第6話『対よろ!!!』
PART 6
姫芽 | めぐちゃんせんぱい、るりちゃんせんぱい! |
姫芽 | ーー今度の大会、見に来てほしいんです~! |
慈 | 今度の大会? なんか予定あったっけ。 |
姫芽 | スクールアイドルじゃなくて、ゲームの大会です~! 招待していただいた大会に、しっかり出ようと思って~! |
慈 | おお、すごいじゃん! |
瑠璃乃 | ひめっちクラスになると招待もあるもんねー! |
姫芽 | 元々行くつもりはなかったんです。 |
姫芽 | 今回の招待は、過去のアタシの実績を買ってくれてのものだったので~。 このままじゃとても受けられないなって。 |
姫芽 | でも! だからこそ今は出たいんです~。 そして、おふたりに見に来てほしいんです。 |
姫芽 | アタシが不調からちゃんと脱したことを、示したい…… これなら、アタシもラブライブ!に出られるんだって! |
慈 | なるほど、そういうことね。 |
瑠璃乃 | ゲームで大丈夫だったら、スクールアイドルでも大丈夫。 ルリもそう思ってるよ! |
姫芽 | はい~。 勝って、ちゃんとおふたりの前でラブライブ!の エントリーシートにアタシ自身の名前を書きたい。 |
姫芽 | だからどうか、よろしくお願いします~! |
瑠璃乃 | ん、もちろん見に行くよ! なにを差し置いてもね! |
慈 | 他ならないみらくらぱーく!のメンバーの活躍、 しっかり見届けてあげよう! |
姫芽 | ぁ……はい~! よーし、頑張りま~す! |
慈 | よかったね、姫芽ちゃん。 |
瑠璃乃 | うん。 昨日、ゲーム勝てて良かったなー。 |
瑠璃乃 | ルリがなんかミスって負けてたら、 今頃どーなってたかと思うと……ちょっと怖くなってきたな? |
慈 | ふふふ……良いせんぱい、してんじゃん。 |
瑠璃乃 | めぐちゃんこそ。 今回の好きなもの増やすって、素敵なことだったと思うよ。 |
瑠璃乃 | ルリもひめっちが釣り好きになってくれて嬉しかったし。 ナイスアイディアとルリ思う。 やるじゃんめぐちゃん。 |
慈 | ま、私が良いせんぱいなのは、言うまでもないことだしね~! |
慈 | 姫芽ちゃんは、自分の好きなことにまっすぐだからさ。 見ててかわいいし、こっちも刺激をもらえるよね。 |
慈 | それが、メンタルのせいでがんばりきれないっていうのは、 けっこうしんどいと思うよ。 本人にはどうしようもないからさ。 |
慈 | できることはしてあげたい、かな。 |
瑠璃乃 | めぐちゃん……。 |
瑠璃乃 | ふふっ、やさし~ですな~。 |
慈 | こらこら、オトナをからかわないの。 |
瑠璃乃 | 一つ違いだよ! |
慈 | ともかく、せんぱいとしてしてあげたいことはしてあげよう。 今度のゲーム大会も、ね。 |
瑠璃乃 | ふふっ! そうだね! |
慈 | ゲームの大会って、すっごく盛り上がるんだね!? |
瑠璃乃 | ひめっちのやってるゲームは、 決勝とかじゃないと、こういうオフライン大会ってやらないんだけどね。 |
瑠璃乃 | だからこその盛り上がりでもある、かもしんない。 |
慈 | オフライン? あーオフラインね、わかるわかる。 |
瑠璃乃 | ……ネット繋げばできるゲームを、極限までプレイヤーに 平等な条件にしてあげるのがオフラインでの対戦なんだよ。 |
瑠璃乃 | そこまで場を整えてあげるってことが、 プレイヤー同士の力量差がほとんどない証、かな。 |
慈 | なるほどねー! 知ってたけど、一応ありがと! るりちゃん。 |
瑠璃乃 | どいたまー。 ! ……あ、見て見てめぐちゃん! 出てきた! |
姫芽 | 今日はよろしくね~。 |
慈 | うわー……姫芽ちゃん、大人気じゃん。 |
瑠璃乃 | そりゃーなんてったって、元学生チャンピオンチームだからね。 ここではみらくらぱーく!より全然、ツマヨウ寺を知ってる人のが多いよ。 |
慈 | ふむ……1曲かますか。 |
瑠璃乃 | やめよーよ!? |
