第9話『ALL Link to YOU』
PART 7
- 花帆
ぴんぽんぱんぽーん!
日野下花帆です! フラワー! - コメント
直前の点描シーンから数日後です。(その間に、様々な関係者各所と打ち合わせをした、というイメージです)
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館内にアナウンスが流れる。作業中の広実が映し出される。(リアクション要員)
- 花帆
きょうは、すごく大事なお話があります!
みなさん、ちょっとだけ手を止めて、聞いてください! - コメント
作業中の広実が手を止めて、顔を上げる。
- 広実
ん……?
- 花帆
あたしたちは『すべての人が花咲くためのステージ』を作りたくて、
このBloom Garden Partyを始めました。 - 花帆
でも、みんなの願いを聞いてるうちに、
今のままじゃだめだって、そう思ったんです。 - 花帆
どうにかしたくて、たくさんの人たちと話し合いました。
いろんな案が出ましたが、決め手は9月に開催したイベント、
Bloom Daysでした。 - 花帆
あのときは、Bloom Daysをより大きく盛り上げるために、
金沢の街の人たちが立ち上がって、開催期間を延長してくれました。
それと同じことをもう一度、このイベントでやろうと思うんです! - 花帆
あたしたちの声に、今度は金沢の街の人たちが、応えてくれました。
だから、決めました! - 花帆
それはーーこのStarring Bloomの、開催期間の延長です!!
- 広実
…………はあ!?!?
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ここで、カメラが花帆に戻ってくる。
- コメント
マイクに向けて、情熱的に演説する花帆。
- 花帆
あたしたちは、Starring Bloomの夢の形を、変えようと思います。
- 花帆
Starring Bloomと、そしてこの後に始まるBloom Garden Partyは、
開催期間を延長して……そして! - 花帆
大きなお花を咲かせるんじゃなくて、
たくさんのステージを、お花畑を作るんです! - 花帆
どんな夢だって叶えられるように!
ひとりひとりが花咲けるように! - コメント
ここで、病院で配信を見ているスクールアイドルのリアクションを映す。
- スクールアイドルD
え……?
- 花帆
スケジュールの都合がつかなかった人も、怪我しちゃった人も、
ステージが使えなかった人も、みんながみんな、花咲けるように! - 花帆
この金沢で、必ずみんなを花咲かせてみせます!
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花帆に戻って。
- 花帆
あたしの夢は、『すべての人が花咲くステージ』を作ること……。
だったら! - 花帆
夢の形にこだわる必要なんて、なかったんです!
- 花帆
ひとりひとりが花咲くステージを作る。
ひとつのステージだけでうまくいかなければ、何度でもステージを作る。 - 花帆
もし、集まってくれたすべての人の夢が、ぜんぶ違う形なら!
それと同じ数だけのお花畑を、作ってみせます! - 花帆
それが、あたしたちの夢なんです!!
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各地に飛んで、リアクション。
- 広実
ってことは……。
- 広実の友達
トロッコ……使えるってこと!?
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空映す
- 社会人のお姉さん
ねえねえ!? 今!
……えっ、配信されてる!? 見てた!? - 社会人のお姉さん
私たち、同じステージに立てるよ!
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そこでカメラが、客席に立っている瑠璃乃とさやかに映る。
- コメント
ふたりは、花帆の思い付きを手伝ったふたりなので、『こんな、あたしの急な思いつきに~』のセリフに合わせて、お互い、肘で突っつき合ったりして、「いやーがんばりましたなぁ」と笑顔で、じゃれている。
- 花帆
……こんな、あたしの急な思いつきに勇気をくれたみんな……。
- コメント
ここで、カメラが花帆に戻ってくる。クライマックスの盛り上がりに向けて、真剣に演説している花帆が画面に映る。
- 花帆
そして、この夢に賛成してくれたみなさん……。
本当に、ありがとうございます。 - 花帆
改めて、言うね。
- 花帆
みんな! このStarring Bloomのステージで!
『繋がる力』で! - 花帆
みんなで一緒に、花咲こうね!!
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会場がぜんぶ、拍手に包まれる。
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完結!! ハッピーエンド!!!
