第3話『星に憧れて、花は舞う』
S.R.K.3
瑠璃乃 | ありがとね、ひめっち。 協力してくれて。 |
姫芽 | いーえー。 いざ頼ってもらえると嬉しいもんですよ~。 |
姫芽 | かほせんぱいと、さやかせんぱいと、本気でぶつかった…… 頑張りましたね、るりちゃんせんぱい~。 |
瑠璃乃 | むしろ……今まで怖かったんだ。 |
瑠璃乃 | ごめんね、ひめっち。 |
姫芽 | ? |
瑠璃乃 | ひめっちには、本気でぶつかってきてほしい、なんて言ってさ。 ルリが勝つまでゲームに付き合わせたこともあったのに。 |
瑠璃乃 | ルリは同い年の友だちとぶつかることさえ、できてなかったんだ。 |
姫芽 | ……。 |
姫芽 | 去年の撫子祭から、もう一年ですか~。 |
瑠璃乃 | うん。 ルリが蓮ノ空に入ってから、ちょうど二年にも、なるかな。 ルリは、二年も……。 |
姫芽 | じゃあ、二年分ぶつけてきたんですね~。 |
瑠璃乃 | ! |
瑠璃乃 | ……あはは、そうだね。 ぶつけてきたよ、二年分。 そして決めたんだ。 もう、ルリは遠慮しないって。 |
瑠璃乃 | ふたりも、ルリに遠慮はしない。 |
姫芽 | それじゃあ便利屋るりちゃん……投書箱は続けるんですか~? |
姫芽 | 充電切れを、るりちゃんせんぱい自身がどうにかしなきゃいけないなら…… むしろ色んなことをセーブしなきゃいけないんじゃ。 |
瑠璃乃 | 続けるよ。 投書箱も……ヒーローも。 |
姫芽 | なるほど……。 |
瑠璃乃 | それでなんだけどさ。 |
姫芽 | えっ。 |
瑠璃乃 | もし充電が危なくなったり、ルリがもう限界になりかけたその時は…… その時は、ひめっちを頼ってもいいかな。 |
瑠璃乃 | あのめぐちゃんでさえ、いつも全力で仲間とぶつかって…… 今思い返すと、疲れることもあったんだ。 |
瑠璃乃 | 三年生になって、めぐちゃんと同じ立場になって、ようやく気付いた。 今度はルリたちが引っ張っていかないといけない。 |
瑠璃乃 | 今まで以上に、前に進まないといけない。 ぶつかり合わないといけないんだ。 |
瑠璃乃 | ルリはきっと、誰かとぶつかればめぐちゃん以上に疲れる。 充電切れだってある。 |
瑠璃乃 | それでも、やりたいことをやり遂げるためには頑張らないといけない……。 ふらふらになっちゃうのは目に見えてる。 じゃあどうしたらいいんだろう。 |
瑠璃乃 | そこまで考えたらね、ひめっちの顔しか浮かばなかったんだ。 |
瑠璃乃 | ルリが寄りかかれる人は、ひめっちしかいないって。 |
姫芽 | ……あはは。 |
姫芽 | そんな風に言われて、奮い立たないわけないじゃないですか。 |
姫芽 | 今のみらくらぱーく!は、るりちゃんせんぱいと、アタシなんです。 |
姫芽 | るりちゃんせんぱいより、入ったのは九か月遅いけど…… みらくらぱーく!の、対等な仲間なんですから! |
瑠璃乃 | あはは、そうだね。 ひめっちはルリの、九か月遅いだけの対等な仲間だ、から……。 |
瑠璃乃 | ……。 |
姫芽 | るりちゃんせんぱい? |
瑠璃乃 | ひめっちって呼んだの。 みらくらぱーく!の仲間の証、だったよね。 |
姫芽 | え、あ、はい。 最初けっこう無理してくれてんのかな~ なんて思いもしましたけど、嬉しかったですよ~? |
瑠璃乃 | そうだね、無理してた。 でもあれも、無理して良かったと思ったんだ。 ちょうど去年の今頃……。 |
姫芽 | ですねえ。 |
瑠璃乃 | ーー姫芽。 |
姫芽 | ぴょ!? |
瑠璃乃 | って呼んでもいい? 今度は、相棒の証。 |
瑠璃乃 | 姫芽……っち? |
姫芽 | は、は、わードキドキした、 イケルリは犯罪ですよるりちゃんせんぱい。 |
瑠璃乃 | なんて!? |
姫芽 | でも……身が引き締まりますね。 |
姫芽 | このふたりのみらくらぱーく!を……最高のものにするために。 るりちゃんせんぱいの呼び捨て、独占させていただきます! |
瑠璃乃 | ……ん、よし。 頼りにしてるから。 |
姫芽 | はい、充電は気にせず、全力で跳ねまわれ、ヒーロー! |
セラス | 記事が、できました。 |
小鈴&花帆 | おおおー!! |
泉 | ふふ。 たまに書いているところを見ていたけれど、 セラスはスクールアイドルが好きなんだな、という気持ちは伝わったよ。 |
