第12話『期待はおもい!』

PART 5

びっくりした顔の沙知。
沙知
え!? もう終わったの!?
一年生の方にカメラが向くと、花帆とさやかの横にダンボールが並んでいる。
花帆&さやか
はい!
沙知
……それは?
瑠璃乃
気にしないでください。
沙知
そ、そうか。
いやしかし、凄いなあ。 3日はかかると思ってたんだけど。
花帆
あ、3日もかけて良かったんだ!?
さやか
そんな! 身を削って頑張ったのに!
沙知
あっはっは! 確かに制限時間は伝えてなかったね。
すまないすまない。よし、ではーー。
花帆
あの!
沙知
ん?
花帆
もしかして、この試練の意味ってーー。
沙知
さー、なんだろうねぃ。単なる嫌がらせか、
或いは高度な嫌がらせか、もしくは嫌がらせかもしれない。
さやか
嫌がらせしかないじゃないですか!?
沙知
あっはっはっは!
良い顔になったのもいるが、明日は2つ目の試練を言い渡す!
沙知
今日はおしまい!
あたしも忙しいからね、解散!
花帆
凄い勢いで帰らせようとする!
沙知
ほらほら、ダンボール運ぶ台車は用意してあげるから。
あとお土産にお菓子をあげよう。
立ち上がった沙知が戸棚に手を伸ばして、手が届かない。
沙知
戸棚の上にだね。 む、くっ……ふんっ……。
沙知
……そのダンボール足場にしていいかい?
さやか
人が入ってるんですが!
五人集まって、みんなで座っている。
真ん中のテーブルに、沙知から貰ったお菓子。
で、はぐらかされちゃった、と。
さやか
というより、答えを言ってくれるつもりは無さそうでした。
そっかー。
綴理
……。
綴理
ボク、ちょっと行ってくる。
待った待ったー。
言うまでもないけど、どこ行くつもり?
綴理
……邪魔しないでほしいって。
そんなことだろうと思ったけども。
こんな時間に生徒会室行ったって、誰もいないからね。
綴理
……じゃあ、部屋。
じっと見つめ合う慈と綴理。
本当に行くの?
綴理が、あの人の部屋に?
綴理
……。
意味深なやり取りに、ちょっと黙る一年生。
花帆&さやか&瑠璃乃
……。
花帆
あ、あの。 今日の梢センパイはどうでした?
花帆が聞くと、努めて明るく慈が言う。
いやー、上がったり下がったりかな!
少しでも熱が下がってくると、すぐ「そろそろ練習できそうね!」
とか言い出すから、ベッドに縛り付けてやろうかと思ったよ。
花帆
あちゃー。
綴理
でも、間に合ってほしい。
まーね。 梢だけいないとか、ありえないしね。
瑠璃乃
……めぐちゃん。
んー?
瑠璃乃
じゃあ、こんなことしててごめん。
え。 こんなことっていうのは、ステージ許可が下りないって話?
瑠璃乃
そー。
……なに考えてんだろね、あの人は。
私にもよく分かんないよ。
昔っからそうだったけどさ。
花帆
……それは、生徒会長がスクールアイドルクラブに居た頃の話ですか?
そ。 色々助けてももらったし? お世話になった恩もあるし?
事情があったのも分かるけど……
それでも、どうにもならない気持ちっていうのはあるしね。
また、勝手に「こっちの方がいいんでないかい?」とか、
よく分かんないこと考えてるんでしょ。
瑠璃乃
めぐちゃん……。
ま、色々あったんだよ。 色々ね。
瑠璃乃
……分かったよ。
瑠璃乃
ラブライブ!予選は、めぐちゃんのリベンジなんだ。
絶対に邪魔させない!
花帆
そ、そうですよ!
必ず許可をもぎ取ってきます!!
ま、そーね!
梢の復帰もあるし、みんな頑張らないと大変だぞ☆
私たちの目標なんだっけ? はい、リーダー代理さやかさん!
さやか
全員での、予選突破です。
そーゆーこと。
ま、だから、特にさやかちゃんは頑張ってよ!
さやか
はい。 ……たぶん、生徒会長の言いたいことについては、
わたしはある程度答えが返せるんじゃないかと思っているので。
瑠璃乃
まじでー!? じゃあルリだけじゃん!
ルリがめぐちゃんのリベンジに足引っ張ってんじゃん!
さやか
ああいやその、それで合ってるかは分かりませんから!
瑠璃乃
うおーん!
助けてくれー、ルリがお荷物はいやだー!
さっきまでお荷物として運ばれてたけど。
瑠璃乃
そういうことじゃないやい!
花帆
もちろん協力するからね、瑠璃乃ちゃん!
寸劇じみた感じで手を取り合う瑠璃乃と花帆を見て、慈は少し目じりを下げて優しい顔になる。
瑠璃乃
おお、持つべきは友……。
あれ、このお菓子。
さやか
あ、はい。 さっき生徒会長に、お土産でいただいちゃって。
ふうん。
うーん……腹立つ味。