第6話『対よろ!!!』
PART 4
良い天気の中で、瑠璃乃が釣り具の準備をしている。 | |
姫芽は釣り堀の空気感が楽しそうで、景色を眺めている。 | |
瑠璃乃 | さあ、今日は一緒に楽しもっか。 |
姫芽 | わぁ~……釣り堀って初めて来ました~。 なんだか今からわくわくしてます~。 釣れるといいな~。 |
瑠璃乃 | まあ、ルリもあんまり人を連れてこないからね。 |
瑠璃乃 | 一度小鈴ちゃんと行こうかって話もしたんだけど、 なかなかタイミング合わなくてさー。 |
姫芽 | 小鈴ちゃんと、ですか~? |
瑠璃乃 | ぶっちゃけ、魚とかエサとかを触れるかどうかって人によるんだよね。 ひめっちも無理そうならルアー使うし、魚の針抜くのとかもルリがやるよ。 |
瑠璃乃 | 小鈴ちゃんはその辺全然抵抗ないから。 さすが漁師一家って感じ。 |
姫芽 | 確かに。 小鈴ちゃん、虫とかも全然平気ですしね。 この前も、クワガタさん捕まえられなかったー、って聞きました。 |
瑠璃乃 | 捕まえられなかったんかい。 |
姫芽 | アタシもとりあえずやってみます! |
瑠璃乃 | ん、おっけー。 じゃあひとまずいつも通りやるね。 |
ふたりでカメラに背を向けて、釣り堀に向かって並んで座る。 | |
時間経過の演出を入れて、しばらくふたりで釣りをしている雰囲気を出す。 | |
姫芽&瑠璃乃 | ……。 |
ちらっと瑠璃乃の横顔を見る姫芽。 | |
姫芽 | あの。 |
瑠璃乃 | ん? ちょっと退屈? |
姫芽 | あーいや、えっと。 |
瑠璃乃 | ごめんねえ。 あんまり大きな声出すと逃げちゃうんだ、魚が。 |
姫芽 | あ、すみません、お気遣いを。 ……そうじゃなくてその……るりちゃんせんぱい、楽しそうだな~って。 |
瑠璃乃 | 楽しいからねー。 |
瑠璃乃 | いつ釣れるかなーって思ってるのもそうだけど、 なんか途中で考えてることが全然違う方向にいったりして……。 |
瑠璃乃 | 今は次どんな曲やりたいかなーとか考えてたよ。 |
姫芽 | なるほど……るりちゃんせんぱいは、ぼーっとするのが好きなんですか~? |
瑠璃乃 | えっ、あ。 そうです、ごめんね……。 |
ぱたぱたと慌てて姫芽が否定する。瑠璃乃にとっては、「お前の好きなこと退屈だな」と言われたも同義だと気づいたので。 | |
姫芽 | えっ、違うんです違うんです~! めぐちゃんせんぱいの好きなことを知って、 アタシ思ったんです~! |
姫芽 | どうしてその“好きなこと”が好きなんだろうって。 |
瑠璃乃 | ほっ……そーゆーことかー。 そだなー、なんで釣りが好きなのか……。 |
少し考えるように空を仰ぐ瑠璃乃。 | |
瑠璃乃 | ゆっくりした時間を感じるのが、まず好き。 |
姫芽 | ゆっくりした時間……? |
瑠璃乃 | 当たり前だけど、いつも慌ただしいじゃん? やらなきゃいけないことも、やりたいこともたくさん。 |
瑠璃乃 | でも、ここはそうじゃないんだ。 静かで、落ち着いてる。 |
瑠璃乃 | さっきは左にあった雲が流れていって、 手に当たってた日差しが膝に当たって……。 |
瑠璃乃 | 普段は授業受けてる時間が、ぼーっとしてるだけで流れてく。 |
姫芽も自分の手元を見る。 | |
姫芽 | 日差し……。 |
瑠璃乃 | それから……自分で釣った魚は、不思議と美味しいよ。 待った時間の分もあるのかなあ。 |
姫芽 | なる、ほど……。 |
瑠璃乃 | ま、それは釣ってみないと分からないかも。 |
瑠璃乃 | ぼーっとしてると、ふとした時に竿が引いて…… そこでふっと我に返るのも好きなんだ。 |
姫芽 | へえ……まだ釣れませんね~。 |
瑠璃乃 | うーん…… 全然ピンと来なかったら、ごめんね。 |
時間が経過している。雲が違うところへ。日差しも膝に当たっている、など。 | |
姫芽&瑠璃乃 | ……。 |
姫芽 | おっ!? なんだ!? |
瑠璃乃 | 魚だよ! きたっぽいね! リールに手ぇ当てて、抑えながら、そうそう。 糸張らせないで軽く巻いて……。 |
姫芽 | そっかアタシ釣りしてたんだった! うおおおお! |
ちゃぽん、と釣れる魚。 | |
姫芽 | お……おお……? |
釣れた……とびっくりする姫芽が、瑠璃乃と顔を合わせる。 | |
瑠璃乃 | あはは。 やったね。 |
姫芽 | あっ……はい! |
姫芽 | るりちゃんせんぱい。 |
瑠璃乃 | ん? |
姫芽 | 釣り、楽しいです~! |
瑠璃乃 | お、おお。 退屈じゃなかった? |
姫芽 | 最初の方は、るりちゃんせんぱいの言ってること…… ほんとはよく分かんなかったんですけど。 |
姫芽 | 釣れた時に笑い合えて、なんか達成感が分かち合えたというか! |
瑠璃乃 | お、なるほど。 そこが良かったんだね。 |
姫芽 | はい~。 るりちゃんせんぱいの好きとは、また違うかもですけど…… アタシ、誰かと一緒にだったら、また何度だって来たいなって思いました~! |
瑠璃乃 | ……そっか。 なら、良かった。 |
瑠璃乃 | それじゃあ、もうひとつのお楽しみと行こうか。 きっと美味しいよ。 |
姫芽 | はい! |
図書館の前で笑顔で手を振る花帆についていく姫芽。 | |
図書館内。花帆と隣合わせで本を読む姫芽。花帆も姫芽も穏やかな顔。 | |
吟子の部屋で、吟子と一緒に刺繍に挑戦する姫芽。 | |
中庭。綴理と一緒に寝っ転がって空を仰ぐ姫芽。 | |
蓮ノ湖で小鈴と一緒に湖渡りチャレンジ。ふたりともうおおおおって顔。 | |
レッスンルームで梢と筋トレ。ダンベルをなんとか持ち上げる姫芽と、ガンガン筋トレしてる梢。 |