第10話『ゆえに、ルリあり。』
PART 6
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東京行きの新幹線。隣同士に座る姫芽と瑠璃乃。
- 姫芽
いや~、東京楽しみですね~。
遠征以来~? - 瑠璃乃
だね。 それにしても、ラブライブ!決勝か……まさか、
こういう形で行くことになるとは思わなかったなー。 - 姫芽
出ないのと見にもいかないのは別ですからね~。
- 姫芽
きっと今年も、
ばっちばちのスクールアイドルのしのぎ合いがあるに違いない……! - 姫芽
いや~、テンションあがりますね~!
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拳をワンツーと突き出しながら、わくわくを押さえきれない姫芽。
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そんな姫芽を前に、瑠璃乃は“ぶつかり合う”ニュアンスに思いをはせる。
- 瑠璃乃
しのぎ合い、か……。
- 姫芽
どうしました?
- 瑠璃乃
ううん。 でも助かったよ、姫芽。
誘ってくれてさ。 - 姫芽
そう言ってもらえると。
充電がてら行くっていうなら、ひとりの方がいいかな~とも思ったんですが。 - 瑠璃乃
ルリにはこの選択肢はなかったしさ。
言われてみて確かにって思った。 - 瑠璃乃
そもそも東京って、ラブライブ!決勝がなくても流行の中心で、
バズる曲に向き合うならぴったりだし。 - 姫芽
確かに! むしろそっちはアタシ考えてませんでした!
- 瑠璃乃
そこにラブライブ!決勝だもん。
すごい曲を知ることが、バズ曲作りのきっかけにもなるかなって。 - 姫芽
そう言ってもらえると! ……でも、そっか、そういうことか。
わかりましたよ、荷物棚に置いたでかい荷物の正体が。 - コメント
姫芽の視線が、瑠璃乃の持ってきたギターケースに向く。
- 姫芽
流行に向き合って、
すぐさま曲を作りたいってことで、ギター持ってきたんですね~。 - 瑠璃乃
合流する時からわかってたでしょ!?
- 瑠璃乃
もともとね。 ひとりで出かけるにしても、
やろうと思ってたんだ、弾き語り。 - 瑠璃乃
いろんなところにいって、刺激を受けてみようかなってさ。
- 姫芽
おお……! でもなんでまた弾き語りを。
あ、いえ、るりちゃんの弾き語りは大変喜ばしいことなのですが。 - 瑠璃乃
人の反応がじかに見える方がいいかなって。
- 姫芽
るりちゃんせんぱい、曲作る時は確かにギターですもんね~。
あれかっこいいですよね~。 最高~……。 - 姫芽
もしかしてこのままかっこいいるりちゃんを解放すれば、
それだけでバズるのでは……? - 瑠璃乃
なんて????
- 姫芽
なんでもないですよ~。
- 姫芽
……めぐちゃんせんぱいの許可も取れないだろうし。
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そう言ってから独り言。苦笑いして。
- 姫芽
さ、ほら、そろそろ着きますよ、東京に!!
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拳を突き上げた姫芽。
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新幹線が東京に向かって走っていく――。というところで〆。
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ドームや客席を映せないので、夜空を描き、その下のドームで開催中という形のイメージを取りたいです。
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わー、と歓声。
- アナウンサー
それでは、今年度ラブライブ!の優勝校はーー!!
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姫芽と瑠璃乃が取ったホテル。
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姫芽と瑠璃乃が、ラブライブ!決勝の舞台を離れて一息吐くというイメージ。
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瑠璃乃は満足感にぐーっと伸びをしていて、姫芽は興奮冷めやらぬ印象。
- 姫芽
めっちゃくちゃ! 盛り上がってましたね~!!
- 瑠璃乃
だね……すっごく、強い熱があった。
- 瑠璃乃
絶対に優勝するんだっていう、みんなの熱。
- 瑠璃乃
優勝した学校も、そうじゃないところも、
わたしたちが勝ちたいんだ、って……強い強い想いがあった。 - 姫芽
参考になりました~?
- 瑠璃乃
うん。
- 瑠璃乃
行きの新幹線でさ、姫芽が言ってたよね。
ばっちばちのスクールアイドルのしのぎ合いが見られるって。 - 姫芽
はい! いや~、実際その通りでした。 たまらんぜ~。
- 瑠璃乃
めぐちゃんのバズ曲の形とは、
もしかしたらちょっと違うかもしれないけど。 - 瑠璃乃
でも、みんながもっと聴きたい、
何度も聴きたいって思うような熱が、たくさん披露されてた。 - 瑠璃乃
これはすっごく、参考になったよ。
- 姫芽
曲、書けそうですか?
