第7話『Link to the FRIENDS!』
PART 3
お風呂上がりの部屋着(吟子だけ着物姿)で、集まる一年生三人。ラウンジのテーブルを囲んで、三人で座りながら会話するシーン。 | |
一同、三年生から話をされたという体。小鈴も姫芽も、やる気が燃え上がっている。 | |
吟子 | がんばろうなにがなんでも。 |
姫芽 | やるぞやるぞやるぞやるぞやるぞ……。 |
小鈴 | ふたりとも、目が据わってるよ!? |
小鈴 | 吟子ちゃんは、どうして着物姿なの? |
吟子 | うっ、気合を入れたくて……。 |
ナイスアイデア、とばかりに姫芽が立ち上がる。 | |
姫芽 | アタシ、部屋からモデルガン持ってくる! |
小鈴 | 持ってこなくていいよ!? |
姫芽 | 大丈夫! 観賞用のヤツだから~! |
小鈴 | そっか、なら大丈夫、なのかな……? |
吟子 | 大丈夫ではないと思うけど。 |
吟子 | あのさ。 三年生の先輩方は、私たちの指導に力を入れてくれるって言ってたけど……。 |
吟子 | たぶん、それだけじゃだめだと思う。 |
吟子 | あんなに言ってもらえたんだから、 私はちょっとムリしてでも、及第点じゃなくて、満点を取りたい。 |
吟子 | じゃなきゃ、この先を突破することは難しい、だろうから。 |
姫芽と小鈴にカメラがうつり、 | |
小鈴 | 徒町も、こんなに大きなチャレンジを、失敗のままで終わらせたくないよ。 優勝して、みんなの物語の続きを見たい。 |
姫芽 | アタシだって、めぐちゃんせんぱいとるりちゃんせんぱいにあれだけ 支えてもらって決めたラブライブ!、初手でつまずいてたまるか……! |
三人、顔を見合わせる。想いはひとつ。 | |
吟子 | よーし! それじゃあ! |
小鈴 | うんっ。 |
姫芽 | おうよ~。 |
しかし座り直す。徐々に冷静になってきた吟子。 | |
吟子 | …………具体的に、どうしようか。 |
姫芽 | トレモあるのみっしょ~! |
吟子 | それはそうなんだけど。 |
小鈴 | 確かに、自主トレだけじゃ、できることは限られちゃうよねえ。 がんばらなきゃいけないのは、フォーメーションの部分だもん。 |
姫芽、なにか閃いた顔。 | |
姫芽 | つまり、個人戦じゃなくてチーム戦……う~ん……ハッ。 |
小鈴 | 姫芽ちゃん、どうかした? |
姫芽 | 今、アタシたちに足りないものって、なんだと思う~? そう! 答えはチームワーク~! |
姫芽 | ぜったいに協力せざるを得ない状況を作り上げることによっておのずと アタシたちの連携力は鍛えられるという算段! これぞチームバトル! |
吟子 | すごい、ひとりでしゃべってる。 |
小鈴 | でも、わかるな。 徒町たち、今までずっとユニットごとで練習してきたし……。 |
小鈴 | もっとお互いの息を合わせたほうがいいのかなって。 |
確かに、とうなずく吟子。 | |
吟子 | ああ……。 |
吟子 | じゃあ、チーム練習をメインでやるってこと? |
徐々に姫芽の目が輝く。 | |
姫芽 | んふふ。 それよりもっと、手っ取り早い方法があるかな~。 例えば、『大いなる脅威』に立ち向かう! とか~! |
吟子 | なにそれ……。 |
小鈴 | え、面白そう! やりたい! |
姫芽 | だしょだしょ~! |
吟子 | うっ、小鈴の扱いがうまい……。 |
小鈴 | 姫芽ちゃんは、吟子ちゃんの扱いも上手だよ! |
吟子 | そういうことじゃなくて! |
姫芽は小鈴と肩を組みつつ、吟子を誘う。 | |
姫芽 | 吟子ちゃんも~。 こっちにおいでよ~。 みんなでパワーアップしよ~? |
嫌な予感を覚えつつ、聞く吟子。 | |
吟子 | ……なにするの? |
