 - 花帆
やったぁ。
- 瑠璃乃
といっても、Starring Bloomのあの無茶ぶりの嵐を、
全国の連続開催で叶えていくとなると、これは大変だぞぉ……。 - 花帆
うん、そうだよね。
- 花帆
12月のときは、あたしたちみんなで『すべての人を
花咲かせるステージ』を作ろうって、必死にがんばってたけど。 - 花帆
全国、すべてのイベントで『どうしてもお願い!』って言うのは、
さすがに無茶だって、あたしもわかってるんだ。 - 花帆
ブルパ連合には、
イベント運営に慣れてない子たちだっていっぱいいるだろうし、 - 花帆
あんまりプレッシャーかけるのもよくないのかな、って。
- さやか
……花帆さん。
- 花帆
だからね! こうして、ブルパ連合の一員であり、
Starring Bloomを成功させた蓮ノ空として! - 花帆
今のうちにあたしができそうなことは、したいなって思ってて!
- 花帆
それに、心配ばっかりじゃないんだよ。全国で連続開催ってことは、
- 花帆
ぜったいにあたしたちの手が届かない人たちだって花咲ける場が、
作られるってことなんだから。 - 花帆
より広く、よりたくさんの人に届くイベントになったのは、
素直に嬉しいもん! - さやか
……ひとりでも多くの人の夢を、ですね。
- 花帆
うんっ。
無茶なのはわかってるけど、でも、やっぱりそこが大事だから! - 瑠璃乃
やっぱりルリ、花帆ちゃんのそういうとこ、好きだな。
- 花帆
えへへ、ほんと?
- 瑠璃乃
そりゃ仕方ないっしょ。 花帆ちゃんなら、
きっと最後まで諦めないんだろうなって、そう伝わってきちゃうんだもん。 - 瑠璃乃
ルリがいちばん大事にしたいところを、ちゃんと大事にしてくれる子なんて、
好きにならないわけなくない? - さやか
それを言うと、わたしは……。
- 瑠璃乃
いやさやかちゃんだって面倒見いいじゃん!?
- さやか
ですがわたしは、イベントの運営とスケジュールを天秤にかけて、
- さやか
最後の最後まで誰も見捨てないことがぜったいにできるかと聞かれると、
正直自信がありません……。 - 瑠璃乃
そういう子もいるから、イベントが成り立ってるんだって!
- 瑠璃乃
ルリと花帆ちゃんだけのBloom Garden Partyなんて、考えてみてよ!
そもそも実現不可能だよ!? - 花帆
そこまでハッキリ言い切っちゃう!?
- さやか
それでも……昔よりは確かに、諦めが悪くなった気がします。
というより、想像力が広がったのかもしれません。 - さやか
ここでもし、わたしたちが手を離してしまったら……
目の前のこの子は、 - さやか
成功体験を得られる機会を失い……
そのことはきっといつまでも、心に残ってしまうだろうな、と。 - さやか
『やりたかったことをやり遂げること』。
それがどれだけ価値のあることなのか、
わたしもようやくわかってきましたから。 - さやか
素敵でしたね、 Starring Bloom。
みなさんの笑顔が、花のように咲き誇って……。 - 瑠璃乃
それは、ほんとに。
- 花帆
うん。
- さやか
というわけで、花帆さん。
- さやか
資料作りはわたしと瑠璃乃さんがしばらく代わりますよ。
お風呂まだでしょう? - 花帆
いいの?
- 瑠璃乃
うん、任せて。
あったまってくるといいよ。 - 花帆
ふたりとも、ありがとね!
- さやか
ではやりましょうか、瑠璃乃さん。
- 瑠璃乃
やろやろ。
- さやか
相方がわたしでは、あまり気が進まないかもしれませんが……。
- 瑠璃乃
いやルリとさやかちゃんの3年間の付き合い、
こんなことで揺らいだりしないかんね!? - 瑠璃乃
さやかちゃんのことも大好きだよ!?
- さやか
……ふっ、ふふっ。
- 瑠璃乃
あっ、こら! さてはルリをからかってるなー!?
- さやか
ごめんなさい。 だって、ちょっと羨ましかったんですもん。
- 吟子
あの、花帆先輩はいますか?
- さやか
あら。
花帆さんなら今、お風呂に行きましたよ。 - 瑠璃乃
どったの?
- 吟子
あ、えっと……。
実は、広実さんとも話したんですが、ちょっと問題が起きてるみたいで……。 - 瑠璃乃
広実ちゃんと?
- 吟子
はい、とにかく、明日直接お話することになって。
花帆先輩にも来てもらおうかと。 - 吟子
なんでも、広実さん曰く……。
ーー『ブルパ連合がなくなってしまうかもしれない』と。 - さやか&瑠璃乃
えっ!?
- コメント
広実からの依頼シーン。登場は、花帆と吟子。
- 花帆
広実ちゃん!
- 広実
お、おう、花帆サン……。
それに吟子さんも、来てくれてありがとうな。 - 吟子
それはいいんですが……。
- 花帆
どういうこと!?
ブルパ連合がなくなっちゃうかも、って! - 広実
あ、いや!
- 広実
え、ええとな、実は!
- 花帆
たくさんの人たちから、ブルパ連合をやめたいって、相談されてる……?
- 広実
……本人たちがやめたいって口にしてるわけじゃ、ねえんだけど。
- 吟子
……私も気づいたのは、つい最近でした。
- 吟子
ブルパ連合の方が不安そうにしてたのを見て、
ちょっと連絡を取ってみたんです。 - 吟子
そうしたら、他にも同じような子が多いって話を聞いて、
それで、広実さんに話を聞いてみたんです。 - 広実
アタシも、ブルパ連合の一員として準備を進めてる最中で……
最近、よく相談を受けるようになったんだ。 - 花帆
そ、それって……!
- 広実
家とか仕事の事情でスケジュールが取れなくなって、
やむを得なく辞めた人は、そりゃしょうがねぇよ。 - 広実
だけど、本人が続けたいって言ってるのに、
- 広実
『このままじゃ自信がない』って相談を受けたら、
そりゃ、なんとかしてやらなきゃって思うだろ? - 花帆
自信がない、って……どういうこと?
- 広実
なんつーか……。 口を揃えて言うのが『こんな自分じゃ、
誰かを花咲かせることができない』ってんだ。 - 吟子
それこそ、どうして。
- 広実
わかんねえよ!
そんなこと言ったら、アタシだって誰も花咲かせられなくなるっての! - 広実
だってのに……!
- 花帆
だから、ブルパ連合がなくなるかもしれない、って……。
- 広実
あ、いや……それはあたしもテンパって、つい大げさに言っちまって……。
でもまあ……もしかしたら、って……。 - 花帆
ねえ、広実ちゃん。
その子たちに、もっと詳しい話を聞けないかな? - 花帆
これは、あたしたちみんなで取り組んだほうがいいと思うから。
ね、吟子ちゃん。 - 吟子
そうですね……。
今回ばかりは私も全面的に同意します。 - 広実
かたじけねえ!
花帆サンが話してくれるなら百人力だ! - 広実
それじゃ早速、連絡しておくからさ!
よろしく頼むぜ! - 花帆
うん!
- 吟子
……。
- コメント
力いっぱいうなずく花帆と、吟子は浮かない顔。吟子はこの時点で、自信がなくなった人たちの気持ちが、ちょっとわかってしまっているから。