第7話『わがまま色の存在証明』
PART 6
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さやかがショックを噛み締めるシーン。
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ひとり、打ちひしがれたようにとぼとぼと歩いている。
- さやか
……わたしはどうすればいいの?
誰かの期待に応えるなんて……ただの、言い訳だった……? - さやか
わたしの、3年間は……。
- さやか
わたしが信じてきたものは……全部……
ただ誰かに寄りかかっていただけ……。 - さやか
わたしが気付いたと思っていたものは、全部……全部、言い訳……。
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うわごとのように呟き、歩いていると、竜胆祭の看板が目に入る。
- さやか
竜胆祭……。
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顔を上げ、遠くを見るさやか。
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カメラが誰もいないグラウンドに移る。さやかとグラウンドに距離があることを示したい。えなたちがさやかに気付かないようにするため。
- えな
そっち持ってー!
ほら一年生、頑張れ頑張れ! - しいな
ちょっとそんな言い方!
- びわこ
あはは、一年生の時のわたしたちより頑張れてるよー。
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一瞬、103期10月シナリオの過去回想。
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一年生のさやかが屋上から校庭を眺め、何かに気付いたように表情を輝かせる絵を映す。
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寂しげな表情で屋上から目を離すさやか。一筋の涙が頬を伝う。
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かつて誰かの期待に応えたいと決意したあの日も全部、今のさやかにとっては否定されるべきもの。そう突き付けられて、苦しい。
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グラウンドからまた中庭のさやかに視点が戻る。
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さやかは屋上を見上げる
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そう言って、歩みを進めようとした瞬間、足を止める。
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泉の歌声が聞こえてきたからだ。
- 泉
溶融飛灰のような日々はまだ 期待に震えている
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泉が映る。天地黎明を歌っている。
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その泉がびしっとポーズを決めた瞬間。
- さやか
……。
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しばらく立ち尽くしていたさやかに、泉が気付く。
- 泉
おや、さやか先輩。
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お、と泉が目を丸くする。偶然とはいえさやかに会えるとは僥倖、というくらいのテンション感。
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泉とさやかが連れ立って歩いて画面に入ってくる。
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落ち込んだ様子のさやかと、フラットな表情の泉。
- 泉
最近は中々会えなかったね。
- さやか
わたしがあまり、学校にいなかったので。
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気落ちした様子のさやかがそう答える。
- 泉
そうか。 どうしてそんなに気落ちしているのかも気になるが……
実は私はこうして一対一で話す機会に恵まれて嬉しく思っている。 - さやか
え?
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予想していなかった言葉に、顔を上げるさやか。
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そして頑張って話を続けようと、あくまでフラットな会話を心掛けてさやかは話そうとする。ただ、気落ちした感情は透けてしまう。
- さやか
言われてみれば確かに、ふたりでというのはあまりなかったですね。
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そんなさやかの気持ちを察しながらも、泉もまたその気持ちに触れずに続ける。
- 泉
ああ、そうなんだ。
- 泉
最近のあなたを見ていて、聞きたかったことがあってね。
ただ……今のあなたの事情を聞きたくもあるな。 - コメント
苦笑いするさやか。疲れた印象を抱かせたい。
- さやか
そこまで言ったのなら泉さんの話を先に済ませてくださいよ。
- 泉
そうか。 では失礼して。
- 泉
人のお世話が好きな人だと思っていたんだが、
それは向いているからやっているのだと小耳にはさんでね。 - さやか
っ。
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向いている、というワードに反応してしまうさやか。
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それからまた、さやかは俯く。
- さやか
……おっしゃる、通りですよ。
- さやか
わたしがやっているのは、何もかも、
ただ向いているからやっているだけです。 - さやか
向いているから。
向いているものなら、誰かの期待に応えられるから。 - 泉
誰かの期待に応える。
そのフレーズは、あなたからよく聞く言葉だ。 - さやか
2年前にね。
- さやか
わたしはやりたいことを探して、
誰かの期待に応えたいという答えに辿り着いたんです。 - さやか
でもさっき、ようやく気付いたんです。
それは間違いだったって。 - コメント
諦めた表情で泉を見るさやか。
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そんなさやかの表情で泉は察する。落ち込んでいる原因に直結している内容だったと。
- 泉
……気落ちした原因は。
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泉の問いに、さやかは頷く。
- さやか
誰かの期待に応えるとはしょせん、ただの言い訳。
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さやかは遠くを眺めて呟く。
- さやか
わたしはただ、誰かの求めることをして……
自分がやりたいことをやっている気になっていただけ。 - さやか
フィギュアスケートも……スクールアイドルも、
わたしに誰も期待しないのなら、やる理由が見当たらないんです。 - 泉
そう、か。 そうなんだね。
- さやか
はい。
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お互いに何を言うべきか迷い、一瞬の沈黙が生まれる。
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泉が切り出す。
- 泉
私はね、さやかさん。 あなたを、私と似ていると思ったんだ。
- さやか
ーー。
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目を見開き、驚き、そして思考する。さやかはそれから、すとんと泉の言葉が腑に落ちたように溜め息を吐く。
- さやか
ああ……道理で。
- 泉
?
