第8話『今はまだ遥か幽かな光』
VENUS
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海莉とふたり、カフェで話している最中。セラスが海莉とともにタブレットを覗き込みながら、唖然としている。
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※アドベンチャー演出。セピア色の風景から始まって徐々に色づいていく。そこで過去であることを表現。なんだったらすべてのシーン(エンディングパート以外)はすべてそれで始まってもいいかも?
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また、場面が変わるごとに、多少説明口調でも、時系列を提示するように。
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呆気に取られるセラス。
- セラス
なにこれ。
- 海莉
来週に迫った第二回瑞蓮祭で披露する、
再現VTRですけど……? - 海莉
そのとき瑞河の歴史が動いた……。
- 海莉
セラス先輩が桂城先輩をスカウトした運命の出会いのシーンを、
有志が再現した映像です。 - セラス
雷鳴が轟き響いてるんだけど……。
- 海莉
演出です。
- セラス
わたし役のひとが泉役のひとの手を取った瞬間、暗雲が真っ二つに割れて、
天から光が降り注いでラッパの音が聞こえてきた……。 - 海莉
そこは史実通りですね。
- セラス
どういうこと??
- 海莉
ではセラス先輩。 明日のスケジュールですが。
- 海莉
きょうは実家に泊まるそうなので、朝7時から撮影会。
メディアのインタビューが3件。 - 海莉
その間に、事務所でサインを書いていただきます。
2000枚ほど、依頼が来てます。 - セラス
2000枚……。
もつかな、わたしの手首。 - 海莉
セラス先輩が胸張って、何枚でもいいよって言ってくださるから……。
- セラス
まあ、がんばる。
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ぐっと拳を握るセラス。
- 海莉
でも、大丈夫ですか? その、体調とか。
- セラス
いけるいける。 瑞蓮祭の開催も、もうすぐだからね。
それまで、やれることは、ぜんぶやっておきたいから。 - セラス
わたしがその、
なんとかの聖女って扱いされるのも、恥ずかしいは恥ずかしいけど……。 - 海莉
救国の聖女、セラス 柳田 ジャンヌ・ダルクです!
- セラス
苗字みたいになってる……。
- セラス
まあ……恥ずかしいけど、
でもどこかで誰かが少しでも助かるなら、がんばりたいんだ。 - セラス
やっぱりね、嬉しいから。
- セラス
瑞河復活のために、これだけ多くの人が動いてくれてることが。
もちろん、海莉が一生懸命考えてくれてることも。 - 海莉
セラス先輩……!
- 海莉
私、セラス先輩のこと、本当にすごいなって思ってるんです。
- 海莉
去年のセラス先輩は、今の私と変わらない年で、
瑞河を廃校から救うために、全国を駆けずり回ってて……。 - セラス
……別に、わたしは、できることをがんばろうって思っただけだよ。
- 海莉
それでも、一生懸命なセラス先輩の姿が、ずっと眩しかったんです。
- 海莉
だから私も見てるだけはもうやめて、
やりたいことをやろうって、決めたんです。 - 海莉
私、瑞河が復活したら、スクールアイドルをやろうって思ってます。
今度こそ瑞河の名を背負って、ラブライブ!全国大会の、優勝を目指して! - セラス
あ……。
- 海莉
先輩!
よかったら、瑞河に戻って……私と一緒に、スクールアイドルしませんか!?
今度こそ瑞河の名を、世界に! - 海莉
これもセラス先輩の言っていた『リベンジ』ですよね!?
- セラス
……海莉。
- セラス
えっと、その……わたしは……。
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セラスは視線を逸らす。
- セラス
わたしは……。
- 海莉
……あ、すみません!
まだどうなるかわからないのに、気が逸ってしまって……。 - 海莉
でも私、本気です!
セラス先輩も、考えててくださいね! - 海莉
ここまで来たら、もう、あと一息ですから!
ぜったいに、私たちの瑞河を、取り戻しましょうね! - セラス
……うん。 がんばろ。
- 海莉
……はい!
- 海莉
あっ、そうだ。 明日、午後にもう一件、予定入ってるんです!
- セラス
予定?
