第5話『不完全で、未完成』
PART 3
小鈴 | みなさん、どうか聞いてください! |
小鈴 | 手伝ってくれると言ってもらえたにもかかわらず、 徒町はこれをひとりでやらなきゃダメだと思ってました。 |
小鈴 | 結局ダメダメだったこともそうですけど……。 |
小鈴 | 徒町がやらなきゃいけないのは、ひとりでやることじゃなくて。 友だちに気持ちを伝えることでした! |
瑠璃乃 | ふむ? |
姫芽 | るりちゃんせんぱい? |
瑠璃乃 | ルリは、小鈴ちゃんがひとりでやりたい気持ちも分かったからさ。 逆に、どうやって気持ちを伝えるのかなーって。 |
小鈴 | 徒町が本当に伝えたかったのは、チャレンジが間違ってないってこと…… だから、徒町は頑張ってるってことを映画にしたい。 |
小鈴 | だから、スクールアイドルの映画を撮りたいんです! それが今、徒町が一番頑張ってることだから! |
花帆 | スクールアイドルの映画! |
小鈴 | はい! スクールアイドルクラブは今、一番大きな挑戦…… ラブライブ!を控えてみんなで頑張ってるところです。 |
小鈴 | 徒町もそれに全力で挑みたい…… その挑戦する気持ちを伝えられたら、って! |
小鈴 | どうでしょうか、瑠璃乃先輩! |
瑠璃乃 | ……うん! なら、ルリから言うことはなんもない! 良いと思う! |
小鈴 | きょ、恐縮です! |
瑠璃乃 | ルリ的には、最初から小鈴ちゃんが頑張るのを応援したかったからね。 それがブレてなさそうだから、ヨシ! |
慈 | んで、スクールアイドルの映画かー。 大きく出たね、めぐちゃんの目は厳しいぞ☆ |
姫芽 | 天才子役ですからね! |
慈 | 天才子役兼スクールアイドルだからね! |
梢 | ……そう考えると、逆にちょうどいいかもしれないわね。 慈が元々映画については知っていることもある……。 |
花帆 | ……梢センパイ? |
梢 | 演技や、映画にするにあたっての動画編集の力は、 スクールアイドルとしての成長にも繋がると思ったのよ。 |
梢 | 小鈴さんのこの企画は、 小鈴さんが思っている以上に私たちにとってもプラスかもしれないわ。 |
小鈴 | ! え、えっと、じゃあ。 |
さやか | みんなも乗り気、ということですよ。 小鈴さん。 |
小鈴 | わぁ……! |
小鈴 | ありがとうございます! 今回はどうか、よろしくお願いします!! |
さやか | ……さて。 小鈴さんが言った通り、 スクールアイドルとしての練習もおろそかにはできません。 |
さやか | 映画のスケジューリングは、どうしましょうか。 |
梢 | そうね、もしかしたら。 ーー今年の合宿の使い道が、決まったかもしれないわ。 |
花帆 | 合宿の海に、帰ってきたー!! |
花帆 | 今年もみんなで合宿に来れましたね、綴理センパイ! |
綴理 | うん、とてもうれしい。 |
花帆 | よぉし、そうと決まったら映画ですよ映画! ひと夏の映画体験! 楽しみだなあ! |
さやか | そうですね。 小鈴さん、さっそく映画のイメージを聞かせていただけますか? |
小鈴 | 全力でアイディア募集中です! |
さやか | そこからなんですね!? |
花帆 | でもスクールアイドルの映画ですよ、梢センパイ! 色々やりたいことありますよね! |
梢 | スクールアイドルたるもの……やっぱり、 ラブライブ!優勝……かしらね。 |
瑠璃乃 | 王道ストーリーだ! |
小鈴 | え、めっちゃいいですね! ラブライブ!の前にラブライブ!優勝する映画! |
さやか | ゲン担ぎにもなりそうですかね。 |
慈 | ストーリーもいいけど、 やっぱりスクールアイドルなら映画の中でも魅力的じゃないとダメだからね! |
慈 | 主人公もだけど、出るスクールアイドルはみんな可愛くなきゃ! |
吟子 | 映画ってことは……色んなシーンがあるんだよね。 |
姫芽 | ライバルを倒す熱いバトルだね~。 |
吟子 | いやライバルは居るかもしれないけど、 スクールアイドルは基本バトルしないから。 |
姫芽 | するスクールアイドルが、いてもよくない~? |
吟子 | コンテストとかをバトルって言うのならそうかもしれないけど……。 |
吟子 | じゃなくて、色んなシチュエーションがあるってことは、 色んな衣装も必要なのかなって。 |
小鈴 | 確かに! 色んな衣装! |
吟子 | これまでの衣装とかを手直しして、また使えたら……。 |
綴理 | 楽しみにしてるね。 |
慈 | なに言ってるの、綴理も出るでしょ。 |
綴理 | ボクも? |
小鈴 | もちろんです! 綴理先輩がラスボスとか、凄い良さそう! |
綴理 | ボクもやることある? なら頑張る。 |
さやか | ラブライブ!優勝を目指す、魅力的なスクールアイドルの映画。 衣装もふんだんに使って、ライバルを制するーー。 |
瑠璃乃 | ぜ、全部乗せるの!? |
さやか | できるかは分かりませんが、楽しそうだなと。 |
瑠璃乃 | 楽しそうなのは、それはそう! |
慈 | ……ん、なんからしくなってきたじゃん? 楽しいことをみんなでする。 言葉にすればそれだけの話だね。 |
綴理 | そう考えると、もう楽しい。 |
梢 | ふふ。 さて、じゃあ進めていくわよ。 小鈴さんにお願いされたので、合宿のスケジュールをまとめてきたわ。 |
小鈴 | はい、さっそくめちゃめちゃ頼っています! |
梢 | 脚本を作って、ロケーションを選定。 そして撮影を進めて行きます。 締め切りを考えても、これがぎりぎり限界かしらね。 |
花帆 | でもでも、締め切りぎりぎりで頑張るのも、 なんだかちょっと映画作りっぽいですよ! |
吟子 | ぎりぎりにならないに越したことはないんだけど……。 |
吟子 | あの、梢先輩。 最終日の天候が少し怪しくなりそうですが、そこは大丈夫そうですか? |
梢 | ええ。 少なくとも最終日の夕方、 雨の降り出す前には撮影を終わらせたいところね。 |
梢 | みんな、はりきっていきましょう。 |
花帆&さやか&綴理&慈&瑠璃乃&吟子&小鈴&姫芽 | おー! |
さやか | では、小鈴さん。 どうしましょうか。 |
姫芽 | なにから始める~? |
小鈴 | あ、は、はい。 とりあえず、皆さん徒町のために、本当にありがとうございます……! |
梢 | 大丈夫、あなたのためだけじゃないわ。 |
慈 | そーそ。 私たちは私たちのために映画を撮るの。 |
瑠璃乃 | さやかちゃんなんて、ねえ? |
小鈴 | そ、それは!? |
さやか | はい。 ついはりきって、お母さんからちゃんとした機材を借りてきました。 もともとお姉ちゃんとわたしのフィギュアの撮影に使っていたものを。 |
さやか | だから……楽しみにしてたんです。 |
小鈴 | ぁ……! |
小鈴 | ~~~! |
小鈴 | 分かりました! 全力で頼ります!! 徒町が、作りたいもののために!! |