第3話『ゆえに、みらくらぱーく!あり』
PART 5
ひとしきり練習が終わって、姫芽と瑠璃乃がくたびれているところ。 | |
姫芽が持参の水筒を飲んで、リフレッシュ。 | |
姫芽 | ぷふぁ~。 あま~い。 生き返る~。 |
瑠璃乃 | 姫芽ちゃんは甘いの好きだねえ。 |
姫芽 | エネルギー補給ですよ、エネルギー補給~。 市販の3倍、メープルシロップ入れてますからね~! |
瑠璃乃 | でもキリがいいし、きょうはここまでにしよっか。 |
姫芽 | はいっ。 |
姫芽 | でも、よかったんですか~? こんなに、たっぷり練習に付き合ってもらってしまって~。 |
瑠璃乃 | いーていーて。 |
瑠璃乃 | 姫芽ちゃんにとっては初めての文化祭だし。 やっぱ楽しんでもらいたいじゃん? |
姫芽 | げ、現代に生誕せし博愛の聖女~……! |
瑠璃乃 | なんて?? |
姫芽 | るりちゃんせんぱいも、アタシにやってほしいことがあったら、 なーんでも言ってくださいね~!? 他にやりたいこととか! |
瑠璃乃 | ん……。 |
一瞬、ラジオのことが頭をよぎり、言葉を飲み込む瑠璃乃だったが、スケジュールのことを考えて、まあ無理だろうなと判断。 | |
瑠璃乃 | やりたいこと、かあ。 |
瑠璃乃 | ま、へーきへーき。 ルリも楽しいことだけやってるから、心配しないで。 それに、これ以上なにかやるのはさすがに、キャパオーバーっしょ。 |
平然とのたまうバーサーカー姫芽。 | |
姫芽 | 食事とお風呂と睡眠時間を削れば、まだまだ余裕はありますよ~! |
瑠璃乃 | あははっ! それでもゲームの時間は削らないんだー! |
姫芽 | るりちゃんせんぱい~、アタシ、お手伝いしますからね~? |
瑠璃乃 | ありがと、姫芽ちゃん。 でも、ほんとにへーきだからね。 |
瑠璃乃 | 新メンバーを増やそうってめぐちゃんが言ってた言葉、 ようやくちゃんと理解できた気がするんだ。 |
瑠璃乃 | こうやってできることが増えていって、 誰かの気持ちが誰かに伝わっていくことなんだなって、思うから。 情熱ってやつ? |
瑠璃乃 | 姫芽ちゃんの活動、ほんとにいいと思う。 ゲームで人の輪を繋げるって、 ルリやめぐちゃんには真似できないことだもん。 |
瑠璃乃 | 姫芽ちゃんのおかげで、みらくらぱーく!を応援してくれる人が、 もっともっと増えそうな気がしてきたと、ルリ思う、ゆえにルリあり。 |
姫芽 | えへへへ。 かのみらくらぱーく!に加入させてもらった以上、 おふたりのお役に立ちたいですからね~。 |
姫芽 | まだまだ力不足だと思いますが、それでも、チームの一員として~! |
瑠璃乃 | あれ? そういえば姫芽ちゃんって、今はチームとかに所属してないの? |
姫芽 | えっ…………みらくらぱーく!ですけど……。 それは、遠回しな解雇通知……? |
瑠璃乃 | じゃなくて! ゲーム! ゲームのほうで! |
姫芽 | あ、そういうことですか~……。 なら、はい~。 フレンドと一緒に遊んだりはしますけど~、そのぐらいですね~。 |
姫芽 | いちばん長く組んでた、大会優勝したときのチームは、 優勝を機に解散しちゃってまして。 |
姫芽 | みんな、とてもいい人でした。 お互いに言いたいことを言い合って、遠慮なんてぜんぜんしなくて。 |
姫芽 | ケンカもいっぱいしましたけど、だからこそみんな本気で。 仲間! って感じで。 |
瑠璃乃 | 仲間……。 それは、どうして解散しちゃったの? |
姫芽 | あ、揉めてバラバラになった、とかじゃないですからね~? |
姫芽 | みんな、それぞれ他にやりたいことを見つけたんです。 |
姫芽 | プロゲーマーになった人もいれば、新しいゲームにチャレンジしにいった人、 志望校に進学した人もいたりして。 |
姫芽 | ただ……当時のアタシは、ちょっとだけ途方に暮れちゃってました。 やっぱり、大好きなチームだったので。 |
姫芽 | 他のチームに入ってこのままプロゲーマーを目指すのか、 それともソロで結果を出して、お声がかかるのを待つのか~。 人生の岐路ってやつですね~。 |
姫芽 | でも、そんなときに、アタシはみらぱ!に出会いました。 |
瑠璃乃 | ルリたちに? |
姫芽 | はい。 好きなものを好きだって叫ぶこと。 いつでも楽しそうにキラキラしてたみらくらぱーく!は、 それをアタシに教えてくれたんです。 |
姫芽 | だったらーー。 アタシ、このゲームが大好きだから~、 このゲームがすっごく面白いんだよって、世界中に広めたいな~! |
姫芽 | アタシ、ゲームのおかげでこんなに幸せだから~ |
姫芽 | ……この気持ちを、みんなにも届けたい~。 アタシのぜんぶを使って、恩返しするんだ~! |
姫芽 | 大好きなゲームで“世界中を夢中に”! |
姫芽 | それがアタシの、新しい夢になりました~。 今はゲーマーとして……そして、スクールアイドルとして、叶えたい夢です。 |
瑠璃乃 | 姫芽ちゃんやっぱり、みらくらぱーく!に向いてると思うな。 |
姫芽 | え~!? 嬉しい~! |
瑠璃乃 | あと少し、撫子祭まで全速力でがんばろーね! |
姫芽 | うおおおおおお~! |
瑠璃乃 | えっ、なになに!? |
姫芽 | アタシ、燃えてきましたああああ! |
姫芽 | 帰って速攻ランクマ回したくなってきたんですけど! いいですかね!? いいですよね!? |
瑠璃乃 | お、おう。 バーサーカーモードの姫芽ちゃん……。 う、うん、がんばって。 |
姫芽 | はいそれじゃあこれで失礼します! 失礼します! 失礼しますね! るりちゃんせんぱいも寮までの帰り道お気をつけて! それでは! 失礼します! |
姫芽 | おぅりゃりゃ~! とぉりゃりゃあああ~~!! |
瑠璃乃 | わ~……ふふっ。 |
瑠璃乃 | 向いてるなぁ~、みらくらぱーく! |