- 瑠璃乃
うん、まずはやってみる。
みんなの心に届くような、強い曲を目指して。 - コメント
人通りが多くて自然の多い公園。
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一晩頑張って、曲の素案を書き上げた瑠璃乃がやってきて、弾き語りを始めるシーン。
- 瑠璃乃
ふわ……つい徹夜しちゃったけど、なんとかまとまったかな。
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あくびをかみ殺しつつ、ノートに譜面を書き終えた瑠璃乃が、ギターを片手にベンチに座る。
- 瑠璃乃
ここを歩いてるみんなが、興味を持ってくれる曲になってるといいな。
- 瑠璃乃
……よし。
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そう言って、やるぞ、と気合を入れてギターを弾き始める瑠璃乃。
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瑠璃乃のもとに姫芽がやってくる。
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夕食を持ってきたイメージ。
- 姫芽
調子はどうですか、るりちゃんせんぱ~い。
お夕飯買ってきましたよ~。 - 瑠璃乃
おかえり、姫芽。
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振り返る瑠璃乃は少し疲れた表情。
- 姫芽
ありゃ、その様子だと。
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瑠璃乃、強気に頷く。
- 瑠璃乃
うん、全然ダメだね!
- 瑠璃乃
とりあえずで作った曲ではあるけど、
いつも通りルリは良い曲だと思って作ったものでもある。 - 瑠璃乃
それが全然立ち止まってもらえないんだから、ちょっと堪えるなーとは思うよ。
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口ではそう言いつつ、まだまだめげてはいない。
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とはいえそんな瑠璃乃の状況に衝撃を受ける姫芽。
- 姫芽
そん、な……。 天下のるりめぐがひとり、
るりちゃんせんぱいの天使のような歌声なのに……! - 姫芽
見る目のない……いや、耳のない……!
- 瑠璃乃
そう言わないで。
むしろありがたいなって思ってるんだから。 - 姫芽
と、いうと……?
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そんなことある?という顔の姫芽。
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瑠璃乃は周囲を見渡す。今日弾き語ってみての周囲の様子を思い出すように。
- 瑠璃乃
やっぱり、弾き語りはして正解だったなって。
- 瑠璃乃
みんなの反応が生で見えると、
少なくともこれがダメだっていうのはぱっとわかるし。 - 瑠璃乃
試行錯誤していかないとね。
小鈴ちゃんじゃないけど、次いこ次! ってね! - 姫芽
あれは小鈴ちゃんのメンタルありきの蛮族プレイですよ???
- 瑠璃乃
姫芽だってそんな感じでトレモやってるじゃん?
ていうか、そういう意味なら姫芽とゲームで対戦してるのだって、
ルリにとってはこれと変わらないよ。 - 姫芽
なる、ほど。
弾き語りは、トレモ……。 - コメント
そうなのかな、そうなのかも、と思う姫芽。
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そんな姫芽を前に、瑠璃乃は空を見上げて思いを馳せる。
- 瑠璃乃
それから、さ。 ちょっと懐かしいことも思い出したよ。
- 瑠璃乃
ずっと昔のことだけど。
ルリ、こういう公園で曲作ってたんだ。 - 姫芽
ここに来て初出しエピソードだと!?
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姫芽の反応に苦笑する瑠璃乃。
- 瑠璃乃
めぐちゃんがさ、ママと喧嘩して家飛び出しちゃって。
いつもの公園で塞ぎ込んでてさ。 - 瑠璃乃
その時に、へったくそな歌作って歌ったんだ。
- 姫芽
へえええ……!
なんで歌だったんです? - 瑠璃乃
なんでだったかなあ。
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少し考える瑠璃乃は、思い出す。
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照れくさそうに苦笑いしながら。
- 瑠璃乃
あの頃のルリってさ。
自分で言うのも恥ずかしいというか、情けないやつだったんだよ。 - 瑠璃乃
引っ込み思案で、なんにもできなくてさ。
そんなルリを引っ張っていろんなところに連れ出してくれるめぐちゃんに、 - 瑠璃乃
素直に憧れてて……でも、
そのめぐちゃんに対してできることは何もなかった。 - 瑠璃乃
なにかしなくちゃダメだ。 どうにかしてめぐちゃんを励ましたい。
- 瑠璃乃
そんな風に思った結果……だったと思うな。
なんで歌だったのかはわからないけど……でも。 - 姫芽
でも?
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姫芽が喜ぶんじゃないかと期待して、微笑みながら瑠璃乃が言う。
- 瑠璃乃
実はそれがBANG YOU グラビティのプロトタイプだったりする。
- 姫芽
エー!? 最高じゃないですか!!!
- 姫芽
BANG YOU グラビティは、
めぐちゃんにスクールアイドル復帰してほしい一心で作った歌! - 姫芽
るりめぐみらくらぱーく!の始まりのためにるりちゃんが用意し……
結果その時はめぐちゃんと2人では歌わなかったものの!
その逸話からるりめぐ推しの間で伝説の一曲……! - 姫芽
しかもさらになんと!
