これも違う……これも、違う。
逆さまの歌じゃない……。

だめかあ！
また次のダンボール持ってこなくっちゃ！

ステージ制作して、練習して、衣装の続きも作って……。

先輩は、大変だあ……。

……いいアイディアだと、思ったんだけどなあ。

ううん、だめだめ！ 諦めない！
先輩は、諦めないんだから！

はいはーい？

あれ？ どうしたの、さやかちゃん、瑠璃乃ちゃん。
それに……その、ダンボール。

話は聞きましたよ、花帆さん。
吟子さんのために、なにかしているんですよね？

ルリたち、応援に来たよ！
失礼っ。

ええええ！？ なんで！？ なんでなんでー！？

友達が困っているんですから、当たり前です。

理由なんて、いらないぜ。
ルリ思う、ゆえにルリここにあり！

ふたりとも……。

もう、大好きっ！

ちょっ、あの！

せめて先にダンボール置かせて！

改変記録、ですか？

うん。

きっとノートのどこかにあるはずなんだ。

逆さまの歌が形を変えて、名前を変えて、
現代に受け継がれてるっていう証拠が。

でもまだ、最初のひとつも見つからなくて。

ほほう、ずいぶん確信をもって言ってるねえ、花帆ちゃん。

どうして受け継がれているって、わかるんですか？

わかるよ！

だって、今でもその歌を大好きな人がいるんだよ！

スクールアイドルクラブが、あたしの大好きなスクールアイドルクラブなら、
きっと受け継がれてるに決まってる！

だって、大好きなものを、大好きだから後輩に伝え続けたいって思うのが、
伝統なんだから！

ふふっ。
……笑顔の花帆さんが言うんだから、間違いなさそうですね。

ルリもそれで、納得かな！

じゃあふたりとも、力をお借りします！

任せてください！／お任せあれ！

……すぅ……。

こーら。

わっ。

次回のライブのためのミーティング中に居眠りとは、いい度胸じゃん。
綴理がうつったかー？ えー？

ご、ごめんなさい！ あの、えと。

さ、さやか先輩も。 起きてください起きてください。

へっ？ あ、お、起きてましたよ！？
大丈夫です、起きてました！

るりちゃんせんぱ～い。
朝ですよ～。

むにゃむにゃ……。 もう食べられません……たすけて……。

もー、一年生！ じゃない、二年生！
たるんでるんじゃないのー？ 新一年生が見てるんだぞ！

慈、あんまり厳しく言うのは。

へー？ かばうなんて珍しいじゃん、梢。
でもだめ。 ライブに真剣じゃないやつは、私が許さないから。

うっ……ごめんなさい。

罰として。

スクールアイドルノートを読むなら、三年生の力も借りること！

へ……？

えっ、あっ、瑠璃乃ちゃんが教えたの！？

夜、どこいってたの？
って、めぐちゃんに問い詰められて！

キミたちが新一年生のためにコソコソがんばってることは、
もうバレてるんだよ！

そうだったんだ、さや。
後ろめたくないなら、堂々と言ってくれればよかったのに。

う……それは、でも……。

で、でも、もうさやかちゃんと瑠璃乃ちゃんにも手伝ってもらってて……。
三年生は、いろいろと忙しいですよね？

いそがしくないよ。

はいは～い。 したら、アタシたちがやりますよ～。

えっ、いいの？ 姫芽ちゃん。

はい～。
新一年生ってことは、アタシたちの同期ですよね～？

これから同じチームになるフレンドのためにがんばるのは、
トーゼンってもんですよ～。

徒町もやります！
人手が必要なら、どうぞ徒町を何人でもお使いください！

……ありがとうございます。
では小鈴さんおひとり、貸してくださいね。

はいです！

ていうか、忙しくても関係ないのだよ！
なぜなら、私たちは最高のスクールアイドルクラブだから！

スクールアイドルの新しい芽を摘むなんて、ありえないんだよ！

めぐちゃんならそう言うと思った！
さすが！

ほんとにいそがしくないよ。

ね？ 梢！

もう、あなたたち……。

……こうなってしまったからには、どうかしら、花帆。

あなたがやりたいという気持ちもわかるけれど……
せめて私にも、少しぐらいは手伝わせてくれる？

梢センパイ……みんな……。

それじゃあ、改めて……。
あたしからもお願いします！ どうか、力を貸してください！

おー！

もしかしたら、これじゃないかしら……？
逆さまの歌。

あっ、ほんとだ！ 待って待って待って。

ここでタイトルが変わったんだったら、
もしかしてこないだルリが見たやつが……！

うん。 ほら、20年ぐらい前の竜胆祭でやってる曲。
またちょっと名前が変わってるけど、これもそうだ。

やるじゃん綴理！
ってことは、必要なのはこれ以降のノートだね。

あ、だったら徒町が大倉庫までひとっ走りしてきますよ！
こういう仕事は任せてください！ ちぇすと～！

アタシもアタシも。 意外とカラダも動けるほ～なんで～。
無限に往復してダンボールでいっぱい持ってきま～す。

反復は得意～。

あっ、新一年生だけで行ったら、
迷って戻って来れなくなってしまいますよ！？

皆さんで、皆さんで行きましょう！

逆さまの歌……。

そっか、そうだったんだ……！

メロディが変わって、詩が変わって、それでも、今に続いてた……！
スクールアイドルクラブみたいに！

これが、逆さまの歌だったんだ！

いえーい！ さっすが私たち！

やったねめぐちゃん！

お力に、なれたみたいで。 ふへへっ。

いや～、良かったねぇ、徒町さん～。

楽しかった。
ボクたち、ステージの上じゃなくても、スクールアイドルだったね。

そうですね。 ほんとに、よかったです。

花帆、後は。

はい、大丈夫です。
あたしに任せてください。

将来有望な新入部員を、勧誘してきますね！