第18話『いずれ会う四度目の桜』

PART 1

54 セリフ6 人物
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  1. コメント

    桜がちらほらと咲き始め、春の到来を実感させる。

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    登校してきた沙知が、花開く桜の花に気付いて顔を上げ、笑みを作る。

  3. コメント

    これまでを懐かしむように優しく微笑む。

  4. 沙知

    ふっ……四度目の桜だねぇ。

  5. 沙知

    一度目、二度目、三度目……
    会う度にキミはあまり変わっていないのに、どうしてだろうね。

  6. 沙知

    あたしはキミに抱く気持ちが変わる。

  7. 沙知

    今年のあたしは、キミに聞きたいことがあるんだ。
    毎年みんなを見ているキミにさ。

  8. 沙知

    あたしは、今までの先輩方から受け継いできたものを……
    台無しにしなかっただろうか。

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    沙知ははにかみ、困ったような笑顔で弱音を零す。

  10. 沙知

    ちょっと、自信がないんだよね。

  11. コメント

    二年生三人が部室にいる。

  12. コメント

    ぼーっと窓の外を眺めている綴理と、ソファに転がっている慈。

  13. んっ……ん~……ふぅ、綴理、慈、ちょっといい?

  14. どしたー?

  15. コメント

    ちらっと目だけを向ける綴理と、転がったまま返事をする慈。

  16. ちょっとふたりに話しておきたいことがあって。
    3月末の……蓮華祭のことなのだけれど。

  17. コメント

    そう言うと、慈はむくりと身体を起こす。

  18. 二年だけってこと?

  19. 綴理

    一年生に、サプライズ?

  20. コメント

    綴理の言葉に、梢は苦笑い。

  21. それはまた別の機会にね?

  22. コメント

    それから真面目な顔に戻る。

  23. 沙知先輩が、卒業するでしょう?

  24. 綴理

    ……。

  25. おっけー、理解した。 そうだね。
    三年生にとっては蓮華祭が、うちの生徒で居られる最後の日だもんね。

  26. コメント

    梢は慈に頷いてから、そっと自分の胸に手を当てて目を閉じる。

  27. ……だから、蓮華祭で、沙知先輩に何かを返したい。
    とはいえ、具体的な案があるわけではないのだけれど。

  28. コメント

    そう困ったように微笑む梢。

  29. まぁこればっかりは、私たち二年生が考えるべき問題だよね。
    んー……なんかプレゼントでも作る?

  30. コメント

    綴理は、この光景をぐるっと見渡して呟く。

  31. 綴理

    ふたりのこと見てたら、ちょっと思いついたよ。

  32. 慈&梢

  33. なんだよもー、やるじゃんつづりーん。

  34. 聞かせてもらえる?

  35. 綴理

    ん。 ……曲をね、作るんだ。 新しい曲。

  36. 新曲……私たちを見て思いついたってなに?

  37. 綴理

    去年の部室はいつも、こずがそこに居て、
    めぐが転がってて、それからさちが入ってきてたなー、って、思ったらさ。

  38. 綴理

    いつだったっけ……
    入ってきたさちが言ってたことを思い出したんだ。

  39. コメント

    次の台詞で、ひとりひとりにカメラが向くイメージ。

  40. 綴理

    歌は、こず。 ダンスは、ボク。 言葉は、めぐだって。

  41. コメント

    綴理、自信を持って言う。

  42. 綴理

    そして……さちが知ってるボクたちより、
    今のボクたちはすごいことができるはずだと思う。 どうかな。

  43. コメント

    慈と梢、顔を見合わせて笑う。

  44. ふっ……やってやろうじゃん。

  45. それぞれ責任があって、それだけにやりがいもある……
    ええ、それでいきましょう。

  46. 私たちから、沙知先輩に贈る曲……あの余裕たっぷりなちっちゃいのを、
    感動でズタボロに泣かしてやるんだから!

  47. コメント

    3人が頷いて、〆。

  48. コメント

    梢が荷造りを終えたところに、花帆が乱入してくるパート。

  49. コメント

    梢は旅行鞄の前に立って、苦笑い。

  50. あー……この荷物は、ちょっと大げさかしらね。

  51. コメント

    ドンドン、と切羽詰まったノックの音。振り返る梢。

  52. あら?

  53. コメント

    ドアを開く。

  54. このノックは……花帆? どうしたのーー。

  55. 花帆

    梢センパイ、どういうことですかー!?

  56. コメント

    梢に置き去りにされたと思う花帆が、動転して梢に迫る。スマホを突きつけて、そこにメッセージ。

  57. 花帆

    『実家に帰ります』って!

  58. 花帆

    なにがあったんですか!?
    梢センパイ、蓮ノ空を辞めちゃうんですか……!?

  59. コメント

    梢、予想外の花帆の反応に、うろたえながらも答える。

  60. ええと……。

  61. それは、お休みに実家に帰ろうと思っただけ、なのだけれど……。

  62. コメント

    今度は花帆が目をぱちくり。

  63. 花帆

    えっ……?

  64. コメント

    大きくため息をつく。

  65. 花帆

    はぁー……なーんだぁ……そうだったんですかぁ……。

  66. ご、ごめんなさい。
    文面だとつい言葉足らずになってしまうのは、私の悪い癖ね。

  67. 花帆

    こちらこそ、誤解しちゃってごめんなさい。

  68. 花帆

    あと一歩で、危うく梢センパイの実家まで押し掛けるところでした……。

  69. コメント

    花帆がキャリーバッグを見せつける。

  70. 花帆

    ほら、見てください! あたしの旅行鞄!

  71. コメント

    早合点した花帆がかわいくて、思わず笑みをこぼしてしまう梢。

  72. ふふっ……ごめんなさい。
    そうね、それはびっくりさせちゃったわね。

  73. コメント

    なんでもないことのように言う梢に、むしろ花帆がしんみりしてしまう。

  74. 別に隠すつもりはないの。
    沙知先輩のために、曲を作ろうと思って。

  75. 花帆

    あ……そうですよね。 もう卒業ですもんね。

  76. せっかくだから、実家で集中的に作曲をするつもりだったの。
    ただ、それだけよ。

  77. 花帆

    梢センパイのご実家……! 兼六園ぐらいありそうですね!

  78. コメント

    梢はそこで思案して、花帆に頼む。

  79. ……。 ねえ、花帆。 よかったら一緒に来る?

  80. 花帆

    え?

  81. ぜったいに、いい曲に仕上げたいの。
    力を貸してくれると、嬉しいわ。

  82. もちろん、あなたに予定がなければ、だけれど。

  83. コメント

    花帆、目をぱちくりした後に、頼りにされた喜びが実感としてわいてきて、梢の手を取る。

  84. 花帆

    はい! あたしのできることでしたら、ぜひ!!