第12話『期待はおもい!』

PART 8

さやか
……大会に出ることは、当たり前じゃない……。
さやか
スクールアイドルをやる理由、なんて……。
花帆
スクールアイドルをやる理由なんて、
いっぱいあるよね!?
さやか
花帆さん……。
瑠璃乃
いっぱい……いっぱいかぁ。
花帆
あれ、瑠璃乃ちゃん!?
瑠璃乃
いやさ。 ルリがスクールアイドルをやる理由は、
面白そうだからだしょ? だけっしょ?
瑠璃乃
んで合格っしょ? けっこーふわっふわしてっし、
なんでさやかちゃんがダメなのか分かんないとゆーか。
花帆
それは……うーん。
さやか
分かってるんです。 わたし。
花帆&瑠璃乃
えっ?
さやか
ーーわたしに、スクールアイドルをやる理由なんかないって。
花帆
そ、そんなことないって!
瑠璃乃
いやいやいやいや、なんでそうなるの!?
花帆
やらない理由だってーー。
さやか
やらない理由もありません! もちろんです!
ありません、けど……。
さやか
ラブライブ!に出たいのは、皆さんと一緒に頑張りたいからで。
大会なら出るのは当たり前だと思ってて。
さやか
表現の場ならフィギュアで事足りる、と言われてしまえば……
言い返す言葉を、持ち合わせていません。
瑠璃乃
そんなこと……ないじゃんね?
さやか
せっかく、皆さんに協力してもらって、
リーダー代理もちゃんとできるかもと思っていたのに。
さやか
……自分が、情けなくて悔しいです。
さやか
やる理由が無ければ、やる資格もない
……みたいな話じゃないことくらいは、分かる。
さやか
でも、わたしのスクールアイドルへの気持ちって、
こんなものだったのかな……。
さやか
綴理先輩が居なきゃ、やってなかったけど。
でも、今はみんなが居て……って、これもみんなを言い訳にしてるのか。
ーーさやかさん。
さやか
えっ? あ、こ、梢先輩。
もう大丈夫なんですか?
ええ、どうにかね。
たとえどんな手を使ってでも復帰しなければと……!
さやか
本当に大丈夫なんですか!?
ふふっ、本当に大丈夫よ。
それに、いつまでも部長業務に穴を開けられないわ。
さやか
あっ……。
さやか
すみません……何も、できてなくて。
何を言ってるの。
私がいなくてもどうにか回っていたのは、さやかさんのおかげでしょう?
みんなも、感謝していたわ。
さやか
でも……せっかく梢先輩が元気になったタイミングで、
まだステージの許可すら。
試練、だったわね。
さやか
まったく……生徒会長さんにも困ったものね。
頑張ってる後輩に、こんな顔させるんだから。
さやか
いえっ……生徒会長がどうということは関係なく、
わたし自身の問題だったので……。
……ラブライブ!に出る理由なんて、
さやかさんが1番分かりやすそうなものだけれど。
さやか
あっ……知ってたんですね。
さやか
わたしは、スクールアイドルならばラブライブ!
には当然出るものと思っていました。
さやか
ひとりの競技者として、
1番を決める大会に出るのは当たり前だと。
……。
さやか
でも……スクールアイドルはラブライブ!に出なくてもいい。
そもそもわたしがスクールアイドルを続ける理由は、人任せ……。
なるほどね。
さやか
梢先輩。 わたしが、どうしたら良いのか……
梢先輩には分かりますか?
……そうね。
それを、私が答えることは出来ないわ。
さやか
っ……やっぱり、自分で考えろという……。
そうとも言えるけれど、もっと強い言い方をすれば……。
私が答えたら、さやかさんは「今度は梢先輩の言葉を借りた」
と思ってしまわないかしら。
さやか
っ。
結局自分で見つけるしかないものだとは、思う。
でもね、さやかさん。
さやか
はい……。
私はこう思うわ。
もうとっくに、あなたはそれを見つけている。
だから頑張って。
……仕事の続きは、引き取った方が良いかしら。
さやか
えっ……?
さやか
あー…あ、いえ、せめてこれは最後までやらせてください。
そう。 うん……やっぱりあなたは、
スクールアイドルを続ける理由……見つけているわ。
えな
これこっちで良いのー?
びわこ
支えてまーす! 上げちゃってくださーい!
沙知
ようし! そこだけ先建てちゃおっかぁ!
さやか
……梢先輩のヒントにも、何も気づけないまま。
わたしがもう、見つけているものなんて……。
さやか
スクールアイドルを始めて良かったと、思ってる。
その理由なら、たくさんある。
さやか
でも……綴理先輩が認めてくれたからとか、
花帆さんや瑠璃乃さんが応援してくれるからとか……
人から貰ったものばかりで……。
えな
……あ、あれさやかちゃんじゃない?
びわこ
あ、ほんとだ。
ーーおーい、さやかちゃーん!
さやか

こ、こんにちは。
びわこ
あはは、聞こえないよー!!
しいな
お辞儀したのは分かるね。
えな
さやかちゃーん! 竜胆祭頑張ろうねー!!
応援してるよー!
さやか
は、はい!
さやか
もちろん、出たいです……。
びわこ
さやかちゃんの活躍、期待してるねー!!
しいな
楽しみにしてるからねー!!
さやか
はい、精一杯、頑張ります!!
さやか
皆さんの期待に、応えたいですから!!
えな&びわこ&しいな
おー!
さやか
ふう……。
びわこ
私たちも頑張らないとねー。
えな
じゃないとスクールアイドルクラブに全部持ってかれちゃうもんね。
しいな
練習するかー。
さやか
……そのためにも、わたしは。
さやか
……。
さやか
……あれ。
わたし、いま。
さやか
……これ、なのかな。
さやか
これじゃないかもしれない。
でもーーこれだったら素敵だなって、思える。
さやか
わたしーーみんなの期待に応えたい。
さやか
ステージの許可をください。
沙知
答えは、持ってきたのかな?
さやか
……っ。
さやか
わたしはーーみんなの期待に応えたい。
それを示すために、ライブがしたいんです。
さやか
口では、説明しきる自信はなくて。
沙知
……ふむ。 どうやら、ステージ許可をもぎ取るためだけの
はったりってわけでもなさそうだ。
さやか
そんなことしません!
沙知
そうだね、そういう子らしいね、キミは。
沙知
しかし、ライブね。 みんなの期待に応えたい……。
それはただライブをしただけで、変わることとは思えないけれど。
沙知
結局、綴理やメンバー、
応援してくれる誰かに理由を押し付けているだけなんじゃないか?
さやか
そう言われることは分かっていました。
沙知
……。
さやか
生徒会長! 当日会場に見に来てください。
そこで必ずお見せします。
さやか
私の、ソロで。