- さやか
あなたの歌が、今はより一層心に刺さる。
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俯くさやかに、泉は一瞬考える。自分の言いたいことを優先するべきか、それとも考え直すべきか、悩む。
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そのすえに、口にすることを選ぶ。
- 泉
さやか先輩。 実は……
完全な同類だと思っていたなら、私はあなたと話したいとは思わなかった。 - さやか
え?
- 泉
スクールアイドルとしてのあなたには、
確かな輝きがあったよ。 - 泉
それだけは間違いない。
だからこそ、私はあなたと自分の違いを知りたかったんだ。 - コメント
泉のその言葉が、今のさやかにはむなしい。そんなのは幻想だと、さやかは首を振る。
- さやか
そんなの……。
- 泉
どうか、考えてほしい。 今言うことではないかもしれないが……。
- 泉
私も……本気で答えが欲しいんだ。
私のような人間が……情熱を手にするために。 - コメント
自分の手を見つめる泉に、さやかもさやかで苦しい中ながら泉の気持ちを慮る。
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ただそれすら泉の期待に応えたいという“間違い”のやりたいことなのではないかと自嘲する。
- さやか
……。 この期に及んで、
- さやか
あなたの期待に応えたいと思ってしまうのは、
本当にどうしようもないですね。 - コメント
自分に呆れるように首を振ってから、さやかは考える。
- さやか
……わたしは。
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さやかが思い出す回想。己のルーツ。
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スケートリンク脇からリンク内を見ている、目を輝かせた幼少期のさやか。
- さやか
やっぱり、お姉ちゃんはすごい……!
わたしはまだ、全然だけど……。 - つかさ
わたし、最強!!!
- さやか
うん、ほんとに……
わたしはお母さんにがっかりされるかもしれないけど……って、あ! - さやか
お姉ちゃん、忘れ物ー!
- つかさ
ありがとさやかー。
またお母さんに怒られるところだったよー。
さやかみたいにしっかりしろーって。 - さやか
……! えへへ。 まあね!
お姉ちゃんはもう、しょうがないんだから! - コメント
回想から戻ってきて、ゆっくりさやかが目を開く。
- さやか
ああ……うん。
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浅ましい己を抱きしめるようにして、懺悔するように言葉を零す。
- さやか
あなたは似ていると言ってくれたけれど、やっぱり違います。
わたしはただ、誰かに必要とされたかっただけ。 - さやか
ただ……人に褒められることだけを求めて生きてきた。
……子どもの頃から、何も変わっていないんだ。 - 泉
人に褒められたい。
でもそれは……正しくあなた自身の願いでは。 そういう熱も……。 - コメント
そんな泉の努力に、さやかは首を振る。
- さやか
でもその結果がこれです。
- さやか
小鈴さんには偉そうに自分のやりたいことをやれと言っておきながら……
わたし自身はそれをせず、 - さやか
ただ必要とされることで安心したかっただけ。
- さやか
こんな人間に、フィギュアの道に進むことはおろか、
スクールアイドルを続ける資格さえーー。 - コメント
ないのだと、そう口にするより前に泉が割って入る。それは違うと、暗に伝えるイメージ。
- 泉
必要とされたい。 要らないと思われたくない。
だから、人の期待に応えたい、か。 - 泉
それは確かに、私とは違う。
- さやか
……ね。
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同意を求めるようなさやかの声色に、泉は意図がくみ取れずに首を傾げる。
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するとさやかは寂しそうに語る。
- さやか
こうやって、泉さんの求めることに応えられなかっただけで、
けっこう……胸に来るんです。 - 泉
……。
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流石にさやかのその言葉にはかける言葉を持たず、泉は別の方角へと逃げるように目を背ける。そして、その先に誰かを見つける。
- 泉
応えられなかったわけではないさ。
それに……変わらず、私はあなたが羨ましい。 - さやか
羨ましい?