そのBANG YOU グラビティのもとになった曲は、
やっぱりめぐちゃんを励ます歌だった! - コメント
喜ぶとは思っていたけど想像以上のテンションに瑠璃乃が押される。
- 瑠璃乃
ま、まあそうかな。
- 瑠璃乃
でもそう考えると……今も、
めぐちゃんのために曲を作ってるのは、なんというか重なるなあ。 - 姫芽
ですね~!
今回は、めぐちゃんを立ち上がらせなきゃってわけじゃないですけど……
めぐちゃんを助けるために、るりちゃんが作る歌、ですもんね! - 瑠璃乃
だね。 初心に戻ってみると、そうだなあ。 なにかしなくちゃダメだ、
今のままじゃダメだ、っていうのは……あの時と一緒か。 - 瑠璃乃
めぐちゃんを助けられないようなルリのままで居ちゃいけない。
- 瑠璃乃
むしろ……あの時のルリをいつも引っ張ってくれた、
めぐちゃんみたいに……。 - コメント
目を閉じる瑠璃乃。
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腰に手を当てた幼少期の慈の背中が映る。
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瑠璃乃は顔を上げ、目を開ける。
- 瑠璃乃
よし、やれる気がしてきた!
- 姫芽
おお……! といっても、今日はもう遅いですからね。
明日から頑張っていきましょう! - 瑠璃乃
ん。 付き合ってくれてありがとね、姫芽。
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夜が更けていく。
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夜が明けて、朝になる。
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翌朝の演出。
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瑠璃乃は朝から公園にやってきて、歌い始める。
- 瑠璃乃
よし……やるぞ。
- 瑠璃乃
ちらほら聴いてくれる人は増えたけど……ふむ。
- 瑠璃乃
……もっと強い曲の方がいいな。
たぶんこの方向だ。 それから、聴いてくれそうな人も増やさなきゃ。 - コメント
自然に人の多いところを選んでいく瑠璃乃。
- 瑠璃乃
聴いてくれてせんきゅー!!
みんな楽しそうでなにより!! - コメント
渋谷のガード下のような、弾き語りで人が賑わえる場所。
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姫芽が様子を見に来て、驚く。
- 姫芽
るりちゃんせんぱ~……おお。
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瑠璃乃が笑顔でみんなに手を振っている。
- 姫芽
さっすがるりちゃんせんぱい、大盛況!
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笑顔を見せた姫芽が、瑠璃乃に歩み寄っていく。
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弾き語りが終わって、一息つくタイミング。
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瑠璃乃が心地よい疲労に浸っていて、姫芽はそんな瑠璃乃に寄り添っている。
- 姫芽
めっちゃくちゃ盛り上がってましたね!
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姫芽に気づくと、瑠璃乃はピースサイン。
- 瑠璃乃
うん、弾き語り大成功!
- 姫芽
やっぱりみんなの反応がじかに見られるところでやると違いますか。
フィードバックもすぐにできるというか。 - 瑠璃乃
そうだね。
それもあるけど……なんというか、場所も大事だなって思ったよ。 - 姫芽
人の多い場所を選んでましたもんね。
- 瑠璃乃
そうそう。 なんというか、場所によってルリの気持ちも変わるんだ。
もっと元気に、もっと楽しく。 いろんな場所で歌うって、大事だねえ。 - 姫芽
勉強になります~!
- 姫芽
じゃあ、曲はできましたか?
- 瑠璃乃
うん、編曲はこれからしっかりしなきゃとは思うけど。
- 姫芽
それは良かったです~!!
- 瑠璃乃
なんというか、さ。
ルリ、2年越しに、めぐちゃんの言ってたこともわかった気がするんだ。 - 姫芽
2年前? なんかあったんです?
- 瑠璃乃
ルリのやりたいことは……よく知らない子を相手にただ控えめに
「来れたら来てね」って言ってるだけだって。 - 瑠璃乃
その時は違うと思ったし、
実際ルリのやり方は間違ってなかったと思うけど…… - 瑠璃乃
今はもう、それだけじゃダメなんだ。
- 瑠璃乃
必要なのは、強さだった。
- 姫芽
強さ。
- 瑠璃乃
そう。 世界中を夢中にする、めぐちゃんと並び立てるようになるには、
- 瑠璃乃
めぐちゃんの良さをも取り入れて、
もっともっと強いルリになる必要があったんだ。 - 姫芽
なるほど……めぐちゃんをも融合したハイパーるりちゃん……!
- 瑠璃乃
うん。 きっと強くなれた気がするよ!
この曲なら……めぐちゃんも喜んでくれるはずだ!! - 姫芽
よおし、編曲はばっちり手伝いますよ~!
このタイミングで東京来てよかったですね!! - 瑠璃乃
だね!! ホテル戻って、最終調整だ!!