第8話『今はまだ遥か幽かな光』
PART 1
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ホームルームが終わり、教室がにわかに賑やかになっていく。席について教科書を鞄に詰めていた泉のもとに、姫芽がやってくる。
- 姫芽
いずみ~ん、おつ~。
- 泉
お疲れ、姫芽ちゃん。 部活いこうか。
- 姫芽
だね~。 いやはや、きょうは宿題多かったねえ~。
- 泉
そうだね。 寝る前のランクマッチは、お預けかな?
- 姫芽
いやそれは意地でもやりますけども~!
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日課のゲームの時間を削るわけにはいかないと拳を握る姫芽に、くすくすと笑う泉。クラスでもトクベツ華やかなふたりの、日常会話である。
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そこで話を聞いていた吟子がやってくる。
- 吟子
姫芽っていっつも夜更かししてるのに、
授業中あんまり居眠りとかしないよね。 - 姫芽
寝れるときに寝てるからねぇ~。
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得意げな姫芽。吟子は首を傾げる。
- 吟子
でも休み時間も友達とお喋りしてるし……?
- 姫芽
先生が黒板消してる間とか~。
- 吟子
5秒とか10秒とかそういうレベル!?
- 泉
およそ常人には真似できないライフハックだね。
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よろよろと席にやってくる小鈴。
- 小鈴
うう~。
- 泉
おや、小鈴さん。
- 吟子
どうしたの?
- 小鈴
きょう、宿題多いよぉ……。
これじゃ、帰ってからなんにもできないよぉ……。 - コメント
小鈴は意気消沈。それでも宿題から一切逃げようとしない辺りが、偉い。
- 吟子
あー……。 じゃあ、夕食の後、ラウンジで一緒に宿題する?
- 小鈴
えっ、いいの!?
- 吟子
うん。 私もちょっと苦手なとこあったし。
- 小鈴
やったぁ! 吟子ちゃん大好き!
- 吟子
う、うん。 姫芽と泉さんも、どう?
- 姫芽
いいねぇ~。 みんなでやったら、すぐ終わるよね~。
- 泉
ふふ。 それじゃあ、お呼ばれしようかな。
- 小鈴
わぁい!
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ニコニコの小鈴。画面外から、セラスの声がする。
- セラス
失礼します。
- 小鈴
あ、セラスちゃん。
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小鈴に礼儀正しくご挨拶するセラス。
- セラス
こんにちは、小鈴先輩。 きょうも相変わらずキラキラですね。
- 小鈴
えへへ、カチマチザウルスは毎日ちょっとずつ大きくなるんだからね!
- セラス
感服です。
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両手を合わせて小鈴を拝むセラス。小鈴先輩はすげえや。
- 吟子
泉さんを迎えに?
- セラス
です。 一年生はちょっと早く授業が終わったので、
泉がわたしに一秒でも早く会いたいだろうと思って。 - 泉
ご厚意痛み入るよ。
- 姫芽
せらりん、二年生の教室に来ると、
お姉さんたちにかわいがってもらえるもんねえ~。 - セラス
そのような邪な意図はありませんけど!? 断じて!
- 小鈴
セラスちゃん、ラムネいる?
- セラス
ええ~、いいんですかぁ~?
- 姫芽
マシュマロ食べる~?
- セラス
食べますぅ~。
- 吟子
私は……なんにも持ってないや。
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あまりお菓子を持ち歩かない吟子がそうつぶやくと、セラスは急にぷりぷりと怒って。
- セラス
もー仕方ないですね!
きょうは許してあげますけど次はちゃんと用意しててくださいよね! - コメント
吟子、にこやかに笑って。
- 吟子
マチ針ならあるよ。 食べる?
- セラス
ジョークじゃないですか! ゲルマンジョーク!
- 吟子
喋れんやろあんた!
- セラス
そ、そういえばお聞きしましたか先輩方!
本日は三年生の方々がいらっしゃらないと! - 姫芽
らしいね~。 来月に迫ったStarring Bloomの準備でしょ~?
- 吟子
最近ずっと忙しそうだからね。
だから、先輩たちがいないときは、私たち3人で練習してるんだよ。 - 小鈴
うん! あれはあれで、楽しいよね!
- 泉
ふむ……。 もしよかったら、Edel Noteも混ぜてもらっていいかな?
- 泉
たまには私以外の人から教わるのもいいだろうと思ってね。
ねえ、セラス。 - コメント
どういう流れかわからず、一瞬素の反応でびっくりするセラス。
- セラス
えっ?