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そんな花帆の笑顔を見つめている女がいた。
- お手伝いのスクールアイドル
……日野下、花帆……。
やっぱり、また……! - コメント
最後まで準備に残っていた花帆が、ひとり帰ろうとしている場面。
- コメント
他の蓮ノ空メンバーを「先に帰っていいよ」と帰らせ、期間延長に伴って発生した、様々な人たちとの打ち合わせを、残って続けていた、という設定。(※本文には登場せず)
- 花帆
わ……。 ……遅くなっちゃった。
- 花帆
でも、うん……。
- 花帆
よかった……。 これで、ようやく……。
すべての人を花咲かせたって、言えるんだ……。 - コメント
ひとりうなずいて、今回のイベントの手ごたえを実感する。
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花帆、相好を崩す。
- 花帆
えへへ……。
あたしってほんとに、幸せだな……。 - 花帆
夢を、叶えられるんだ……。
- コメント
そこに、ひとりのスクールアイドルが立ちはだかる。
- お手伝いのスクールアイドル
待って。
- 花帆
えっと……。 あ、最初に声をかけてくれた子、だよね!
先輩と同じステージに立ちたくて、来てくれた。 - お手伝いのスクールアイドル
……いい、演説だったね。
- 花帆
あはは……。 ありがと。
- コメント
照れた笑みを浮かべてる花帆。
- コメント
だがそこで、つぐみの口調が鋭いものに変わる。
- お手伝いのスクールアイドル
『繋がる力』。
ーーそれでまたあなたは、自分たちの願いだけを、叶えるつもりなんだ。 - 花帆
え?
それは、どういう意味……? - お手伝いのスクールアイドル
私を覚えてない? 日野下花帆。
- お手伝いのスクールアイドル
そうでしょうね。
あなたたちには、私なんて見えてなかった。 - お手伝いのスクールアイドル
私は、新潟県立晴里高校のスクールアイドル。
- お手伝いのスクールアイドル
2年連続でラブライブ!北陸予選を敗退したーー。
ーーあなたたち蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブに夢を奪われた、
スクールアイドルだよ。 - 花帆
ーー。
- お手伝いのスクールアイドル
私たちの願いは、もう二度と叶わない。
言いたかったのはそれだけ。 じゃあね。 - 花帆
ーーま、待って!
- 花帆
あの、えっと……! でも、あたしたちは……!
- お手伝いのスクールアイドル
……そういう、強引で、思いつきで喋るところ、いつもうんざりしてた。
- 花帆
ね、せめて話を! 話をしよ……!?
- 花帆
あたしたちの想いを聞いて、あなたの想いを、
聞かせてもらったら……そうしたら、きっと! - お手伝いのスクールアイドル
そうしたら、なに?
- お手伝いのスクールアイドル
あなたと“繋がった”ら、時間が巻き戻るの?
私たちが叶えられなかったラブライブ!優勝の夢を、もう一度叶えられるの? - 花帆
それは、できないけど……!
- お手伝いのスクールアイドル
だったら余計なことは言わないでよ!
踏みにじられた花のこと、少しも気にしたことなんてないくせに! - 花帆
っ!
- お手伝いのスクールアイドル
ラブライブ!決勝大会は、私たちにとっても、夢のステージだった!
それを、あんな風に署名を集めて、反対意見を封じ込めて!
贔屓した友達を、無理矢理ステージにあげた! - お手伝いのスクールアイドル
あんたたちは、私たちの夢を潰しただけじゃなくて!
その夢を、嘲笑ったんだ! - 花帆
そんな……!
- お手伝いのスクールアイドル
なにが『繋がる力』だ!
そんなのーーあんたが、自分の願いを叶えるためだけの道具じゃないか! - お手伝いのスクールアイドル
このイベントで何万人が、何十万人があんたたちに感謝しても!
あたしだけは絶対に、許さないから! - 花帆
あ、あ……。
- コメント
あまりのショックに、うつむく花帆。
- 花帆
踏みにじられた、花……。
- 花帆
あたしは…………あたしは……。
- コメント
ひとり、さまよい歩く花帆。
- コメント
どこをどう歩いて学校に帰ってきたのかも、覚えていない。頭の中には、何度もつぐみの声が響いていた。
- 花帆
……。
- 花帆
あたしたちが、奪った、夢……。
- 花帆
二度と叶えられない、夢を……あたしが、嘲笑った……?
- 花帆
そんなのって……。
- コメント
人気のないところへとふらふらと歩いていって、気づけば、大倉庫にまでやってくる。
- 花帆
……。
- 花帆
あたしは……。
- 花帆
あの子に、なにも言えなかった……。
- 花帆
ーー。
- コメント
回想始め
- コメント
署名集めに、各地を奔走していたときの記憶を思い出す花帆。
- 花帆
あの、署名お願いします!
