第11話『みんなで、花咲きたい!』
PART 8
- コメント
後編開始。
- コメント
花帆の活動は、世界中に波紋を呼んだ。
- コメント
様々な世間の評判があり、そして部室でブルパ連合の会議へ。
- 花帆
うん、うん、ありがとね!
- 花帆
あたしがみんなの力になれたんだったら、ほんとに、よかったよ。
- 花帆
来月のBloom Garden Partyのために、もうひと踏ん張り、がんばろうね!
えいえいおー! - コメント
腕を突き上げる花帆。
- コメント
そして通話が切れる。
- 吟子
お疲れ様です。
コーヒーを淹れてありますよ。 - 花帆
わ、ありがと。
- 吟子
お砂糖ふたつ。 ミルクもたっぷりのやつです。
- 花帆
えへへ、あたしの好みだ。
- 吟子
『トリプル・フラワー・大作戦』は、予想以上の反響ですね。
- 吟子
ひとりでも多くの人に勇気をあげたいっていうその気持ちが、
大勢の方々に届いた証拠ですよ。 - コメント
吟子、にっこり笑って。
- 吟子
これで無事、広実さんからの依頼も完了、ですね。
- 花帆
うん!
- 花帆
あとはあたしたちも、来月、めいっぱいがんばるだけだね。
- 吟子
……来月。
- コメント
吟子、ほんの少しだけ寂しそうな顔になってから、その気持ちを覆い隠すように微笑む。
- 吟子
そうですね。 あと一ヶ月。 最後まで、がんばりましょうね。
- 花帆
……って。
- 花帆
噂をしたら、広実ちゃんからだ!
- コメント
スマホを耳に当てる花帆。
- 花帆
うん、広実ちゃん。
あたしたち、やるだけのことはがんばったよ! - 花帆
それで…………え?
- コメント
花帆が目を見開く。
- コメント
吟子、眉をひそめる。
- 花帆
……そんな! どうして!?
- 吟子
……花帆先輩?
- 花帆
う、うん、わかった。
すぐ行くね。 - コメント
スマホを切って、真剣な顔になる花帆。
- 吟子
どうしたんですか?
- コメント
花帆、認めたくないとばかりに眉間にシワを寄せながら。
- 花帆
あたしのソロライブの後……。
……心が折れた人が、たくさん増えちゃったんだ、って。 - 吟子
ーー!? そんな!
- 花帆
……どうして。
- コメント
花帆が慌ててやってくると、広実も立ち上がって花帆を出迎える。
- 花帆
広実ちゃん!
それに、姫芽ちゃんと、小鈴ちゃんも。 - 小鈴
花帆先輩……。
- 姫芽
アタシたち、ちょうど広実ちゃんと打ち合わせの最中で。
- 広実
……悪いな、忙しいのに、また来てもらって。
- 花帆
ううん、そんなことより。
自分にはムリだって思う人が、もっと増えたって、ホント? - コメント
姫芽と小鈴の顔が曇り、広実がうなずく。
- 広実
……ああ。
- 花帆
どうして。
- コメント
広実、難しい顔をする。
- 広実
なにから話せばいいか……。
……いや、すまねえ、アタシも混乱してるんだ。 - 姫芽
とにかく、かほせんぱいの行動で、いろんな影響が出た、って話ですね。
- コメント
暗い顔の姫芽と小鈴。
- 小鈴
うん。
- コメント
広実、たどたどしく説明を始める。
- 広実
花帆サンの作戦で、戻ってくるやつらはいたんだ。
『トリプル・フラワー・大作戦』に勇気をもらって、背中を押されてさ。 - 広実
このままならきっと、うまくいく。 アタシもそう思った。
- 花帆
……でも、そうじゃなかった?
- 広実
…………。
- 小鈴
花帆先輩が、悪いわけじゃ……!
- 花帆
みんな、教えて。
- 広実
……わかった。
こいつを、見てくれ。 - コメント
広実、つらそうにスマホを見せてくる。
- コメント
そこには、メッセージ。
- 花帆
……え?