- 海莉
はい。 それはーー。
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病院を見上げるセラス。そこは、自分が入院していた病院だった。
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きょうの予定は、慰問だ。
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病院を見上げて、驚きながらつぶやくセラス。
- セラス
ここ……わたしの入院してた、病院……。
- セラス
地元のひとの協力をお願いするために、
病院慰問の予定って……ここだったんだ。 - セラス
……でも、びっくりしたな。
海莉、あんなこと考えてたなんて……。 - セラス
瑞河でまたラブライブ!を目指す……。
- セラス
……きっと、海莉だけじゃないよね。
たくさんのひとたちが、わたしが戻ってくるのを、待ってる。 - セラス
それに……そうすればきっと、
わたしのこれまででいちばん大きな『リベンジ』になると、
思う……けど……。 - セラス
……もう一度、瑞河で……。
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うつむくセラス。それから首を振って。
- セラス
……ううん、それより今は、スクールアイドルのこと。
他にもスクールアイドルが来てくれるって話だったんだけど……誰だろ? - コメント
そこで花帆、明るくフェードイン。
- 花帆
せっちゃーん!
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朗らかにやってきた花帆を見て、セラスの目が輝く。
- セラス
えっ、花ちゃん!?
- 花帆
花ちゃんだよ~! フラワー!
- セラス
わ~。
- セラス
予定、どうにかなったの?
- 花帆
うん! あたしとさやかちゃんと瑠璃乃ちゃんみんなでがんばって、
なんとか長野に来れる日が作れたんだ! - 花帆
瑞蓮祭のライブステージも、ちゃんとがんばるからね!
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正直、心が疲れているときに、花ちゃんの笑顔は沁みる……。とても嬉しそうに微笑むセラス。
- セラス
うん……嬉しい。
- 花帆
えへへ~。 瑞蓮祭は、あたしにだってちゃんと責任があるからね!
それに。 - コメント
病院を見上げる花帆。懐かしむように。
- 花帆
ここにまたスクールアイドルとして帰ってくるなんて、思わなかったな。
- セラス
……そう、だね。
- セラス
いい思い出だけじゃない。 複雑な気持ち……。
だけど、ここはわたしが花ちゃんと友達になれた、トクベツな場所。 - コメント
にっこりと笑顔を向けてくる花帆。
- 花帆
それに、
せっちゃんが瑞河のスクールアイドルのお姉さんと出会った場所、だよね。 - セラス
うん。 わたしが、ヴァイオリニストの夢に挫けて……
そしてまた、新しい夢を見つけられた場所。 - 花帆
それじゃあ今度は、
せっちゃんが誰かの夢になっちゃうかもだね。 - セラス
う……それはちょっと、プレッシャー。
- 花帆
あはは。
- セラス
でも、花ちゃんと一緒だったら、平気、かも。
- セラス
いこ、花ちゃん。
- 花帆
うんっ!
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ふたりが、入院している子どもたちに、ライブを披露する。
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それぞれドリビリ衣装。セラスと花帆でドリビリを披露した、という想定です。
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点描。
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これから蓮ノ空に帰ろうとしているセラスと花帆。
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心地よい疲労感。ここでのセラスは、普段の冗談を言う甘えん坊なセラスではなく、瑞河を復活させようという使命を抱えていた、1年前のセラスのような精神的テンションになっている。
- セラス
ふぅ……きょうも、やりきった……。
- 花帆
すごいね! せっちゃんって毎日こんなハードなスケジュールなの!?
疲れちゃわない!? 働きすぎだよ! - セラス
今のところは、まあ、なんとか。
- 花帆
サイン2000枚って聞いたとき、またいつもの冗談かと思ったのに!
こーんなに色紙が山積みで! - セラス
ふふ。 でも、ありがとね、花ちゃん。
その後のメディアのインタビューにも、付き合ってもらって。 - 花帆
ううん、ぜんぜん。 だってそのために来たんだもん!
- セラス
花ちゃんがいたから、きょうはちょっと肩の力を抜いて喋れた……かも。
- 花帆
えへへ、だったらよかった。
- 花帆
病院でライブしてさ。
- 花帆
『あたしもお姉さんみたいな瑞河のスクールアイドルになりたい』って、
言われちゃったね。 - 花帆
入院してた頃のあたしたちぐらいの、女の子にさ。
- セラス
……そう、だね。
- 花帆
あの頃のあたしたちにとって、
高校一年生なんて、オトナのお姉さんだもんね。 - 花帆
きっと、すっごくキラキラして見えたと思うよ。
- 花帆
せっちゃんのライブ、
きれいな宝石みたいに、いつまでも胸に残るんだろうなあ。 - コメント
セラス、目を伏せる。
- セラス
……。
- セラス
花ちゃん、わたし……わたしね。
- 花帆
せっちゃん?
- セラス
わたし……。
瑞河に戻らなくても、いいのかな……って。 - コメント
驚く花帆。
- 花帆
それって?