どうしても、ステージにあげて……夢を叶えたい人が、いるんです! - 花帆
『繋がる力』で、その願いを、叶えてあげたいんです!
- コメント
回想。
- コメント
ラブライブ!優勝を仲間たちと目指した、あの輝かしい日々を思い出す花帆。
- 花帆
……あのとき。
- 花帆
協力してくれない人も、たくさんいて……。
署名に書いてもらった反対意見だって、ぜんぶしっかりと読んで……。 - 花帆
あたしはちゃんと、
ひとりひとりの意見に向き合ってた、つもりだったのに……。 - 花帆
ほんとは、ぜんぜん……向き合えてなんて、なかったんだ……。
- 花帆
だって……。
- 花帆
だって!
あの子も……泣いてた……! - 花帆
こんなあたしが……誰かの願いを叶える資格なんて……っ!
- コメント
回想。
- コメント
ラブライブ!優勝を仲間たちと目指した、あの輝かしい日々を思い出す花帆。
- 梢
一緒に、夢を信じてくれる……?
- 花帆
もちろんです!
- コメント
花帆は涙を拭って、両手を広げて梢に告げる。
- 花帆
あたしたちでーー夢を叶えましょう!
- コメント
顔をあげる花帆。
- 花帆
あ…………。
- コメント
大倉庫のガラス棚に、優勝旗を持って満面の笑みを浮かべている梢の写真があった。
- コメント
回想始め
- セラス
あのね、花ちゃん。あのね。
- コメント
何度も言葉に詰まる。涙があふれて止まらない。
- セラス
わたし……なんて言えば、いいか。
- 花帆
なんにも言わなくていいんだよ。
ただ、笑って、せっちゃん。 - 花帆
あたし、せっちゃんの笑顔を花咲かせたかった、だけだから!
- コメント
涙を流したまま、にっこりと笑うセラス。
- セラス
……うん!
- コメント
回想終了。
- コメント
それは花帆にとって自己実現を果たした瞬間の、輝かしい記憶。
- コメント
だが、誰かの夢を叶えた瞬間にも、誰かの夢を潰してしまったのだと突きつけられてしまって、もう前にも後ろにも進めなくなってしまう花帆。
- 花帆
あたしは……。
- 花帆
あたしはそれでも、みんなの、笑顔を…………っ!
- コメント
ぐっとこらえて、涙を飲み込もうとする花帆。このまま立ち止まるわけにはいかない。だってもうイベントは走り出しているのだ。どんなに間違っているとしても、進むしかない。
- 吟子
花帆先輩!
- コメント
そこで、吟子の声がする。
- コメント
振り返る、花帆。
- 花帆
……えっ?
- 吟子
ライブTシャツの打ち合わせ、帰ってからするって言ってたのに、
電話もぜんぜん出ないで……。 ……って。 - コメント
すぐに様子がおかしいことに気づいて、眉根を寄せる吟子。
- 吟子
花帆先輩……?
- 花帆
あっ、えっと、これは!
- 花帆
そ、そうだよね! ごめんね! 今、行くね!
- コメント
不安げに問いかける吟子。
- 吟子
……なにがあったの?
- 花帆
別に、大したことじゃ。
- 吟子
花帆先輩。
- コメント
ここで覚悟を決めたように花帆に近づく吟子。つかつかとやってきて、花帆の手首を掴む吟子。
- 吟子
なにが、あったの?
- コメント
真剣に問いかけるように。
- 花帆
吟子ちゃん……っ。
- コメント
吟子に顔を覗き込まれて、つい涙腺が緩んでしまう花帆。その目が潤む。涙がこみ上げてくる。
- コメント
それとともに、せき止めていたものがあふれ出てくる。
- 花帆
あたし、みんなの夢を叶えるんだって、そう思ってたのに……!
- 花帆
『繋がる力』は、あたしたちの夢を叶えるためだけのもので……!
だからあたしを、許さないって……それで……! - 花帆
梢センパイを優勝させたかった気持ちも、
せっちゃんをステージに上げたかった気持ちも……! - 花帆
みんなの笑顔を花咲かせたい気持ちだって、
嘘じゃないのに! - 花帆
あたし、あたし……!
- 花帆
うわぁぁぁ……!
- コメント
吟子に肩を抱かれながら、泣きじゃくる花帆であった。