- 姫芽
ああ~、そういう~?
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ワンテンポ遅れて、特別扱いされていることにときめくセラス。楽しそうじゃん!
- セラス
4人がかりのスペシャルレッスンってこと……!?
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小鈴が先輩っぽく振舞おうと意気込む。
- 小鈴
わかった! じゃあ早速レッスンルームに行こ!
徒町がセラスちゃんを、炊き立てのお米にしてあげる! - セラス
お米……?
- 姫芽
じゃあアタシは、みらぱ!特製、ラブリー♡ファンサを伝授してあげよ~☆
- セラス
わ~い。
- 吟子
でもセラスさんは、なにはともあれ基礎練だよね。
ステージでバテないように、みっちり体力づくりと筋トレしよっか。 - セラス
えっ、いや、それは。
ふ、普段もやってます! - 吟子
ぜんぜんまだまだ。
- セラス
鬼……!?
- 吟子
誰が!?
- 小鈴
あはは、いこいこ。
- セラス
あ~~れ~~……。
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小鈴と吟子に引きずられてゆくセラス。
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残った姫芽と泉。姫芽はウンウンとうなずきながら。
- 姫芽
そっか~。
Edel Note、今年いっぱいで解散って話だもんね~。 - 姫芽
せらりんのこれから、考えてあげてるんでしょ~?
- 泉
やれやれ。 姫芽ちゃんはいつも鋭いね。
- 泉
どのユニットに入るにしても、準備期間は必要だ。
- 泉
幸い、セラスはあなたたちとまんべんなく仲がいい。
どこも歓迎してくれそうで、そこは助かるよ。 - 姫芽
部で唯一の後輩っていうのもそうだけど~。
せらりんって、なんか、こう、かわいがられる才能がすごいよね~。 - 泉
そうだね。 瑞河にいた頃は、もうちょっと気を張って、
しっかりしていたはずだったんだけれど。 - コメント
苦笑いをする泉。セラスの精神年齢が、日毎に幼く(年相応に)なっていく……。もちろん、それが悪いことだとは思っていないが。
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姫芽はニコニコと、楽しそうに言う。
- 姫芽
こっちが素のせらりんじゃないの~?
- 泉
きっとね。 瑞河時代は、
学校の命運と責任感を背負って、かなり無理をしていたんだろう。 - 姫芽
いいじゃん、毎日楽しそうで~。
- 泉
本当だよ。 羨ましいくらいだ。
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やれやれと首を横に振る泉。しかしそんな泉に、姫芽はにやけつつ。
- 姫芽
アタシが言ったのは、いずみんも含まれてるんだけど~?
- 泉
……私が?
- 姫芽
うん、毎日楽しそうにしてて、見ててこっちも笑顔になっちゃうよ~。
蓮ノ空に入ったばかりの頃と比べても、かなり変わったよね~。 - 泉
……それは、自分じゃよくわからない、かな。
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泉、苦笑い。
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自分もそろそろ練習に行こうと、歩き出そうとする泉。ふと気づいて、スマホをポケットから取り出す。
- 泉
……おや?
珍しい子から、連絡だ。 - コメント
海莉からの連絡に、軽く驚く泉。
- 姫芽
ん~?
- 泉
私とセラスに、か。
- 泉
……これは。
- 姫芽
いずみん~?
- 泉
どうやら……少し、予想外の出来事が起きているみたいだ。
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週末(翌日など)に、駅前のカフェで待ち合わせ。泉とセラスはふたりとも私服。並んで座っている。待ち合わせ場所に、立科海莉が現れる。
- セラス
……。
- コメント
SE。ドアを開いて入店してくるベル音。からんからん、的な。
- 泉
来たね。
- 海莉
お久しぶりです。
セラス先輩、桂城先輩。 - セラス
海莉、久しぶりだね。 瑞河の、卒業式以来。
元気だった? - 海莉
なんとかかんとか、やってます。
- 海莉
Edel Noteの活躍は、いつもスクコネで見てますよ。
こないだのFes×LIVEも、すごかったです。 - 海莉
うちの中学は廃校になった瑞河から編入した子も多いので、
みんな、Edel Noteの歌に励まされてます。 - セラス
うん、ありがとう。
おかげさまでね、がんばってるよ。 - 泉
それで、わざわざ金沢にまで来て、
『手伝ってほしいことがある』というのは? - 海莉
……。
……あの、先輩方。 - 海莉
実は!
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セラスと泉が驚いて、目を見開く。