- コメント
ここは大量のメッセージが流れてきた、という演出で。
- 花帆
これ……。
- コメント
唖然として、広実を見返す花帆。
- 小鈴
さっきまで、いろんな人の相談に乗ってきたんです。
- 小鈴
最近、会議とかに出なくなってきた人が多くて、
どうしたのかな、って思って……。 - 姫芽
そしたら、蓋を開けてみたらこんな感じになってて~……。
- 広実
ふたりから報告を受けたアタシが、
花帆サンに連絡させてもらった、ってわけだ。 - 花帆
……。
- コメント
花帆、メッセージを見たときのショックで、スマホを見つめ続けている。
- 小鈴
徒町は、悲しかったです。 どんなにがんばろうって言っても、
徒町がついてるよって言っても、ぜんぜん気持ちが通じなくて……! - 小鈴
実際、もっともっと遠い人のところには、行けなくて……。
徒町は、どうすればよかったのでしょうか……。 - 姫芽
……アタシは、かほせんぱいのライブで
すごく胸が熱くなった側の人間だから、 - 姫芽
こーゆー言い方しかできませんけど~。
- 姫芽
世の中にはいろんな人がいて、そのひとりひとりに人生があるから、
- 姫芽
受け取り方もまたひとりひとり違ってくるのかなぁ……なんて、
考えちゃったり、しました。 - 広実
アタシも、姫芽さんと同じ側だ。
- 広実
花帆サンの作戦は、ぜったいに花咲くんだって覚悟をもってるやつらには、
ちゃんと、ちゃんと届いた。 - 広実
アタシも、もっともっとがんばろうって気持ちになれた!
- 花帆
でもその結果が……。
- 花帆
自分には手が届かないものだって、そう、思わせちゃったんだ……。
- 花帆
……これが、みんなの言ってたこと。
- 花帆
あたしの夢が、みんなを飲み込む、ってこと……?
- 姫芽
5月のとき……。 アタシは、
かほせんぱいの夢に、自分の夢が飲み込まれちゃって、 - 姫芽
なにもしてなくてもただで夢が叶っちゃうんじゃないかーって、
怖がってました。 - 姫芽
かほせんぱいの夢は、大きくて強いから、
みんな、かほせんぱいのことが眩しすぎちゃうんですよ。 - 姫芽
それはもちろんいい意味でも……悪い意味でも。
- 小鈴
でも、徒町も、素敵な夢だと思って……!
- 小鈴
何度も、花帆先輩の夢に、徒町は助けられました!
広実ちゃんに手を伸ばすことができたのだって! - 小鈴
花帆先輩の夢はもう、徒町の夢です!
- 姫芽
アタシもそうだよ、小鈴ちゃん。
- 姫芽
そのために、何度も何度もかほせんぱいとタイマンを繰り広げて、
ここまで夢をおっきくしてきたんだ。 - 姫芽
だから、アタシはかほせんぱいの夢が大好き……
だけど……そう思わない人も、いるってことなんだよね。 - 広実
……何度も言うけど、
アタシだって花帆サンが悪いなんてこれっぽっちも思ってねぇからな! - 広実
アンタの熱は、大勢に夢を与えた!
- 花帆
でも……。 その熱が、みんなの夢を遠ざけちゃったんだよ……!
- 広実
っ! すまねえ……!
- コメント
広実がその場で、大きく頭を下げる。
- 広実
アタシが、力不足だったから……!
- 花帆
そうじゃない! そうじゃないよ!
- 花帆
夢の大きさなんて、関係ない! みんな、自分のやりたいことをやって、
そして、花咲いてほしかっただけなのに! - 花帆
あたしはそのお手伝いがしたいだけだったのに!
- 花帆
あたしじゃなくてーーただ、花咲くことを、目指してほしかったのに!