- セラス
……。 こうして、元瑞河のひとたちにいっぱいよくしてもらって、
わたし自身、瑞河を心から復活させたいって思ってる。 - セラス
その気持ちは、本当。 でも……。
- セラス
きっとみんな、わたしに瑞河に戻ってきてほしいって、思ってる。
- セラス
名前を使ってもらうのだって、嬉しいよ。
それでわたしがみんなの役に立つんだったら、なんでもやりたい。 だけど。 - セラス
これでわたしが瑞河に戻らなかったら、みんな、がっかりすると思う……。
- セラス
先輩方には、『戻らない』って言ったけど……でも……やっぱり……。
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そこで、わずかな間。こんなのわざわざお手伝いに来てくれた花帆に言うべきことではない、とセラスが小さく首を横に振る。
- セラス
……。 ごめん、こんなこと言われても、困るよね。
ごめん。 - 花帆
あたしの答えは、ずっと一緒だよ、せっちゃん。
- 花帆
せっちゃんが、蓮ノ空でEdel Noteをやりたいって言ってくれたときから、
ずっと一緒。 - 花帆
せっちゃんが、したいことをしてほしい。
周りのことなんて気にしないで、せっちゃんのやりたいようにしてほしい。 - セラス
……うん。
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しかし花帆は、そこでにっこりと微笑む。
- 花帆
それが、部員の幸せをいちばんに考える『花帆部長』の意見。
- セラス
……花ちゃん?
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ふふふと笑って、花帆は自分の本当の気持ちを告げる。
- 花帆
せっちゃんは優しいから、いつだって周りの人のことを考えてるんだよね。
あたしは、そんなせっちゃんが好き。 - 花帆
だからね、『日野下花帆』の意見は、こう。
- 花帆
あたしは、せっちゃんに蓮ノ空に残ってほしい。
- セラス
……!
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目を見開いて驚くセラス。しかしそこには、わずかな喜びがあった。
- 花帆
あたしの卒業した後も、蓮ノ空に残って、
吟子ちゃんや小鈴ちゃん、姫芽ちゃんや泉ちゃんと一緒に、 - 花帆
蓮ノ空のことを、もっともっといっぱい盛り上げてほしい!
- 花帆
せっちゃんが二年生、三年生になって、後輩が入ってきて……
それで、先輩になった蓮ノ空のせっちゃんのこと、見たい! - 花帆
スリーズブーケでも、DOLLCHESTRAでも、みらくらぱーく!でも、
それ以外でも、蓮ノ空で歌ってるせっちゃんが、見たいよ。 - 花帆
どこにもいってほしくない。
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セラスの目が潤む。
- セラス
……花ちゃん。
- 花帆
口に出さないだけで、みんなぜったいそう思ってる。
せっちゃんはいちばんの後輩だし、優しいから。 - 花帆
気持ちをぶつけたら、やりたいことを曲げちゃうんじゃないかって、
言わないようにしてるだけで。 - 花帆
でも今のあたしは花帆部長じゃなくて、
院友のワガママな花ちゃんだから、言っちゃうのです。 - コメント
優しく微笑む花帆。
- 花帆
せっちゃん。
あたしたちの、蓮ノ空を選んでよ。 - 花帆
元瑞河のひとが、みんな、せっちゃんのことを大好きなのは、
きょう一日でよくわかったよ。 - 花帆
でもね、あたしたちだって、せっちゃんのこと大好きなんだから!
- セラス
……うん。 ありがとう、花ちゃん。
- セラス
わたしね、たぶん……誰かに、そう言ってほしかったんだ。
- セラス
もう少し、考えてみるね。
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感動して、泣きそうな顔で微笑むセラスに、花帆は屈託なく笑うのだった。
- 花帆
うんっ!
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舞台袖で、閉会式の挨拶を準備しているセラス。
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花帆と話している最中に、海莉が駆け込んでくるところからスタート。
- 海莉
セラス先輩!!
- セラス
海莉?
- 海莉
あ、あの! いま、今!
連絡が来て!! - 海莉
瑞河復活が、決まったって!!
- セラス
ーー。
- 花帆
せっちゃん!
- セラス
あ……。
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目を見開くセラス。同じく隣に立つ花帆が目を見開いた後、セラスの手を握る。
- 花帆
やった、やったね!
- セラス
そっか、わたしたち……やったんだ……。
- 海莉
そうですよ! やりましたよ、セラス先輩!