慈 | 冗談だって冗談。 でも……今ちらっと聞こえたけど、今回の大本命だって。 |
瑠璃乃 | みんな言ってるねえ。 ……なんか誇らしいね、めぐちゃん。 |
慈 | だねー。 大きくなったね、私の弟子……。 |
瑠璃乃 | ゲームでは、めぐちゃんが弟子だけど……。 あ、そろそろ始まりそう! |
慈 | 試合開始だ! |
瑠璃乃 | ひめっちー、がんばれー! |
慈 | やっちゃえやっちゃえー! |
姫芽 | ……ごめんなさい。 |
慈 | まあまあ、勝負は時の運ってやつでしょーよ! |
姫芽 | ……でも、あんなふうに勝つつもりで偉そうなこと言って…… これじゃあ、アタシは結局……。 |
慈 | みんな勝つために死ぬ気でやってきてるんだから、 戦う以上は負けることもあるって。 ね、るりちゃん。 |
慈 | ……るりちゃん? |
瑠璃乃 | ひめっち今日……ゲームは、楽しかった? |
姫芽 | っ……え? |
姫芽 | やってる時は……楽しかった……と、思います……。 大好きなゲームですし、おふたりが見に来てくれて、アタシは……。 |
瑠璃乃 | 今、ルリ……負けたひめっちがかわいそうだなって思っちゃって。 |
姫芽 | ……せん、ぱい? |
瑠璃乃 | ひめっちはさ、勝負が好きじゃん? それに言ってたよ。 勝ち負け両方あって楽しいんだって。 |
瑠璃乃 | ……少なくともひめっちは今日、大本命って言われるくらい強くて。 |
瑠璃乃 | 負けた時のひめっちも、 いつもは悔しいからすぐにリベンジだって言ってた。 |
瑠璃乃 | だからルリは、負けても楽しいってことを教えてもらった、つもり。 でも、今日は……。 |
瑠璃乃 | ……ルリたちが見に来てたせい、かな? |
姫芽 | そ、そんなことは……。 |
姫芽 | ……あの。 ゲームをしているアタシすら、楽しそうじゃなかった……ですか? |
慈 | それは……。 |
慈 | ゲームをしてるところは、楽しそうだったと思うよ? でも、 |
姫芽 | でも……? |
慈 | 確かに、いつもみたいにうおおおおおってやってる姫芽ちゃんじゃ、 なかったかも。 |
姫芽 | ……ぁ。 |
慈 | というより、最近うおおおおっていう姫芽ちゃん、見てない、かも? |
姫芽 | !! |
姫芽 | ……。 |
姫芽 | 見ててください! うおおおおお!! |
瑠璃乃 | おー、ひめっち燃えてきたね! |
慈 | スクールアイドルでも始まった……。 まあ、盛り上がるのはいいことだよ! |
姫芽 | 最近、うおおおおってなってない……か。 じゃあ、アタシ本気になれてないじゃん……。 |
姫芽 | 好きを増やす、じゃ……ダメだったってこと……? |
姫芽 | じゃあ、もう、どうしたら……。 |
姫芽 | あいたっ……。 |
姫芽 | ぁ……。 |
姫芽 | うおおおおお!! 負けねーーー!!! |
姫芽のお姉ちゃん | ただいま帰りました……と、聞こえてなさそうですね。 |
姫芽 | っしゃああああ勝ちぃ!! 勝ち勝ち勝ちぃ!! |
姫芽 | わ、お姉ちゃん。 帰ってたの? |
姫芽のお姉ちゃん | ええ、今さっき。 今日も楽しそうですね。 なによりです。 |
姫芽 | うん、おかげさまで~。 楽しいよ。 すっごく。 |
姫芽のお姉ちゃん | それは良かったです。 ……本当に。 |
姫芽 | うん、全部お姉ちゃんのおかげ。 友達も増えたんだよ~。 もう寂しくない。 |
姫芽 | だから、ありがとね、パソコン買ってくれて。 |
姫芽のお姉ちゃん | あなたには苦労をかけましたからね。 ……ここまでハマってくれるとも、思っていなかったんですが。 |
姫芽 | ……居心地が、良いんだ。 |
姫芽のお姉ちゃん | ? |
姫芽のお姉ちゃん | そう、ですか。 うん……姫芽にも、好きな場所が見つかって良かったです。 |
姫芽 | 好きだよ、大好き。 好きすぎて困っちゃうくらい! |
姫芽 | 好きを増やして……やっぱり、だめなら……アタシは。 |
姫芽 | ……よし。 |