- コメント
広実、ぐっと歯を噛み締めて、拳を握る。
- 広実
……っ。
- 花帆
……ごめん、広実ちゃん。
- 広実
謝らないでくれ、花帆サン……。
- 広実
きっと、全員を救うなんて、ムリだったんだ。
これは、それだけの話だ……。 - コメント
花帆、悔しそうに拳を握って。
- 花帆
……。 でも、あたしは。
- 花帆
『みんな』を、花咲かせたかったんだ。
- コメント
駅前で姫芽と小鈴、広実と別れる花帆。
- 姫芽
それじゃあ、かほせんぱい。
アタシたちはもうちょっと、話を聞いていきますので。 - 小鈴
徒町も、まだまだ声を届けなきゃいけない人がいますから……
その、がんばりたいです……! - 広実
えと……大丈夫か? 花帆サン。
ひとりで学校に戻れるか? - 花帆
あ……うん。
- 花帆
ありがと、みんな。
あたしもまたなにか、考えてみる。 - 広実
……。
- 姫芽
なにかあれば、なんだって言ってくださいね、かほせんぱい。
別に、アタシや小鈴ちゃんや、広実ちゃんにでも。 - 姫芽
今はみんな、Bloom Garden Partyの成功を目指す、チームですから。
- コメント
にっこりと笑って、そのまま立ち去っていく姫芽。小鈴と広実を連れて。
- コメント
ひとり残された花帆。
- 花帆
……うん。
- 花帆
……ありがとう、みんな。
- コメント
振り返り、鼓門を見上げる花帆。
- 花帆
なのに……あたしは……。
- コメント
回想シーン。
- コメント
4月の入学式前、浮かれた花帆が新幹線で金沢にやってきて、その大都会に目を奪われたシーン。
- 花帆
ここが……大都会、金沢!
- 花帆
すごいすごい! お店いっぱいある! ビルも高ーい!!
- 花帆
ここからあたしの、花咲く人生が、始まるんだーー!
- コメント
そして現代に戻ってきて。
- 花帆
途中までは、うまくいってた。
- 花帆
なのに、最後のライブで、こんな風になっちゃったんだったら……。
- 花帆
あたしの答えは……。
『花咲く』の答えは……間違ってたの……? - 花帆
『夢中になること』じゃ、だめだったの……?
- 花帆
だからみんな……みんな……。
- 花帆
……うぅ。
- 花帆
うううっ……!
- 花帆
うあああああああああっ!
- コメント
それからバスに乗って、学校に帰ってきた花帆。部室に向かおうと、とぼとぼ歩きながら、つぶやいている。
- 花帆
……あたしは。
- 花帆
あたしの3年間って、なんだったんだろう……。
- 花帆
集大成をぜんぶ、ぶつけて……。
花咲くの答えを歌って……それでも、だめだった。 - 花帆
余計にみんなを、遠ざけちゃった。
- 花帆
あたしの『花咲く』って……なんだったのかな……。
- 花帆
……あ。
- コメント
ふと顔をあげる花帆。
- コメント
すると、目の前にはさやかと瑠璃乃の姿があった。
- 瑠璃乃
花帆ちゃーん!
- コメント
大きく手を振る瑠璃乃。
- さやか
広実さんに会ってきたんですよね。……って!?
- 花帆
……っ!
- コメント
花帆、回れ右をして、走り出す。
- 瑠璃乃
逃げた!?
- さやか
なんでですか!?
- コメント
走っていく花帆を追いかけるさやかと瑠璃乃。
- 花帆
ごめん! あたし今、頭ぐちゃぐちゃで!
- さやか
だからってなんで逃げるんですか!?
- 花帆
だってまた泣いちゃいそうだもん!
- さやか
だったらなおさらですよ!
- 瑠璃乃
くっ、速い!
- さやか
体力つきましたね、花帆さん……!
- コメント
花帆のこれまでのがんばりを認めるようにうめくさやか。
- 瑠璃乃
言ってる場合かー!
- コメント
さらに逃げ続ける花帆。
- 花帆
あたしに任せてって言ったのに!
- 花帆
きっとうまくいくって、思ったのに!
- 花帆
みんなの夢を、叶えたかったのにっ!
- コメント
そこで転んでしまう花帆。
- 花帆
ぎゃっ。
- さやか
花帆さん!
- コメント
ふたりが追い付いて、へたり込む花帆に寄り添う。
- 花帆
うう……痛い……。
- 瑠璃乃
どこか擦りむいちゃった……!?
- さやか
見せてください、花帆さん!
- 花帆
痛い……。 胸が、痛いよぉ……。
- コメント
えぐえぐと、胸を押さえたまま、再び涙を目にためる花帆。
- コメント
さやかと瑠璃乃、お互い心配そうに顔を見合わせる。