セラス先輩のおかげで! 瑞河が復活するんです! - コメント
胸をぎゅっと握るセラス。
- セラス
そっか……。 よかった……。
- セラス
よかった……。
- 花帆
みんなががんばったからだよ。
せっちゃんや瑞河の人の想いが届いたんだよ……。 - セラス
……うん!
- セラス
そっか、そうだったんだ……。
わたし、今までずっと、こんなにもたくさんのひとに、助けてもらって……。 - コメント
顔をあげるセラス。
- セラス
花ちゃん、海莉。
わたし、伝えてくるね。 - セラス
この気持ちを、みんなに!
- 花帆
いってらっしゃい、せっちゃん!
- 海莉
お願いします、セラス先輩!
- セラス
うん!
- さやか&小鈴
セラスさん!/セラスちゃん!?
- 泉
ーーえ?
- 泉
セラスー!?
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時間経過を表すために、モノローグ。ここは淡々とした演技で。
- セラス
閉会式の後に倒れたわたしは、病院に運ばれた。
- セラス
そこで泉に告げられた言葉は、別れ。
- セラス
こうして、泉はわたしの前から、姿を消した。
- セラス
それからしばらく経って、泉はかつてのトラウマを克服するため、
一緒に演劇をしていた先輩のもとに向かったのだと、聞いた。 - セラス
なんの音沙汰もないまま、海莉に答えを告げる日が、やってきた。
- セラス
だが。
そこに、泉が帰ってきた。 - セラス
自分だけの、答えをもって。
- セラス
そこでようやくわたしも、気づくことができたのだ。
- セラス
自分の、本当の夢に。
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泉編と同じ会話。
- セラス
これから海莉に会うの。
わたしの決意を、一緒に、聞いてくれる? - 泉
もちろんだとも。
私のお姫様でもなく、私の騎士でもないーー。 - 泉
私を救ってくれた、友人であるあなたの言葉を、誰よりも尊重するよ。
- セラス
ごめん、海莉。
- 海莉
……。
- セラス
あのね。
決めたんだ。 - セラス
私は、瑞河には行かない。
- 海莉
……そんな。
- 海莉
で、でも、だったら! 桂城先輩も一緒に、瑞河に来れば!
今度こそ、みんなで一緒にスクールアイドルを、やりましょうよ! - 海莉
私も来年は高校生です! 3人で……!
いや、きっともっと多くの生徒がスクールアイドル部に入ってきます!
みんなで、みんなでやりましょう! - セラス
その気持ちは、嬉しいよ。 海莉に誘ってもらって、嬉しかった。
だからこそ、わたしは、行けない。 - 海莉
どうしてですか……!?
瑞河の名を、世界中に響かせましょうよ! - セラス
……わたしもね、第二回瑞蓮祭を通じて、改めて、わかったの。
自分の中で、どれほど瑞河の存在が大きかったのか。 - セラス
瑞河は今もずっと大切。
この心に、輝き続けてる。 - 海莉
だったら!
- セラス
うん、だからーー。
- セラス
わたしは、もう二度と、
瑞河がなくなったときのような悲しい想いを、してほしくないから。 - 海莉
え……?
- セラス
わたしはふさぎ込んでいた時期、
瑞河のスクールアイドルのお姉さんに救われた。 - セラス
こんなわたしが、今は誰かに夢を見せることができるなら。
- セラス
わたしはこれからも、みんなに夢を見せたい!
- セラス
この瞬間も、スクールアイドル部がなくなるかもしれないって、
不安を抱えている誰かのために、わたしの力を使いたい! - セラス
それができるのは、蓮ノ空だから!