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予想外の言葉に、怪訝そうに顔を上げたさやかは、そこで泉が向いている方角が自分ではないことに気付き、同じ方角に目を向ける。
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カメラが移り、小鈴が走っている。沙知も一緒に走っている。
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小鈴はこの会話を知らないからこそ、懸命に前向きに頑張っている。
- 小鈴
ちぇすとー!
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カメラが泉とさやかに戻ってくる。
- 泉
私とあなたは違う。
でも、とてもよく似ているとも思う。 - 泉
私にとって……彼女はあまりにも眩しい。
あなたにとってもそうだとも、思う。 - コメント
さやかは自分が下だと思っているけど、泉は自分が下だと思っている。だからといってそれを言ったところでさやかは納得しないとも分かっていて、できる限りの言葉を尽くそうとする。
- さやか
眩しい……。
- 泉
彼女は、私たちにないものを全て持っている。
- 泉
そんな彼女と最も間近にいられるのは……やはり、羨ましいよ。
- 泉
いや、羨ましかった、と言うべきかな。
今の私にも、セラスがいるからね。 - さやか
……そうだ。
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さやかは小鈴の姿を目に焼き付けるように、食い入るように見つめる。
- さやか
小鈴さんは、常に自分の発する熱で動く……。
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呟き、さやかの瞳に光が灯る。ぐっと拳を握り、一歩を踏み出す。
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一度カメラはさやかと泉を離れ、小鈴と沙知を映す。
- 泉
誰かに熱を委ねることも、ない。
- さやか
わたしみたいに誰かに必要とされることで安心するなんて……かけらも。
小鈴さんは……。 - コメント
息の上がった小鈴と、さらにバテバテの沙知(私服)。膝に手をついている。
- 小鈴
はあ……はあ……。
- 沙知
げ、現役の力は恐ろしいねぃ……。
- 小鈴
沙知先輩……これで……これで、全部ですか……!?
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まだやるならやれるぞ、という気概を見せる小鈴に対し、沙知は気合で身体を起こす。
- 沙知
ああ……!
- 沙知
小鈴! 試練は全て突破した!!
きみは次代の蓮ノ空を動かす心臓にすらなれるだろう!! - コメント
ぎゅーっと小鈴が上から沙知を抱きしめる。覆いかぶさるように。
- 小鈴
やったー! 流石は超先輩の修行!! 徒町、超絶パワーアップです!!
- 沙知
よくやったよ、小鈴。
- 小鈴
はい!
- 小鈴
沙知先輩のおかげで、これなら竜胆祭でもさやか先輩をーー。
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興奮冷めやらぬテンションで語る小鈴の後ろから、さやかが声をかける。
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真剣な表情のさやかの後ろから、泉が様子を見ている。
- さやか
小鈴さん。
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沙知も、お? という顔でさやかを見ている。
- 小鈴
さ、さやか先輩!?
- 小鈴
さやか先輩!
徒町、頑張って特訓積みました! - 小鈴
きっと竜胆祭では、
さやか先輩が安心して卒業できるくらいのパフォーマンスをしてみせます!! - コメント
小鈴は胸を張ってそう宣言する。するとさやかは、そんな小鈴にまっすぐ。
- さやか
お願いがあります。
- 小鈴
へ?
- さやか
わたしとーー戦ってください。
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想定外の台詞に目を丸くする小鈴。
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泉も同様で、目を細める。何をするつもりなのかと。
- 小鈴
たたか!?
