ふわぅ……。

さやかちゃーん、おはよー！

おわっ！？

お、おはようございます。
お元気そうでなによりです。

うん、色々考えてたことがまとまってきてね！

……ああ、この前姫芽さんと話したことでしたっけ。

そう、かほひめ会議だよ！
みんなで花咲くステージに向けてねーーって、さやかちゃん、眠そうだねえ。

ふふ。 みなさんのイレギュラーに対応するためにも、
日々の雑務は早め早めにこなさないといけませんからね。

それこそ、花帆さんが何かを思いついた時に他の仕事が残っていては、と。

いつもありがとね！
え、どうする？ 帰って寝る？

大丈夫ですよ！
……それに、花帆さんやみなさんと話しているとすぐに目も覚めますよ。

逆に、学校で眠そうなのは花帆さんの方ですから。

うっ……それはちょっと横に置いといて。

昨日思いついたのは、さやかちゃんの目覚ましにはならないかもだけど。

はい、なんでしょう。

さやかちゃん、ロックフェスに出よう！！

特大の目覚ましですね！？

なる、ほど。 いきさつはなんとなく分かりました。
姫芽さんと、これからに必要なことを考えた結果なんですね。

うん、ふたりで話して改めて思ったんだ。

あたしも、あたしの夢を早くみんなに伝えなきゃって。
口だけじゃなくて、こういうことがしたいんだっていうのを、見せたい。

じゃあそのために何が必要なのか、最近ずっと考えてたんだけど。

授業中もうつらうつらするくらいに。

ま、まあその、うん。 ……いいんだよそれは！
見ないでよ授業中のあたしを！

こほん。 それでね、必要なのは場所だって思ったんだ。
みんなで花咲くステージをやる場所。

八重咲ステージや、これまでライブを行ってきた場所ではなく？

あたしがやりたいのはね、いつでも花咲ける場所なんだ。
誰もが、いつでも。

スクールアイドルがしたいと思った時に、できる場所。
時間制限のないライブステージ！

だから、その場所はずっとライブができる場所じゃないといけないんだ。

……素敵な夢ですね。

でも確かにそんな場所は、中々見つかりませんね。

そうなんだよ！
もうほんと、最近ずーっと探してるのに、全然見つからなくて。

それこそ授業中も眠くなっちゃうくらいにね！

夜更かしは体に毒ですよ花帆さん。
まったく。

それなら先に話してください。
こういう時に頼ってもらうための、ダブル部長ではないんですか。

えへへ、ありがとうさやかちゃん。
でも、ようやく見つかったんだ、その手がかりが！

……まさか、それがロックフェスという。

うん！ そのフェスは、ラブライブ！みたいに大会形式でね、
すっごく有名なやつで！

優勝するとメジャーデビューもできるんだよ！

それは凄い……え、ロックのプロを目指すつもりなんですか！？

もちろん優勝できるならしたいけど！
でも目的は別にあるんだよ、さやかちゃん。 ほら、これ。

……優勝でなくとも、強く盛り上げた上位グループに与えられる、これが。

そう！ あの大きな会場を、一年間！ 優先的に使えるようになるんだ！
あたしが探してたもの、そのものだよ！

なる、ほど……！

どうかな、どうかな！

……正直なことを言ってもいいですか。

え、うん、どうぞ！

流石に無茶です！

えー！？

だって優勝すれば
メジャーデビューが確約されるほどのロックフェスですよ！？

そんなの、
これまでずっとロックで活躍するために努力を積み重ねてきた方々が
こぞってエントリーしてくるに決まってるじゃないですか！

わたしがわらわら居るフィギュアの大会で勝とうとするのと
あんまり変わりませんよ！？

そんなあ！？ 勝てるわけないよ！！

いや、まあ、その、はい！

……前回の姫芽さんの時とは違って、詳しい人もいないんですよ？
やってみようで挑むには流石に。

む、ぐぐ……そんな軽いノリじゃないんだけど……！

もちろん、ただプレゼントとしてステージが欲しいわけではない、
というのは分かりますが……！

……。

……分かりました。
一度、みなさんにも聞いてみましょうか。

わたしが思いついていないだけで、打開策もあるかもしれませんし。

……ん。 さやかちゃんが賛成してくれるような、
あっと驚くアイディアをみんなが出してくれますように！

みなさんへのハードルが……。

ほう、ロックフェスと来たか。
優勝すればいいのかな。

夢の場所を作るために、挑む戦い。
いいですね～、燃えてきたかも～？

あはは、相変わらずここふたりは頼もしいなあ。

でも、さやかちゃんも言ってたけど……
この日のためにロックを積み上げてきた人たちと一緒にやるんだよね。

出場がゴールじゃないんでしょ。
ダメだったら、その準備にかける時間も全部……。

だったら別のことをしてた方がいい……ってことですか。

徒町はやってみたいです！
欲しいものがあるなら、当たって砕けろです！

砕けてる余裕あるかな……。
今月は撫子祭だってあるんだよ。

撫子祭もそうなんだけど……時間の余裕は、
そうじゃなくてもあんまりないんだ。

ってーと？

自由に使わせてもらえるステージって、探しても探しても全然なくてね。

ロックフェスで良い成績を残したらっていうので
なんとかようやく見つけられたんだ。

……まあ、ステージが存在するということは、
必要としている人がいるということだからね。

なかなか、余っているという事態は考えにくいか。

待ってくれてるみんなに、
はやくあたしたちの“花咲くステージ”がどんなものなのか伝えたい。

そういう意味でも、これは大きなチャンスで、数少ないチャンスでもあって。

だったらなおのこと負けられないね。

ダメでもともとチャレンジとは、いかないという……？

うん。

花ちゃんは、どうしてもこのロックフェスで勝ちたい。
でもみんなあんまりロックのことを知らないところからスタート……。

……。

う～ん、悩むより先に戦いの準備をした方が良い気がしますけどね～。

……えっと、じゃあ、どうします？ 両方やります？
ロックの練習しながら、ステージも探すみたいな。

……花帆さん。

……ふう。 なに？

一度保留にしましょうか。
ひとまず、全員ロックフェスはおろか、ロックをよく知らない状況です。

わたしも含め、ロックを勉強しつつ……それこそ、
何かアイディアが出ればロックフェスへ。

そうでなければ、みんなでまた一からステージを探しましょう。

ん……そうだね。
えっと、みんな！

どういう形でも、花咲くステージ、絶対にやろうね！

保留とは言ったけど、
わたしが何か良い案を出せるのならそれに越したことはない。
ひとまず、ロックのことを知らなくては。

もし出場したとしても……
会場の方々にがっかりした記憶を残すわけにはいかない。

これから花咲くステージをやるというわたしたちが、
みなさんに楽しいライブを提供できない存在だと思われることも、
あってはならない。

……裏を返せば、ステージを新しく探すより、
ロックフェスで好成績を残すのが一番か。

みなさんの楽しい記憶として残り、
かつ花咲くステージの足掛かりにもなる。

高望みかもしれませんが、それができるのならーー。

え、え？

はい、さやかです。 吟子さんですか？

花帆さんが倒れたー！？