- セラス
蓮ノ空が今やろうとしてるBloom Garden Partyなら、
きっともっと多くの人を、救うことができるから! - 海莉
あ…………。
- セラス
どこかの誰かのための瑞蓮祭を、これからもわたしは、続けるよ。
それがわたしの、今の夢なの。 - セラス
わたし、ずっと迷ってた。
- セラス
でも、泉が、わたしのおかげでスクールアイドルが好きになれた、
って言ってくれたから。 - コメント
セラス、泉に微笑む。
- セラス
こんなわたしが、
誰かの光になれるんだって、そう、教えてくれたから。 - セラス
繋がってたんだ。 ぜんぶ。
わたしが泉を救いたかった気持ちも、瑞河を救おうとした気持ちも。 - セラス
蓮ノ空のみんなが、世界中のひとたちが、
わたしを瑞河のスクールアイドルとしてステージにあげてくれた。 - セラス
すべては、そこから始まってたんだ。
- セラス
わたしはこれからもずっと、
光に向かって、手を伸ばし続けたい。 - コメント
そう言い切って、それから海莉に微笑みかけるセラス。
- セラス
だからね、海莉。
- セラス
もしあなたが困ったときは、世界中のどこにいても、駆けつけるよ。
海莉はずっと、わたしの大好きな後輩だから。 - セラス
瑞河を、お願い。 わたしたちの大好きな瑞河を、守って。
あなたなら、きっとできる。 - コメント
まさに聖女のように、優しく微笑むセラス。
- セラス
そして……今度は、いつかあなたが、誰かの夢になるんだよ。
- 海莉
セラス、せんぱい……。
- 海莉
あたし、あたし……。
- 海莉
セラス先輩と一緒に、スクールアイドルをやりたかったのに……。
そんなこと言われたら……。 - 海莉
託されちゃったら、もう、なにも言えないです……!
- 海莉
あたしも……セラス先輩のこと、
これからもずっと、ずっと、応援します……! - 海莉
セラス先輩ならできるって、信じてますから!
- セラス
ありがとう、海莉。
- 海莉
いいえ、こちらこそ!
- 海莉
先輩はいつまでも私の憧れで……。
光ですから! - コメント
そのやり取りを見つめていた泉が、抱き合うふたりを見つめて、微笑むのだった。
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セラスと泉が、蓮ノ空に戻ってゆく。
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静かな夜だった。
- 泉
それじゃあ、帰ろうか。
- セラス
うん。
- 泉
それにしても、壮大な夢だね。
この世界すべての、瑞河のような学校を救いたい、とは。 - 泉
私よりもよっぽど大きくて……強い、リベンジだ。
- 泉
……もともとあなたは、
私ひとりの夢を叶える程度の器では、なかったということだろうね。 - セラス
……。
- 泉
……セラス?
- セラス
うわぁぁぁぁぁぁぁん!
- コメント
泉が問いかけると、セラスはまるで子供のように泣きじゃくる。
- 泉
せ、セラス?
- セラス
わたし、だって、瑞河に、戻りたかった!
でも、蓮ノ空も、大切で、だから! - セラス
だから! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
- 泉
……まったく。
- 泉
ほんとうに、がんばったね、セラス。
- 泉
よくがんばった。
あなたを、誇りに思うよ。 - 泉
気が済むまで、泣くといい。
- 泉
すべての始まりの、雨。
私とあなたが出会った、その雨が、止むまで。 - 泉
私が、そばにいるから。
- セラス
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
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星の見える夜に、セラスの泣き声が響き渡るのだった。
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寝間着姿のセラスが、泉の部屋のドアを叩く。
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※ここだけ、セピア色から始まる物語ではなく、色がついたところからスタート。元の時系列に戻った、という表現。
- 泉
……おや、セラス。
- 泉
どうしたんだい、こんな夜に。
また、背中を貸してほしいのかな。 - コメント
セラスが小さく首を振る。
- セラス
……ううん、それはもう、平気。
- セラス
ね、泉。
わたし、歌を作りたい。 - 泉
……今から?
- セラス
うん。
この胸の気持ちが、冷めないうちに。 - セラス
瑞蓮祭でたくさんのひとにもらった気持ちをぜんぶ、
覚えておきたくて。 泉にも、手伝ってほしいんだ。 - セラス
一緒に……わたしと、歌を作ってほしい。
- セラス
それでようやく、わたしの瑞蓮祭が終わると思うから。
- 泉
……そうか。
- 泉
うん、わかった。 一緒に作ろう。
この一か月を閉じ込めた、私たちの歌を。 - 泉
ありったけの情熱を込めて、
傑作を作り上げようじゃないか。 - セラス
……ありがとう、泉。
- 泉
こちらこそ、セラス。
- 泉
……今まで本当に、たくさん迷惑をかけてしまったね。
- セラス
だったとしても。
- セラス
わたしは、ずっと楽しかったよ。
泉との日々が、楽しかったから。 - 泉
ああ。
私もだ。 - 泉
あなたと歩むこの1年を、私は生涯、忘れないよ。
何度だって、思い出すだろう。 - 泉
決して『間違い』などではなかった。
幸せだった、と。 - コメント
心から幸せそうに微笑む泉。
- コメント
その笑顔を見て、セラスも屈託なく微笑む。
- セラス
うん!
- コメント
セラスを招き入れた泉。部屋のドアが閉まる。
- コメント
おしまい。