- 泉
ほう……?
- 小鈴
え、な、なぜに……。
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べつに戦う理由なくない?なんで?と疑問が小鈴の頭を駆け巡る。
- さやか
あなたと向き合うことが……
今のわたしには必要なんです。 - 小鈴
それは、どういう……。
- 小鈴
ひとつだけ、聞かせてください。 ……さやか先輩の気持ちは、
徒町が頑張れば、どうにかなるものなんですね? - さやか
……はい。
- 小鈴
……分かりました!
さやか先輩が何を思っているのかは分かりません。 - 小鈴
どうして徒町なのかも分かりません。
- 小鈴
でもそんなことどうだっていいです!
- 小鈴
さやか先輩が何かに手を伸ばしていて、
徒町がその一助になれるのなら。 - 小鈴
不肖徒町小鈴、さやか先輩のその勝負……受けて立ちます!!
今の徒町がやれるすべて、見せつけてみせますよ!! - コメント
決戦前夜のイメージ。さやかがひとり、初心に返って練習している。
- さやか
はあ……はあ……ふう……。
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肩で息をするさやかに、花帆が水を差しだす。その水はまだ受け取らない。花帆も練習着。
- 花帆
はい、おつかれさま!
- さやか
え、花帆さん……?
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花帆の後ろから同じく練習着の瑠璃乃がひょこっと顔を出す。
- 瑠璃乃
ルリもいるよ。
- さやか
どうしてここに。
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驚くさやかを相手に、花帆は得意げに微笑む。
- 花帆
聞いたよ。
小鈴ちゃんと正面切って対決するんだって? - 瑠璃乃
そのための決戦前夜、って感じでしょ。
手伝いにきたよ。 - コメント
ひらひらと瑠璃乃が手を振る。
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それから、瑠璃乃は頬を掻く。
- 瑠璃乃
よく分からないけどさ。 たぶん……
さやかちゃんが最近お世話我慢して頑張ってたことと繋がってる気がするし。 - 花帆
そーそー。
焚きつけたのはあたしたちみたいなところもあるしね。 - 瑠璃乃
まあうん、色々言ったからには、
最後まで付き合いたいかな。 - コメント
優しく笑い合う花帆と瑠璃乃。
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花帆に差し出された水を見つめるさやか。
- さやか
……でも、おふたりも竜胆祭に向けてやることはたくさんあるはずでは。
- 花帆
何をいまさら。
あたしが同じ状況だったら、さやかちゃんだって駆けつけるくせに。 - さやか
それは、でも、あまりよくないことで。
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諭すような瑠璃乃の台詞に、顔を上げるさやか。
- 瑠璃乃
……言ったよね、さやかちゃん。
- 瑠璃乃
お世話は悪いことじゃないよ。
お世話も、ルリのヒーロー業も、全部誰かのためなんだ。 - 瑠璃乃
さやかちゃんがやりたいことを叶えるために、ルリたちはここにいるんだよ。
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困惑するさやか。
- さやか
やりたい、こと……。
- さやか
今わたしは、やりたいことをやっているのでしょうか……?
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水をさやかの顔に押し付ける花帆。
- 花帆
細かいことはあとあと。 もう早く受け取って!
- さやか
わぷっ。
- コメント
さやかが慌てて受け取る隙に、小声で話し合う花帆と瑠璃乃。
- 瑠璃乃
さ。 向こうにはルリたちに情報流した大倉庫の妖精がいるからね。
こっちも負けずに特訓しないと! - 花帆
ね。 びっくりしたね。
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ふふ、と微笑み合う瑠璃乃と花帆を見て、さやかも吹っ切れたように笑う。
- さやか
……よろしくお願いします。
- さやか
わたしはただ全力をもって……
小鈴さんの眩しさを、直接感じ取りたいんです。 - さやか
小鈴さんにあって……わたしにないもの。
それが何なのかは分からないけど。 - さやか
それが、欲しい……!!
- 瑠璃乃
よーっし! じゃあ始めよっか!
- 花帆
おー!
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夜が更けて――決戦の日がやってくる。