みらぱ!らしく、いたずらっぽく笑う姫芽。 | |
姫芽 | ふっふっふ~。 強敵に挑めば、そのぶん、経験値がいっぱい手に入る~。 つまりーー。 |
姫芽 | 一年生vs三年生! |
吟子 | 無茶だよ!! |
姫芽 | え~? |
吟子 | いや、だって……ねえ、小鈴! |
小鈴 | なるほど……そうなりますか。 ふふふ、骨は拾ってもらいましょうね、姫芽ちゃん、吟子ちゃん。 |
吟子 | だめだ……、小鈴に聞いても意味ない! |
姫芽 | レベルアップするために、なんでもやらなきゃ、だよね~? |
吟子 | むぅ……。 |
姫芽 | 及第点じゃなくて、満点とりたいな~☆ |
吟子 | ああもう、わかったから! やる! やるよ! |
吟子 | Link to the FUTUREを完成させるためなら、 なんでもやるから! |
小鈴 | わーい! |
明日を指差し、気合を入れる姫芽だった。 | |
姫芽 | よっしゃ~。 ほんじゃ、当たって砕け~!☆ |
トレーニングウェアを着た一年生の前に、同じくトレーニングウェア姿の三年生がずらっと勢ぞろい。 | |
さすがに圧がある。 | |
姫芽 | というわけで、三年生チームvs一年生チーム~! |
小鈴 | わ~わ~。 |
はやし立てる姫芽と小鈴に、困惑の梢。 | |
梢 | ええと……どういうことかしら……。 |
吟子 | すみません、梢先輩。 こういうことになりまして。 今の私たちには必要なことなんです……! |
小鈴 | でも綴理先輩相手なら、もしかしたらワンチャン……! |
吟子 | それはナメすぎじゃない!? |
綴理は楽しそう。 | |
綴理 | なにかして遊ぶの? |
姫芽、微笑みの下に牙をのぞかせながら、慈と対峙する。 | |
姫芽 | ふっふっふ~……。 指導に力を入れてくださるって言ってましたもんね~。 |
姫芽 | まさか、 こんなに早くめぐちゃんせんぱいをKOするチャンスが来るとは~……。 |
腕組みしつつ、不敵な笑みを浮かべる慈。挑みかかってくる後輩に対して、慈は『おもしれー女じゃん』という態度。負ける気はまったくない。 | |
慈 | ふ~ん? 少なくともその意気込みは“本物”ってわけね。 |
慈 | いいじゃん。 梢、綴理。 遠慮はいらないよ。 ぴよぴよ鳴くこのヒヨコちゃんたちに、実力の差を思い知らせてやるんだよ。 |
客観的に見れば実力も経験値も三年生が上なので、まあ自分たちが勝つだろうな、と思い、躊躇する梢。 | |
梢 | ……でも、ラブライブ!の予選前に、 後輩の自信を折ってしまうというのは、さすがに……。 |
姫芽 | ふっ……。 こずえせんぱいの優しいところ、アタシは大好きですよ~。 |
姫芽 | でも今のアタシたちに必要なのは、 大ピンチの後に生まれる起死回生の一手なんです~! |
梢 | ええと……? |
姫芽 | だから全力でぶつかってきてください~! |
姫芽 | 本気じゃなきゃ、手に入らないものがある……! そう信じて、アタシたちはせんぱい方に勝負を挑むんです! |
慈 | ……つまり、そういうことだよ! |
梢、理解を諦めた顔。とにかく彼女たちにとってはこれが必要なことなんだろう、と思う。 | |
梢 | わからないのだけれど……わかったわ。 情熱は、理屈じゃないものね……。 |
一方、綴理。勝負と聞いても敵意をぶつけられているわけではないので、楽しそう。 | |
綴理 | それで、なにするの? 鬼ごっこ? だるまさんがころんだ? |
小鈴 | いいえ……。 |
小鈴 | ーーLink to the FUTUREダンス勝負です! |
びしっと小鈴が三年生に指を突き付け、吟子が叫んだところで、シーン終了。 | |
吟子 | 無茶だよ~~!!! |