セラス | 今に泉もそうなるんだから。 |
さやか | どんなことを書いたんですか? |
セラス | この蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブは、さいきょーなのです! |
花帆&さやか&瑠璃乃 | ……。 |
花帆&さやか&瑠璃乃 | えへへ/ふふっ/あはは。 |
セラス | え、だめ!? |
花帆 | 大丈夫。 さいきょーだよ! |
さやか | はい。 そうなれるように、頑張りましょうね。 |
瑠璃乃 | すごく良い記事だと思う。 ……ありがとね。 |
セラス | はい。 まあ、わたしはスクールアイドルについては一家言ありますのでね……。 |
小鈴 | ああ、セラスちゃんの背中が遠い。 |
吟子 | なんで既に抜かれてるの。 |
姫芽 | あはは~。 |
瑠璃乃 | じゃあ、ちょっと良いかな。 |
瑠璃乃 | 改まって言うことじゃないかもしれないけど……決意を聞いてほしいんだ。 |
花帆 | 改まって言うことだよ! みんな聞いてー! |
さやか | そこはかとなく恥ずかしさが。 |
瑠璃乃 | 蓮ノ小三角に続き……ルリたちも関係を一新したいと思います。 |
吟子&小鈴 | ! |
花帆 | あたしたちはーー |
花帆&さやか&瑠璃乃 | 蓮ノ三連華。 |
瑠璃乃 | 105期スクールアイドルクラブを、 最高のスクールアイドルクラブにするために。 |
花帆 | みんなで大きく花咲くために! |
さやか | はい。 全力でぶつかり合い、遠慮をせず…… 共に研鑽していくことを誓います。 |
吟子&小鈴&セラス | おお……。 |
さやか | うう、ど、どうですかね!? |
小鈴 | かっこいいです!! 先輩たちにも異名が欲しいと思ってました!! 徒町、これで胸を張って先輩たちのことをみんなに報告できます!! |
吟子 | なんて報告するつもりなの。 |
小鈴 | 徒町の先輩は、天下に響く蓮ノ三連華ですー!!! |
さやか | まだ響いてないんですけども! |
花帆 | いいじゃん、これから響かせようよ! |
瑠璃乃 | そうだね。 うん、これからだ。 |
泉 | この話、姫芽ちゃんは知っていたみたいだね? |
姫芽 | そりゃあもう。 相棒のことですから。 |
セラス | き、記事に書き加えないと……! さいきょーの蓮ノ三連華が居るからこそ、 さいきょーの蓮ノ空だと……! |
瑠璃乃 | そして。 そのさいきょーの蓮ノ空でいるためにも、提案がありまぁす。 |
さやか | 瑠璃乃さん? |
花帆 | 瑠璃乃ちゃん、もしかして……。 |
瑠璃乃 | うん、自分から言いたいことは全部言ってこうと思ってさ。 |
瑠璃乃 | 撫子祭ーー新曲やらない? |
さやか | ……今から作るんですか!? |
花帆 | あはは!! いいねいいね!! |
吟子 | 瑠璃乃先輩から……珍しい……。 |
泉 | こっちは姫芽ちゃんも知らなかったみたいだね。 |
姫芽 | 相棒のことなのに……! |
姫芽 | でも跳ねまわるるりちゃんせんぱいをしっかりサポートするのが、 相棒の役目なのでね~! ここからここから~! |
泉 | ふふ、そうか。 |
小鈴 | 新曲、やりたいです!! 瑠璃乃先輩、どんな曲なんですか!! |
瑠璃乃 | 再出発の曲だよ。 ここから、蓮ノ空がさいきょーだって示すための。 |
セラス | ! |
瑠璃乃 | せっかく、撫子祭で再出発をみんなに示すんだ。 そのためには、しっかりその気持ちを込めた曲を作りたい。 |
花帆 | 再出発のための曲……かあ。 色々浮かぶなあ! |
泉 | さやか先輩。 間に合うのかい? けっこう、日がないけれど。 |
さやか | こうなったら……間に合わせましょう。 撫子祭を最大限、みなさんが楽しむためにも。 |
泉 | はは。 頼もしいな。 |
さやか | 頼もしくあらねばと、わたしも思い直しましたから。 |
さやか | いくつも、間違いがありました。 |
さやか | でもそれをぶつけあって、今の気持ちはとても晴れやかで…… こういう時は、やはり曲を作らないと。 |
さやか | わたし自身も、そう思います。 |
花帆 | よーし! |
花帆 | 忙しくなるけど、やろうやろう! 歌詞に、振りに、曲に……全部に、今のあたしたちを乗せよう! |
瑠璃乃 | うん、そうやって示そう。 今年の蓮ノ空の歩む道の先をさ! |